猫のペロッとした舌は可愛いですね。
毛づくろいしたり、猫同士や飼い主さんとの愛情表現やコミュニケーションで舐めたり、水を飲むときにも人間とは違って舌先を後ろ側に反らしながら飲んでいるため、舌の裏の筋肉も発達しています。
猫にとっては、舌は日常的によく使う部位です。
その舌をよく観察していると、「アレ?いつもと何か違う」と異変を感じることがあるかもしれません。猫の舌は健康のバロメーターともいえる部分なのです。
今回は猫の舌から分かる病気をご紹介します。
愛猫の舌を日頃から観察するきっかけにもなってくれると嬉しいです。
健康な猫の舌
健康な舌の状態を知っておきましょう。
色はピンク色~やや濃いサーモンピンク色です。
舌の形はUの字で輪郭を保ち、中心から奥に向かって厚みがあります。
糸状乳頭と呼ばれる舌の小さなトゲは、舌の中心に集中していて、のどに向かって一方向に生えています。
異変のある猫の舌
色
舌の色がピンク色ではなく、白っぽい、赤い、黒い、紫色などになっている。均一ではなく、部分的やまばらな色になっている場合も注意が必要。
形
舌の縁がキレイなU字ではなく、ギザギザしていたり、一部が丸くなっていたり左右対称ではない。
状態
腫れている、ただれている、出血がある。
疑われる病気
貧血
舌の色が白っぽくなっている場合は貧血や栄養不良の可能性が考えられます。
舌だけではなく、口の中全体、また鼻の色も白っぽく見えることもあります。
口内炎
舌や口の中が赤く腫れたり、ただれ、出血などの症状が見られます。強い口臭が出ることもあるので、あくびや毛づくろいなど口を開けた時に気づくことも。
痛みも強く出るので、水を飲まなくなったり食事をしなくなったりすることも少なくありません。
原因はウイルス感染が多く、歯石や歯垢など口内環境が悪い場合も発症しやすくなっています。
猫の口内炎は治りにくく再発しやすい、重症化しやすい、他の病気を併発しやすいこともあり、早めに気がついてあげることが大切です。
口腔腫瘍
口腔腫瘍の中でも悪性の場合は、線維肉腫、メラノーマ、扁平上皮ガンなどがあります。
猫で最も多いのが扁平上皮ガンで口内腫瘍の70~80%ともいわれています。
はっきりとした原因は分かっていない病気で、主に歯肉や舌、口周りにできる癌です。
主な症状は、口の中のしこり、赤く腫れている、ただれ、出血、血の混じったヨダレが出ます。
扁平上皮ガンは口内だけではなく、目、鼻、全身の皮膚、爪の周り、腹部などにも出来る悪性腫瘍です。
現在、患部を切除すること以外に根本的な治療法がないといわれています。
好酸球性肉芽腫症候群
好酸球性肉芽腫症候群は、さまざまな外敵から守る白血球の一種である「好酸球」によって、できものができる病気です。
「無痛性潰瘍」「好酸球性プラーク」「線状肉芽腫」があり、舌に発症するのは「無痛性潰瘍」「線状肉芽腫」です。
詳しい原因は不明ですが、アレルギー体質の猫の症例が多くみられるようです。
症状は主に口内の粘膜、舌、上唇下唇。赤み、赤褐色の硬い潰瘍や傷ができます。全体的に赤く盛り上がり、中心は白っぽく凹みます。刺激を与えると出血することも。
治療はレーザーかステロイドですが、再発する場合もあります。
舌を観察する方法
猫の舌をしっかりと観察するのは難しいかもしれません。
毛づくろいしてるときに覗いてもちょっとしか見えませんよね。
ペースト状の食べ物などを飼い主さんの手に出して、舐めさせているところを観察するのが一番簡単かもしれません。
しかし、口の中全体にチェックすることはできないので、動物病院の分かりやすい動画があったので載せておきます。
これが出来ると、口内チェックはもちろん、万が一の歯のトラブルやお薬を飲ませる時などにもいいですね。
愛猫の舌をチェックする習慣を
他の動物以上に、猫は舌をよく使って生活していますね。そのため舌はとても重要な役割があり、異常があると日常生活にも支障をきたします。
舌の色、形などの状態がおかしいなと思ったら早めに受診しましょう。
放っておくと、症状悪化はもちろん、食事や水分が取れなくなり一気に衰弱してしまうことも珍しくないようです。
「いつもと違う」を察知するには、いつもの状態を知ることからですよね。
愛猫とコミュニケーションを取りながら、日常的に口内や舌をチェックする習慣をつけておきたいですね。