表情豊かで人にも他の犬にも愛情たっぷりに接してくれるゴールデン・レトリバー。
ゴールデン・レトリバーは、国内外問わず人気の大型犬種です。
だれにでもフレンドリーな性格で利口、しつけやすく家庭犬はもちろん、介助犬やセラピー犬などとしても活躍しています。
しつけはしやすい犬種といわれていますが、きちんとメリハリをつけて接しないと、大型犬だけに成犬になってからでは力もあるので大変です。
すでに飼育されちれている方は、愛犬との主従関係ができているかのチェック項目をぜひ試してみてください。
しつけのコツや噛み癖、無駄吠え対策、手入れ方法などもあわせて参考にしてもらえればと思います。
ゴールデン・レトリバーの歴史
19世紀にスコットランドで小型のニューファンドランド犬とツウィード・ウォーター・スパニエルを交配させたのが起源だとされています。
ゴールデン・レトリバーは偶然の産物説
ゴールデンの親はトゥイードマウス卿という狩猟家で、20年近くかけてブリーディングを行い新しい犬種としてゴールデンを生み出しました。
ゴールデンの始祖は、1865年に偶然に生まれた「黄色」のウェービー・コーテッド・レトリバーと言われています。
通常は黒色ですが、この1頭は「黄色」でした。
この1頭の犬に、水中作業が得意なツイード・ウォーター・スパニエルがまずは掛け合わされ、さらにレトリバー、スパニエル、セッター、ブラッドハウンドといった犬種を慎重に交配させ、新しいレトリバーが出来上がりました。
1903年にはKC(イギリスのケネルクラブ)に犬種登録されましたが、最初はフラット・コーテッド・レトリバーの中の「ゴールデン」という登録で、単独の犬種として認められたのは数年後になります。
「イエロー・レトリバー」と呼ばれていましたが、1920年より「ゴールデン・レトリバー」に統一されました。
やがてアメリカに渡ったゴールデンは、その陽気で従順な性格が強められ容姿もゴージャスに改良され現在の「アメリカタイプ」が確立されました。
イギリス、アメリカどちらもフレンドリーな気質は共通で、今も優秀な鳥猟犬に変わりありませんが、現代では主に素晴らしい家庭犬や介助犬、セラピー犬として私たちを支えてくれています。
ゴールデン・レトリバーの祖先はロシア犬だった?
「1985にイングランドのブライトンで興行していたロシア・サーカス団で曲芸や学者犬をしていた8頭の犬が素晴らしかったことから、トゥイードマウス卿が買い入れたそのロシア犬がゴールデン・レトリバーの祖先犬となった。」
所説ありますが、この説は信じがたいとされています。
ゴールデン・レトリバーの2つのタイプ
ゴールデン・レトリバーは、イギリスタイプとアメリカタイプがあります。
画像引用元:https://nestle.jp/
✔イギリスタイプ
・鳥猟犬としての能力を重視したフィールドタイプが多い。
・骨格がしっかりしていて頭も幅広。全体にどっしりとした印象。
・動きがスピーディで活動的。
・毛色は、ホワイトに近いクリーム系が多い。
・性格は、穏やかで非常に従順。
✔アメリカタイプ
・ドッグショーを意識したショータイプが多くフィールドとの割合は半々ぐらい。
・頭も体もすらりと細身。
・毛色は、イエローからゴールドの濃いめが主流で被毛は長くてボリュームがある。
・性格は、開放的で陽気で明るく元気いっぱい。
・日本に多いのはアメリカタイプ。
日本にいるゴールデンは、このショータイプのアメリカ系が大半です。アメリカでは、フィールド向きのイギリスタイプは数が多く、両タイプがおおよそ半々で混在しています。
ゴールデン・レトリバーの性格
ゴールデンはもともととても友好的で、家族以外の人に対しても威嚇したり攻撃な態度をみせることはまずありません。
散歩のときに出会う、他の犬にも寛容な態度で接することができます。
子供と一緒になって遊ぶことも大好きで、優しい態度をとるので、大型犬ではありますが子供のいる家庭の飼育でも問題ありません。
いつも興味がいっぱいで、飼い主の言葉を楽しそうに待っているような可愛らしい性格です。
そんなときには、何かものを持ってくることや、運ばせたりする仕事を与えると喜んで覚えてやるようになります。
なにかきちんとできた時や思わず感心してしまうようなことをゴールデン自身が考えてやったときには、言葉と態度でたっぷり褒めましょう。
飼い主に褒められることや役に立つことが大好きなゴールデンは、褒められたこときちんと覚えて次にも同じ仕事をしてくれるようになります。
そういった性格をよく理解し、物事を教えることが利口で反応の良い犬になるコツでもあります。
オスとメスの性格の性格の違い
いつまでも男の子気質でやんちゃで甘えん坊ですが、家や家族を守ろうとする意識が高いので子供を様々な危険から守ろうとするところがあります。
家族が女性だけの家庭でオスを迎え入れた場合、義感が強く表れリーダーになろうとして女性の飼い主の指示を聞かない場合があります。
オスを飼いたい場合は、家族に男性がいる方がしつけやすいと言われています。
気立ての良さはオスメス共通してどの犬種よりも優れているところですが、メスは際立って優しく子供が大好きで面倒見もいいです。
オスよりも、しっかり者で落ち着いている傾向があります。
初めて大型犬を迎える場合にはゴールデンのメスが良いとも言われています。
ゴールデン・レトリバーの特徴
ゴールデンは穏やかでおとなしいというよりは、どちらかといと「はしゃぎすぎ」という印象もある犬種です。
この「はしゃぎすぎ」の特徴には、良い面も悪い面もあります。
・常に飼い主の言葉を待っているいつでもスタンバイOK状態になっているので行動が早い
・大好きなフリスビーやボール投げなどは、飼い主のもとへ咥えて持ってくる可愛い面がある
・大げさに褒めすぎるとテンションが高くなりすぎて大騒ぎになってしまう。
※こういった場合には一度冷静にさせてから訓練を続けたり、興味に合わせて訓練の内容を変えていきます。
水が大好きで水泳も上手
祖先の代から、水辺の作業に従事していたため水泳は得意な犬種です。
水をよくはじくようにアンダーコート(下毛)は密生しているのも特徴で、とにかく水遊びが大好きなので水辺では自ら飛び込んでバシャバシャとはしゃぎます。
関節や筋肉のリハビリ療法やダイエット、ストレス解消などに、犬用プールや海へ行って泳がせるのもおすすめです。
優れた感覚とソフトマウス
主にニオイを頼りに獲物を探しあてていた鳥猟犬なので、嗅覚に優れています。
獲物を傷つけないように歯を立てず咥える「ソフトマウス」という能力も持っています。
ゴールデン・レトリバーは大食漢
大食漢はゴールデンの特徴でもあります。
ゴールデンに限っては、食が細くて心配というようなことはほとんどありません。
食事もおやつも与えれば与えるだけどこまでも食べ続け、食いしん坊なため、誤飲や誤食にも注意が必要です。
どの犬種にとっても肥満は大敵で、深刻な成人病の原因になったり寿命を縮めることにつながります。
しつけや訓練にこの大食漢の特徴を活かしておやつを与えながら教えるのは、とても効果的ではありますが決められた食事以外にはあまり間食させない工夫も必要です。
なりやすい病気の種類
ゴールデン・レトリバーには、比較的かかりやすい病気がいくつかあります。
きちんと健康管理をすれば、防げる病気やケガもあるので予防をこころがけましょう。
画像引用元:http://www.fujiidera-ah.com/
股関節の異常により片脚を引きずったり、腰をふりながら歩いたり、正しいお座りができずに横座りをする症状が見られます。
体重が増加し、動きが活発化する生後6カ月~1歳頃あるいは成犬になって気付くことも多いです。
軽度の場合には引き運動を多くすることで周辺の筋肉を鍛えて股関節をカバーすることができます。
過度の運動をすることで症状悪化する場合もあるので医師の指示に従い適度な運動を心がけ、関節への負担を軽減するためには肥満防止は必須です。
リンパ節、肝臓や脾臓などの臓器を原発とする腫瘍です。
悪性リンパ腫のできる場所によっていくつかのタイプがありますが、体表のリンパ節が腫大する多中心型リンパ腫が最も多いタイプです。
悪性リンパ腫を発症しても、初期には体表のリンパ節が腫れるのみで特に症状が見られないこともありますが、進行すると元気消失や食欲低下、体重減少などがみられます。
治療をしなければ、多くの場合、数週間程度で死亡してしまいます。
悪性リンパ腫は抗がん剤によく反応することが多いため、複数の抗がん剤を組み合わせて治療することで腫瘍が小さくなることが期待できます。
化学療法に良好に反応している期間は、これまでの生活の質を維持できる可能性があります。
ほとんどの症例では悪性リンパ腫は再発し、最終的には死亡してしまいますので、早期発見、治療ほど予後が良いので体のしこりやコブを見つけたら早めに受診しましょう(参照元:松原動物病院)
突発性の場合も多く、アトピー性、アレルギー性、脂漏性などが挙げられます。
皮膚を不潔にしているとさらに起こしやすい皮膚環境になるので清潔に保つことが大事です。
痒いところを舐めてしまいそこから二次感染を引き起こし化膿することも多いので慢性化する前に早めに発見して治療するのが大切です。
体重・大きさ
メス | オス |
体重:25~29kg | 体重29.5~34kg |
体高:51~57cm | 体高56~61cm |
オスはメスよりひとまわり大きく、丈夫で被毛も豊かなので見栄えが良く、メスは細身で見た目にもソフトな印象があります。
ゴールデン・レトリバーの寿命
平均寿命10~13歳といわれています。
犬の1年は人間でいえば4~5年にあたり、いったん病気になると進行も早く、それだけ老化のスピードも速いと言えます。
確実に早期発見を・治療を目指すのであれば、成犬期は年に1回の定期健診、7歳以降はできるだけ年に2回の健康診断がおすすめです。
毛色の種類
ゴールデンの名前の由来にはその美しい金色の被毛に由来しますが、実際には金色といっても色々あり、単色ではありますが白に近いクリームから赤茶色に近い色までバリエーションは豊富です。
✔ゴールドの中でも薄い色合い:ホワイトクリーム
画像引用元:https://golden.min-breeder.com/
・真っ白でもクリームでもない繊細な色合い。
・陽光に透かされた時のキラキラとした上品な輝きが魅力。
✔ゴールドの中でも濃い色合い:マホガニーレッド
・輝きとしなやかさを併せ持つ華やかな赤毛。
・アイリッシュ・セターの毛色で知られています。
生涯で毛色が移り変わる
<生後3か月>
幼犬のころは薄かった毛色が少しずつ濃くなってその子本来の毛色に移り変わります。
最初の換毛期では軽くて柔らかいパピーコートがごっそり抜けるので、こまめなブラッシングをして余分な毛を取り除きます。
アンダーコートが豊かでケアを怠ると毛玉ができやすくなります。
<1歳半~>
ボリュームがありしなやかで見た目はとても美しいですが、手入れは大変です。
<高齢期>
歳をとると毛室が落ちてぱさぱさになっていきますが、毎日のブラッシングとケアでしなやかさを維持しましょう。
ゴールデン・レトリバーのミックス犬種
✔ゴールデン×ラブラドール
画像引用元:https://www.pet-coo.com/
✔ゴールデン×スタンダードプードル
画像引用元:https://www.pet-coo.com/
✔ゴールデン×シェパード
画像引用元:http://www.pet-home.jp/
飼育方法
ゴールデンが精神的にも肉体的にも完全に大人になるのは、だいたい2歳ぐらいといわれています。
✔体重管理の基本をまずはしっかりつくる。(常時1歳半ごろの体重が理想)
※ゴールデンは大食漢のため、1歳半の体重を記録しておきそれを目安に管理することが大切。
✔日本の高温多湿な気温は苦手なので、夏場は早朝や夜の涼しいときを選んで散歩にいくようにする。
✔心身ともに満たされるよう、ボール遊びやフリスビーなども取り入れて運動をさせる。
✔愛犬の健康管理の上でもブラッシングやホームケアを日課に。
高齢期の飼育方法
✔7歳以降から徐々にフードを消化の良いシニア用に切り替えてる。
✔寝る時間も増えてきますが、気分転換の運動は様子をみながらする。
✔老化の場合犬は後ろ足から弱ってくので、少しよれて歩くようになったら外での散歩はより注意する。
✔老犬はバスタオルなどを腰からまわして吊るすように支えてあげると歩きやすくなることもあります。
✔夏の暑さや冬の寒さなどの温度調節が上手にできなくなるので、日頃から気を付けるようにする。
ゴールデンレトリバーのしつけ
しつけは生後5か月ごろから始めるのがちょうどいいとされていますが、家庭に迎え入れた時からしつけは始まっています。
まだ5か月未満の仔犬でも、事あるごとに話しかけ少しずつでも覚えていくように飼い主や家族の共通のルール作りは大切です。
とくに家族に身体を触らせること(お腹や脇の下、足先や顔周り、耳などすべて)は、先々のしつけや手入れにおいて大切なので、全員ができるようにしておきましょう。
生後6か月~1歳ごろまでは、自我も芽生え始めるのでこの時期に甘やかすと後が大変なので、しっかりと「オスワリ」「マテ」「フセ」「コイ」など基本のしつけを行います。
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