フワフワした被毛にぬいぐるみのような可愛さのポメラニアンは、長年人気の高い犬種ですね。
最近では可愛くカットされている子もよく見かけます。
今回はポメラニアンについてご紹介します。
ポメラニアンの歴史
東欧のポメラニア地方が原産地なことから「ポメラニアン」との名前が付きました。
ポメラニアンは、家畜小屋の番犬や狩り、そり引きなどをする大型犬のサモエドです。
初期のポメラニアンの多くは白い毛色で20kgほどの大きさだったといいます。
18世紀にはヨーロッパの王族や貴族に飼われるようになり、熱心な愛犬家の英ビクトリア女王にもとても愛されました。
女王自ら繁殖も手掛け、ウィンザー城の犬舎で、品種改良を重ねた記録も残っています。その結果、体の小さなポメラニアンに改良されました。
ドッグショーにも出展し、女王のポメラニアンが優勝したことから、一気に人気が高まりました。
その後、様々な犬種と交配を重ねることで、毛色の種類も増えていき、更に小型化されていきました。
日本にきたのは明治初期といわれていて、1970年以降に「座敷犬」と、屋内で飼われる犬として大人気になりました。
それまではほとんどが外で犬を飼っていたので、マルチーズ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンの座敷犬と呼ばれる犬種が人気になってから、家の中での犬を飼うことが一気に広まったのです。
ポメラニアンの特徴
豊かな被毛で、首周りはたてがみのような毛、お尻部分は羽飾りのような毛で覆われています。尻尾もフサフサで、大きく扇形に広がるのも特徴的です。
被毛は二重構造のダブルコートで、トップコートは長く粗い直毛、アンダーコートは短く柔らかい被毛になっています。
抜け毛は多い犬種です。
ふわふわな長毛種のため、カットでのアレンジがしやすいです。
毛色の種類が多いのも特徴で、ホワイト、ブラック、レッド、オレンジ、セーブル、クリーム、ブラウン、グレイシェーデッド、ビーバー、ブラックアンドタン、ブラウンアンドタン、スポット、ブリンドルなど。
耳は小さく、大きく真ん丸な瞳、短い鼻が特徴です。
- 原産国 ドイツ
- 平均体重 2.0~4.0kg
- 平均体高 20cm前後
- 平均寿命 12~16年
ポメラニアンは個体差がとても大きいです。
骨格によって適正体重が変わってきますので、平均サイズは目安程度にし、獣医さんに適正体重を教えてもらいましょう。
ポメラニアンの性格
身体は小さいですが、祖先の気質が残っていて、体力があり好奇心旺盛で活発です。
友好的で協調性もありますが、とにかく飼い主さんが大好き。飼い主さんに依存しやすい犬種でもあります。
仲間の保護意識が高く、飼い主さんや家族、一緒に飼われているペットを守りたい気持ちから外的刺激に反応しやすい傾向にあり、吠えやすいともいわれます。
賢いので、しっかりと躾をすれば、非常に飼いやすいです。
甘えん坊な性格もあるので、大好きな飼い主と一緒に過ごす時間が何よりも好きでしょう。
ポメラニアンの飼育方法
しつけ
特にポメラニアンに気を付けたいしつけは、無駄吠えさせないことです。
外で音がしたり、見知らぬ人に吠えたりと警戒心が強いので番犬にはピッタリですが、鳴き声が高く、うるさく感じる人もいるのでしっかり躾けてコントロールできるようにしましょう。
体力があり元気いっぱいなので、運動量も多いです。犬がぐんぐん飼い主を引っ張っていくような散歩の仕方はせず、飼い主の横で歩けるようにしたいですね。
勇敢な性格なので、中には自分よりも大きな犬に向かっていく子もいます。トラブルの原因にもなるので、日頃の躾をしっかりして、飼い主の言うことを聞けるようにしましょう。
ポメラニアンは頭の回転が早いので、躾しやすいですが、飼い主には甘えん坊になるので、つい甘やかしてしまう飼い主さんは少なくありません。
過剰な甘やかしは立場が逆転し、自分の方が偉いと思って言うことを聞かなくなってしまいます。
また分離不安症にもなりやすくなります。犬の訴えをすべて受けてしまうような甘やかしはいけません。
飼い主さんがしっかりと躾けることができれば、とても従順で愛情をいっぱいくれる飼いやすい犬種です。
お手入れ
ポメラニアンのふさふさで美しい被毛をキープするには、毎日のブラッシングが欠かせません。
1日1回はブラッシングをしましょう。毛並みはもちろんですが、皮膚病予防にもなりますし、いいスキンシップにもなります。
換毛期は特に抜ける毛量も増えるので、この時期は念入りにブラッシングをしてあげて下さい。
成犬の場合、シャンプーは月に1回ほど必要です。
ご自宅でされる場合は、シャンプー後にドライヤーなどを使い(熱すぎる温風には注意)、毛の根元をしっかり乾かすことが大切です。
運動
小型犬のポメラニアンですが、特に運動が好きな犬種です。体力もあるので、1日2回、20~30分くらいは散歩させましょう。
天気が悪かったり散歩に行けない場合は、部屋の中でおもいっきり遊ばせてあげましょう。
運動不足はストレスが溜まり、吠えたり噛んだりする行為にも繋がります。
食事
実はポメラニアンは肥満になりやすい犬種でもあります。
毛がふさふさしているので、肥満に気が付きにくいですが、定期的に体重を測り、食事量も管理しましょう。
肥満の原因の多くは、食事よりもオヤツのあげすぎです。
甘え上手なポメラニアンに負けて、オヤツの与えすぎには注意が必要です。
ポメラニアンが気をつけたい病気やけが
膝蓋骨脱臼
ポメラニアンは、後ろ足の膝のお皿がずれてしまう膝蓋骨脱臼に注意が必要です。
先天性と外傷性があります。外傷性は、交通事故や、階段やソファーから飛び降りた時などの衝撃、滑りやすい床で起こります。
外傷性の場合は予防が出来るので、室内では床が滑らない対策、高い場所からの落下防止をしましょう。
爪や足裏の毛が伸びている場合でも滑ってしまうので、お手入れも定期的にしましょう。
骨折
ポメラニアンの骨は他の小型犬に比べて細い犬種なので、骨折しやすいのです。
激しい運動や遊んでる最中も注意が必要です。
また、肥満は足に負担がかかりケガがしやすい状態になるので、体重管理も大切です。
階段や椅子、ソファーなどからの落下や、フローリングで足を滑らせて怪我をするケースも珍しくありません。
ペット用の階段を設置したり、床にマットを敷くなどの対策をしましょう。
気管虚脱
気管が変形して、呼吸障害が起こります。
呼吸が荒くなったり、ガーガーという呼吸音や咳が出るのが特徴です。
体温調整も難しくなるので、熱中症にもかかりやすくなります。
重症化すると、舌の色が紫色になったり、呼吸困難、失神などの症状がでます。
ポメラニアンのような小型犬によく見られる病気で、遺伝や、肥満、老化、ストレス、気管支炎などによって引き起こされます。
また、首輪を引っ張る行為も気管に負担をかけるので、首輪よりもハーネスをおすすめします。
クッシング症候群
クッシング症候群は、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで起こるホルモンの病気です。
ポメラニアンは発症しやすい傾向にあり、特に5歳以上に多いといわれています。
症状はさまざまで、
- 水を飲む量が増え、尿の量が増える
- 毛や皮膚が薄くなる
- 皮膚の色素沈着
- 食欲異常
- 体重が減る
- 筋力低下
- お腹が膨れる
- 呼吸困難
などです。
予防ができないため、愛犬の様子を日頃からよくチェックして、このような症状が出た場合は受診しましょう。
水頭症
脳に脳脊髄液が溜まり圧迫されて脳障害を起こす病気です。
うまく歩けない、立ち上がれない、急に鳴く、痙攣や発作などの症状がみられますが、無症状なことも多いのが水頭症です。
早期発見が大事な病気です。
流涙症
涙やけも多いポメラニアンですが、流涙症も少なくありません。
目に涙が多く溜まり、涙が溢れて目の周りが濡れたり、目の周りの毛の色が変色したりします。
原因は逆さまつ毛や異物などで眼球が刺激されることです。
常に涙が溜まっている場合は受診しましょう。ひどい目やに、感染症、皮膚炎のリスクもありますので早めの治療が大切です。
目の周りを清潔に保つことで予防出来ます。
脱毛症X(アロペシアX)
ポメラニアンに多く見られる脱毛症で、「ポメラニアン脱毛症」とよばれることもあります。
痒みはなく、頭と足以外の全身の毛が抜けてしまいます。
原因不明ですが、去勢していないオスの1~4歳の犬に多くみられる病気です。
予防も難しいため、ブラッシングの際に皮膚や被毛をチェックして、異常があれば受診しましょう。
僧帽弁閉鎖不全症
犬の心臓病で1番発症率の高い病気ともいわれています。重症化すると命の危険もある病気です。
左心房にある僧帽弁が閉じなくなり、血液が逆流してしまいます。
心臓が小さい小型犬は、中大型犬よりも気を付けなければなりません。
特に加齢によってリスクも高まってくるので、なるべく心臓に負担のかけない生活が予防になってきます。
肥満に気を付け、運動不足も激しすぎる運動にも注意が必要です。
初期では症状が出ませんが、徐々に散歩や運動を嫌がったり、食欲が落ちたり、ゼーゼーした咳が出たり、運動すると倒れるような症状が現れます。
定期検診で早期発見しやすい病気の一つでもありますので、ぜひ検診を受けましょう。
ポメラニアンと長く過ごすために
フサフサの尻尾も寒冷地に暮らしていた先祖から受け継がれたもので、丸まって寝る時には顔をうずめ、冷たい空気を吸わないようになんだそうです。
今は室内で飼われ、冷たい空気も吸うことはなくなりましたが、そんな話を知っていると余計に愛おしくなってきますよね。
丸くてふさふさした可愛いポメラニアン。飼い主さんへの愛がとても大きく、一緒に過ごす時間が大好きです。
そんな時間が長く続くように、飼い主さんも、日頃のお散歩やブラッシング、愛犬がストレスを溜めないような環境作りを頑張っていきましょう。