猫の身近な病気【尿石症】

あまり水分を摂らない猫。秋冬は涼しくなり、普段よりも飲水量が減ってきます。
この時期に特に気を付けたい病気「尿石症」。

珍しい病気ではありませんが、発見が遅れたり、重症化すると命に関わる病気です。
早期発見のために、少しでも思い当たれば、早めに受診しましょう。

尿石症とは

尿路結石とも呼ばれ、尿を排出するまでに通る腎臓、尿管、膀胱、尿道のいずれかに結石ができる病気です。

主にストラバイト結石シュウ酸カルシウム結石の2種類があります。

ストラバイト結石は、アルカリ性の尿で形成されやすく膀胱などに結石ができます。
尿石症の約7割がストラバイト結石ともいわれています。

シュウ酸カルシウム結石は、酸性の尿で形成されやすく、膀胱、腎臓、尿管、尿道などに結石ができます。
またストラバイト結石の食事療法を長期行うことで発症する場合も。
再発率が高いのもシュウ酸カルシウム結石の特徴です。

尿道が細くカーブをしているオス猫は尿道に結石が詰まりやすいのでメス猫より重症化しやすいです。
また、去勢手術を受けた猫も発症しやすいといわれています。

こんな症状が出たら要注意

✔何度もトイレに行くが尿の量が少ない

✔尿が濁る、赤色になる

✔おしっこの最中に痛がる

✔おしっこの際に背中を丸めたり震えている

✔陰部を非常に気にしている

✔トイレを失敗する

✔食欲、元気がなくなる

 

 

原因

・食事の種類
・飲水量の減少
・細菌の尿路感染
・遺伝的体質

特に猫は、犬に比べて水分摂取量が少ない動物です。
祖先が砂漠に生息していたことから、水分量が少なくても生きていける身体になったといわれています。

猫が1日に必要な水の量は、体重1kgあたり60~70ml程度です。
食事に入っている水分もこの必要量に含まれるので、あまり水を飲まない猫ちゃんはドライフードよりも缶詰などのウェットフードにしてもいいでしょう。
ウェットタイプにはフード量の約80%が含まれています。

水分摂取量が少なくて結石になりやすいですが、反対に多く摂りすぎていることで考えられる病気などもあります。
猫が一日にどの位水分を摂っている飼い主か把握することはとても大事なことです。

 

飼っている猫ちゃんが一日にどれだけ水を飲んでいるかが一目でわかる容器もあります。
これなら水をあまり飲まなかった日もすぐに気づくことが出来そうですね。

 

治療

採尿、エコー検査やレントゲン検査をし、基本的には食事療法や内服薬での治療。
また、感染症を併発している場合などは抗生物質の投薬も行います。
尿道内の結石を超音波で破砕したり、尿道にカテーテルを挿入する処置などを行うこともあります。

結石が大きかったり、症状が重い場合、シュウ酸カルシウム結石の場合は、外科手術になります。

予防

排尿しやすい環境を作る

猫はとてもきれい好きな動物です。トイレの汚れが原因でおしっこをするのをやめたり我慢することも。おしっこをしやすいように、常にトイレは清潔に保ちましょう。
月に1度はトイレ本体を丸洗いし、砂の入れ替えもしましょう。

バランスのとれた食事

ミネラルバランスがよく、オシッコのpHバランスが整う適切な食事を与えるようにしましょう。
人間の食事はミネラルや塩分がとても高いため、与えてはいけません。

水分をよく摂る

新鮮な水がいつでも摂れるように、水飲み場を何ヶ所かに設置しておくのも良いでしょう。
また、湧き水やミネラルウォーターはミネラル分が非常に高いので、避けましょう。結石が出来やすくなります。

肥満にさせない

腎臓の負担も増え、様々な病気を引き起こしやすくなします。老化を早めますし、運動不足にもなりがちです。
避妊去勢手術を受けた猫ちゃんは特に太りやすいので、食事や運動で予防しましょう。

ストレスを溜めない

猫は神経質なため、ストレスを感じやすいともいわれています。ストレスの原因も様々ですが、相性の悪い猫との生活や多頭飼い、引っ越しや長期の留守番、トイレが汚い、騒音や来客、運動不足などがあげられます。
ストレスを抱えた猫は、異常に攻撃的だったり、脱毛するほど自分の手足を舐めてしまうような行動を起こしたり、反対にじっとしてる場合もあるようです。

 

まとめ

他の動物に比べて、飲水量が少なく、神経質で繊細、ストレスを感じやすい猫にとって、「尿石症」はとても身近な病気です。
かかってしまう猫も少なくありません。重症化すると、命にかかわる病気です。

しかし、早めに発見し治療できれば、大きな負担なく治る病気でもあります。
大切な愛猫の健康を守るために、普段から様子をよく観察して、異変に早く気が付いてあげることが大切です。

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