命の危険も!?犬のフィラリア症【症状・予防・予防薬の注意など】

暖かくなるとそろそろフィラリア予防の時期!というのは、多くの飼い主さんがもう知っていますよね。

しかし「フィラリア」という病気、曖昧な知識や誤った知識を持っている人も少なくないようです。

今回は、フィラリアの病気についてご紹介します。

フィラリア症ってどんな病気?

「フィラリア」とは寄生虫の名前です。

この寄生虫が蚊を介して犬の体内に入り込み、心臓などに機能障害が起こる病気です。

フィラリア症、犬糸状虫症といわれます。

犬以外にも猫や人間にも感染します。

国内でも人間への感染は過去に100例ほどあるようですが、重症化することはほとんどないといわれています。

また、猫にも感染しますがフィラリアが体内で育ちにくいようです。それでも犬と同様に死に至ることもあるので予防対策は必要です。

犬の体内はフィラリアが寄生しやすいので、どの犬も気をつけなくてはなりません。

フィラリアを媒介する蚊は16種類

現在、日本国内でフィラリアを媒介する蚊は16種類です。

アカイエカ、コガタアカイエカ、チカイエカ、カラツイエカ、ネッタイイエカ、ヨツボシイエカ、トウゴウヤブカ、ヒトスジシマカ、キンイロヤブカ、ネッタイシマカ、ホッコクヤブカ、アカンヤブカ、チシマヤブカ、カラフトヤブカ、シナハマダラカ、アシマダラヌマカ。

感染のメカニズム

蚊が、フィラリア症に感染している犬の血液を吸います。(血液と一緒に幼虫も吸い込みます)

蚊の体内にフィラリアの幼虫「ミクロフィラリア」が入ります。

その蚊が他の正常な犬を刺すと、その犬の体内にミクロフィラリアが入り感染します。

犬の体内に入ったミクロフィラリアは、大きさ約0.2mm。

約2~3カ月かけて成長していきます。

成長しながら移動して、心臓の右心室から肺動脈に寄生します。

約6~7カ月でフィラリアが成虫に。

成虫したフィラリアは、オス体長約17cm、メスで約28cmで、乳白色のソーメンのような細長い形をしています。

心臓の右心室から肺に血液を送り出すので、その場所にフィラリアがいると十分な量の血液を流すことが出来なくなり、さまざまな障害が現れるようになります。

犬にみられるフィラリア症の症状

  • 元気がない
  • 食欲不振
  • 疲れやすい
  • 散歩や階段を嫌がる
  • 苦しそうな呼吸
  • 痩せる
  • お腹の膨らみ
  • むくみ
  • 血尿
  • 貧血

フィラリア症は初期はあまり大きな症状があわられないため、気が付かないこともあります。

咳は、早朝や興奮したときなどに乾いた咳が出ます。

寄生虫の数が多い場合は、「腹水」といってお腹に水が溜まりお腹が膨らんだり、血尿、貧血、呼吸困難などの症状が出て、かなり進行した状態になっています。

急死することもあるので、緊急の受診が必要です。

フィラリア症の予防対策

フィラリア症はほとんど予防薬で防ぐことができます。

この予防薬の役割は、蚊に刺されるのを防ぐわけではなく、蚊に刺されて体内に入ってきたミクロフィラリアが成長して心臓に寄生する前に駆除するというものです。

そのため、できるだけ蚊に刺されないようにする対策は飼い主さんがして、体内に入ってしまったフィラリアは予防薬で確実に駆除するという方法で予防しましょう。

蚊に刺されないように

蚊は湿気があり暗い場所に発生しやすいといわれています。

水田や川、排水溝や水たまりからはもちろん、雨水が少しでも溜まる湿地や捨てられた容器、プランターの受け皿など様々な場所が発生源になります。

愛犬の散歩道に自然が多い場所は特に気をつけたいですが、自宅の庭やベランダでも蚊は生まれますし、高層のマンションであっても安心はできません。

犬にも負担なく使える虫よけや、散歩時には服を着て蚊に刺されないような対策をしましょう。

予防薬のタイプ

予防薬には、注射、滴下剤、内服液などがあります。

注射

注射は、1回で半年~1年間の効果があります。

毎月の予防が難しい場合や、お薬が苦手な子などにおすすめです。

滴下剤

月に一度、首の後ろや、肩甲骨の間などに液体薬を滴下します。

ノミ、ダニの予防も一緒に兼ねているものが多いです。

注射、お薬が苦手な子におすすめです。

内服薬

錠剤タイプ、顆粒タイプ、チュアブルタイプなどがあります。

ノミ、ダニ予防も兼ねている薬もあります。

月に一度の服用です。

私はチュアブルタイプの薬。お肉のおやつみたいで毎月大喜びで食べてるよ。

予防薬の前には必ず検査を

一年中投薬している場合以外は、フィラリア症に感染していないかの血液検査を受けてからその年の予防薬を投与し始めて下さい。

もし体内にフィラリアがいた状態で予防薬を投与してしまうと、一度にミクロフィラリアが大量に駆除されて犬がショック死する場合があります。

予防薬の注意点

フィラリア症は予防薬でほとんど防げる病気ですが、注意しなくてはいけないポイントが2つあります。

予防薬の期間

蚊の発生する時期によって投与する時期が変わるので地域差が出てきます。

蚊が発生してすぐに投与する必要はありません。

体内に入ってしまったミクロフィラリアを駆除するための薬なので、飲み始める時期は蚊が発生し始めてから1か月後くらいからです。

そして最も重要なのは、飲み終える時期です。

蚊が発生しなくなってから1か月後にシーズン最後の薬を投与しましょう。

蚊は気温14度以上になると発生し始めます。

地域によりますが、4月~11月に蚊が発生する場所が多いと思います。

その場合は、検査をして5月から投与を開始して12月まで続けます。

動物病院で投与時期は相談しましょう。

また、一年中蚊を見かけるような温暖地域や、アウトドアを頻繁に行う場合、毎年の血液検査が愛犬の負担になる場合など通年投与することもできます。

予防薬の飲み忘れ

月に一度の投薬を忘れてしまうだけで、体内に入ったフィラリアが心臓に寄生する確率が一気に上がってしまいます。

投薬し続けていた意味もなくなってしまうことになりかねません。

必ず忘れないためにもカレンダーにチェックしておくなどしておきましょう。

もし投薬し忘れた場合は自己判断せずに、動物病院に相談してください。

愛犬をフィラリアから守る

フィラリア症は犬の体内で寄生虫が育っていく恐ろしい病気ですね。

昔は野良犬や外飼いが多く、フィラリア症での犬の死亡率がとても高かったのです。

近年、予防について飼い主さんの認識が広がってだいぶ減少してきているようですが、まだ感染してしまう犬は少なくありません。

一度感染してしまうと完治が難しく、手術で心臓からフィラリアを取り除く手術も犬の体にはとても大きな負担がかかります。

しかし、正しく予防することで愛犬を守れる病気です。

暖かくなると検査&予防薬を出してもらうために動物病院も混雑しますので、早めに行けるといいですね。

 

この記事が気に入ったらシェアしよう!