セラピードッグって何をする犬?【活動・効果・育成など】

犬が人間へ与える力はとても大きいことは、ワンちゃんを飼っている方ならよくご存知ですよね。可愛い姿を見ているだけでも癒されますし、撫でていると心穏やかになります。私のイライラ…我が家の犬にもだいぶ助けられています。

そんな犬の力を借りて、人間の心や体の回復改善を助けてくれるのが「ドッグセラピー」です。

今回はそんなワンちゃんたち、セラピードッグについてご紹介します。

セラピードッグとは

触れ合いなどの交流によって、高齢者や障害を持つ方、病気や怪我で治療をしている患者さんなどの心と身体の機能回復を補助する訓練を受けた犬のことをセラピードッグといいます。子どもたちに触れあって命の大切さを伝えていくものから、医療現場で専門的な治療の補助療法として行うものまで幅広い活動を様々な団体が行っています。

また、犬だけでなく、猫、ウサギ、モルモット、馬、イルカなどの動物たちも同じような活動をしていて、アニマルセラピーとよばれています。

アニマルセラピー、ドッグセラピーの歴史

古代ローマ時代にはケガをした兵士のリハビリに馬によるアニマルセラピーが行われているなど、歴史は古いのです。

1792年に造られたイギリスの精神障害者施設で、患者たちに自制心を促すためにニワトリやウサギなどを飼育させた結果、自制心が身についたとの記録も残っています。

1860年には、ベスレム病院が動物とのふれあいで「入院患者の気力が向上した」、1875年頃のパリでは乗馬が神経麻痺の患者の回復に乗馬が有効だと記録があります。

1950年代にアニマルセラピーが障害者療法としてヨーロッパから世界的に広がりました。

日本では、1980年代にドイツから紹介された乗馬療法がリハビリ治療として本格的に導入されました。ドッグセラピーが本格的に始まったのは20世紀半ばで、まだ国内での歴史は浅く、注目されるもまだ一般的に認知されているとはいえません。

セラピードッグの活動

ひと言でセラピードッグといっても活動内容は幅広く、3つの種類に分かれています。日本ではAAA、AAEの活動が多く、治療として活動しているAATはまだ一部の限られた医療施設でしか行えないのが現状です。

AAA(動物介在活動)

「Animal Assisted Activity」の略でAAAと呼ばれ、治療目的とせずに、犬との触れ合いから癒されたり楽しんでもらうことが目的です。老人ホームなどでの活動が多く、他には刑務所や被災地に訪問することもあります。

AAT(動物介在療法)

「Animal Assisted Therapy」の略でAATと呼ばれ、医療現場で治療行為として行われます。AATで活動するセラピードッグは専門的な訓練を2年以上を受けています。治療する方が犬好きであることを前提に、専門医と共に個々にプログラムを組み、治療を実施していきます。

AAE(動物介在教育)

「Animal Assisted Education」の略でAAEと呼ばれ、教育の一環として行われています。動物との正しい触れ合い方、接し方、命の大切さ、思いやる心などを学んでもらうことを目的にしています。保育園、幼稚園や小中学校などに訪問して活動します。

ドッグセラピーの効果

犬と暮らすだけでも効果は見られ、2013年のイギリスの研究結果には「高血圧の飼い主の血圧の低下」が報告されました。他にも、ペットを飼っている人は飼っていない人に比べて年間約20%病院へ行く回数が減ったとのデータも。

  • コミュニケーション能力が高まる
  • 孤独感の減少
  • 入院環境のストレス軽減
  • 睡眠障害の改善
  • 抑うつ症状の減少
  • 副交感神経の亢進作用
  • 治療、リハビリへのやる気向上
  • 痴呆患者の運動機能回復
  • 血圧低下
  • 心拍数の抑制

セラピードッグに向いている犬種

人との触れ合いが好きで、他の犬とも友好的で忍耐力がある犬が向いているといえるでしょう。

AAA、AAT、AAE、それぞれ活動内容が変わってきますが、賢く温厚で忍耐力のあるラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバー、ボーダーコリーなどの犬種が採用されやすい傾向があるかもしれません。また、小型犬も高齢者や子どもにも抱っこしやすいため、人懐っこく甘え上手なチワワ、ダックスフンド、トイプードルなども人気です。

実際は他のたくさんの犬種も活躍しており、犬種というよりも、犬自身の性格などで向き不向きが大きく決まるようです。

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セラピードッグになるためには

セラピードッグになるには活動団体によって条件が異なりますが、認定試験を受けて資格取得しないと活動ができません。受験資格は、生後8ヶ月以上、ワクチンや狂犬病の予防注射の接種、トイレトレーニングか完璧にできるなどです。特に医療現場で働くAATのセラピードッグの条件は厳しく、訓練期間も長期で行われます。

試験では、車いすに怖がらない、知らない人が触れても嫌がらない、後ろから突然触られても吠えない、どの状況でも落ち着いていられる、周りの物音に動じない、ゆっくり歩ける、甘噛みしないなどをチェックするようです。

活動団体によっては適性テストを実施しているところもあるようです。

活躍するセラピードッグ

日本は、海外に比べるとまだまだ普及されていないのが現状ですが、多くのセラピードッグたちが活躍しています。

北海道学園大学の研究で、アニマルセラピーにより高齢者の健康増進効果が生まれ、医療費削減にもつながるうえ19万頭の動物需要が発生する推計が出ています。実際、殺処分される可能性がある犬たちが訓練を受け、セラピードッグとして活動しています。

書籍にもなった有名な名犬チロリも、元捨て犬で殺処分寸前に助け出されました。2年半かかるセラピードッグの訓練カリキュラムを半年でクリアし、日本で初めて認定されたセラピードッグになりました。

ドッグセラピーが普及するために

ドッグセラピーの歴史の浅い日本でも徐々に導入されてきましたが、まだ普及されているとはいえない状況です。

衛生面に不安がある、咬まれたりする事故の不安などから、導入を踏みとどまっているところも多いでしょう。課題は少なくはないでしょうが、少しでも早く普及されてほしいものです。人間にも犬にも良いことの多いドッグセラピーですが、犬たちが活躍できる場が増えて、処分されるかもしれない犬たちが救われることを願うばかりです。

飼い主のマナーが悪いと、犬自体の印象が悪くなります。セラピードッグ自体のイメージにつながり、導入の妨げになることもあるかもしれません。私たちが今出来ることは、犬の飼い主さんが躾をしっかりし、マナーある行動をすることかもしれませんね。



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