猫がかかりやすい病気の中に必ず入ってくる「膀胱炎」。
動物病院での診察も猫の膀胱炎はとても多いようです。
しかし、症状に気が付きにくく、大きな症状が出た時にはかなり悪化していることもあります。
重症化すると命の危険もある病気なので、早期発見がとても大切です。
今回は、猫の膀胱炎についてご紹介します。
猫は膀胱炎にかかりやすい動物
猫は元々、砂漠に生息していました。
そのため少ない水でも生きていけるように、体内ではおしっこなどの水分をとても大切に使っています。
そのような身体的な本能もあって、膀胱炎など泌尿器系の病気に猫はかかりやすいのです。
膀胱炎ってどんな病気?
膀胱は、腎臓で作られた尿を一時的に貯め、ある程度の量になったら体の外にだす働きをします。
やわらかく伸縮性のある粘膜が、尿が貯まると伸びて膀胱が拡張されると、尿意を感じます。
この膀胱自体に炎症が起こすのが膀胱炎です。
猫の膀胱炎の原因
原因は大きく分けて3つあります。
細菌による感染
ブドウ球菌や大腸菌などの細菌が膀胱内に侵入して炎症を起こす「細菌性膀胱炎」です。
尿道口から尿道を通って膀胱に入り、膀胱内で細菌が増殖します。
バリア機能が低下しているシニアの猫が比較的かかりやすいといわれています。
結石による膀胱炎
若い猫の膀胱炎の原因は結石が多いとされています。
尿石症といって、食事や遺伝などの原因で膀胱内に結石ができてしまう病気で、その結石が膀胱の粘膜を傷つけて炎症が起こります。
結石の大きさもさまざまですが、猫は砂のような結石が多量にできることが多いようです。
結晶状の結石が尿道に詰まってしまう「尿道閉塞」はオスの猫に多く、重症化すると命にかかわります。
特発性膀胱炎
はっきりした原因がわかない場合の膀胱炎を特発性膀胱炎といいます。
検査をして、原因と思われる細菌や結石などが検出されないことも少なくありません。
特発性膀胱炎は若い猫に多く、ストレスや肥満なども関係していると考えられています。
猫の膀胱炎の症状
頻尿
おしっこが少量しか出ない、トイレの回数が多くなる、残尿感、おしっこの切れが悪くなる、排尿姿勢になってからおしっこが出るまでの時間が長いなどの症状が出ます。
また、トイレとは違う場所でしてしまうことも。
血尿
血が混じる血尿や、ピンク色、白く濁ったようなおしっこが出ます。
また膿が混じりドロッをしたような場合も。
排尿痛
おしっこをする時に痛みが出て、鳴くこともあります。
陰部を気にする
落ち着かずに陰部を気にしていたり、頻繁に舐めるような症状がでることもあります。
尿が出ない
排尿姿勢をとってもおしっこが出ない、半日以上出ていない場合は要注意です。
おしっこが出ないと、腎不全や尿毒症の危険性が出てきます。
老廃物が排出されずに体内に毒素がたまって、命に係わるとても危険な状態になるので、おしっこが出ていないことに気が付いたら、すぐに受診しましょう。
膀胱炎の予防対策
水分をよく摂る
飼い主さんが意識して愛猫に水分補給してもらえるような工夫が必要です。
いつでもどこでも水が飲めるように、1カ所ではなく、数カ所給水できる場所を作ってあげましょう。
水をあまり飲まない猫はドライフードよりもウェットフードに変えてみてもいいですね。
気持ちよくおしっこが出来る環境
猫は繊細で敏感です。
トイレの場所が変わったり汚れていると、おしっこをしません。
常に清潔に保ち、気持ちよくおしっこ出来るようにしてあげましょう。
ストレス、肥満に気をつける
膀胱炎の原因としてストレス、肥満が考えられます。
太りすぎの場合は、まずは食生活を見直してみましょう。
愛猫がストレスを抱えていないでしょうか。
ストレス発散できるように、飼い主さんとのコミュニケーションや遊び、適度な運動も大切です。
愛猫の様子をよく観察しましょう
猫は我慢強く、痛かったり体調が悪くても、あまり訴えません。
そのため症状に気が付いた時にはかなり進行していることも珍しくないといいます。
飼い主さんが、愛猫が普段どれだけ水分を摂っているか、トイレの回数や量、におい、色などをよく知っておいて、いつもと違うなと異変を感じた時には迷わずに動物病院へ行ってほしいと思います。
また猫が膀胱炎にかかると、約半数が1年以内に再発してしまうという再発率の高さ。
常日頃からの膀胱炎対策は大切ですね。