暖かい部屋から寒い部屋へ移動したときなどに起きやすい「ヒートショック」。
心筋梗塞や脳卒中など突然死の原因にもなります。
人の場合は特に温度差の大きいトイレや脱衣所で発生しやすい場所とされ、年間で約19,000人もの人が亡くなっています。
実はこのヒートショック、犬でも増えていることをご存知ですか。
今回は犬のヒートショックについてご紹介します。
ヒートショックとは
寒いところから暖かいところ、暖かいところから寒いところなど急激な気温差によって、一気に血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こることをヒートショックといいます。
心臓に負担がかかり、血圧の乱高下に伴い、脳内出血や心筋梗塞、脳梗塞などが起こります。
また人間より体が小さいうえに、被毛を着脱できない犬にとって急激な温度差は人間以上に負担がかかってしまうのです。
犬のヒートショックが起こりやすい状況
10℃の温度差でヒートショックが起きる可能性があるといわれています。
犬のヒートショックで最も起こりやすいのが、暖かい室内から散歩に行くために寒い外に出た時、散歩から帰ってきて一気に暖かい部屋に入った時といえます。
他にも、愛犬のトイレが普段過ごしている場所より寒い場合や、お風呂場でのシャンプー、シャンプー後の冷えた脱衣所、冷えた車内なども気をつけたいシチュエーションです。
犬のヒートショックの症状
症状があらわれる場合もありますが、突発的な心筋梗塞や心臓疾患は飼い主さんが気がつかないくらい静かに倒れたり寝てるようにも見えることが少なくないといいます。
散歩で疲れたかと思っていたら、亡くなっていたということも。
下痢・嘔吐
突然の下痢、嘔吐などはヒートショックの症状のひとつである可能性があります。「外が寒かったから冷えたかな」と軽く考えてしまいそうですが注意が必要です。
ふらつき・眼振
血行が急に悪くなるため、ふらついて歩いたり、眼球の動きがおかしいなど視点が定まらなくなります。
温度差からこのような症状が見られた場合は、ヒートショックの可能性はとても高いようです。
チアノーゼ
普段はピンク色である口中の粘膜や舌が、青紫色や赤紫色などやや黒ずんだ色やチアノーゼの状態は、血液中の酸素が不足している時に出る症状です。
ショック状態によって血流が低下し、貧血となっている状態かもしれません。口内や歯茎が白っぽくなっていることも。
呼吸異常・呼吸困難
呼吸が弱くなったり苦しそうな症状は、とても危険な状態です。直ちに動物病院で診てもらいましょう。
特に気をつけたい犬
- 子犬
- 高齢犬
- 持病のある犬
- 痩せている犬
- 肥満気味の犬
犬のヒートショックの予防対策
ヒートショックは死の危険もあり、事前に予防することがとても重要になります。
急な温度変化を避ける
ヒートショックの一番の原因は急激な温度変化です。
冬の散歩やシャンプーは出来るだけ暖かい日中に行えるといいですね。
徐々に体を慣らしていくために、暖かい部屋から寒い外に出るときは、玄関などでしばらく体を慣らしてから出発する、部屋の暖房を散歩前に切って室内の温度を下げてから外に出るなども対策になります。
家から出る時だけではなく、散歩から帰ってきたときも暖かい部屋にいきなり入るのは危険なんです。一度、玄関などの涼しい場所で足を拭いたりお水を飲ませたりなど数分過ごすだけでも負担は軽減します。暖かい部屋に入るため体を慣らしましょう。
また、車でお出かけの際も車内との温度差を考慮しましょう。
ウォーミングアップとクールダウン
散歩やドッグランなどで体が温まる前に愛犬が興奮してしまうと、心臓や関節などにも負担が掛かります。
そのため、激しい運動をする前にはゆっくり歩くなどのウォーミングアップをしてから徐々に運動量を増やしていきましょう。
クールダウンも大事です。散歩の最後にダッシュしたまま家に入るなどは危険です。散歩やドッグランの最後は息を整えながらゆっくり歩き、平常な息遣いになってから帰りましょう。
服を着せる
防寒のために、外に出る時には服を着せたり靴を履かせるのも対策になります。
とくに寒さに弱い犬や、寒い地域では防寒着としてダウンなどもオススメです。愛犬に合った防寒方法で対策したいですね。
ヒートショックを予防して冬を乗り越えよう
飼い主さんの少しの工夫や意識で愛犬のヒートショックが防ぐことができます。
我が家でも、散歩後には早く暖かい部屋に入れてあげようとしていました。それがかえって愛犬に負担をかけていたとは…。
一度玄関や廊下などで過ごすことにします。散歩前に玄関先などに給水用の水や、体を拭く準備をしておくと便利ですね。
冬はヒートショックだけでなく、持病の悪化やケガも多い季節です。
愛犬の様子がいつもとちょっと違うなと早く異変に気付くためにも、普段の状態を知っておくことも大切です。コミュニケーションをとりながら、日ごろから愛犬の体の様子を隅々観察しておきたいですね。
ヒートショックかと思うような症状がみられたら、いち早く受診してください。