ソマリは、被毛の色合いとしっぽのふさふさぐあいから「キツネのような猫」と呼ばれることもあります。
アビシニアンのロングヘアタイプで、ソマリの魅力はなんといってもその被毛の美しさにあります。
今回はそんなソマリの歴史や性格、特徴をご紹介していきたいと思います。
被毛の美しさの理由や、季節で変わる被毛の特徴、毛色の種類なども書いてあります。
その他に、運動量や、ソマリのかかりやすい病気や大きさや寿命、手入れの仕方、里親サイトもご紹介していますので、これから飼ってみたいと思っている方の参考になればうれしいです。
歴史
ソマリの遺伝子のルーツは原種となる英国のアビシニアンの血統にまでさかのぼります。
アビシニアンのルーツを少しさかのぼると、1870年代中頃、イギリスの兵士が今のエチオピアにあるアビシニア高原から連れて帰り、そこから「アビシニアン」と名前がついたとされています。
1940年代にブリーダーのジャネット・ロバートソンによってアビシニアンが北米、オーストラリア、ニュージーランドに輸出されました。
時々生まれる長毛猫
アビシニアンの子孫からは時々、毛のふわふわした色の濃い子猫が生まれることがありました。
これまでにも度々、長毛のアビシニアンは誕生してきていたはずですが、こんなにも美しいにもかかわらず、「長毛のアビシニアン」というだけで、価値のない存在として扱われてきました。
アビシニアンから生まれた長毛の猫は、ペルシャのような一般的な長毛猫よりも被毛が短く、かといってセミロングよりもやや短いという、中途半端な印象を与えていました。
1963年にカナダのブリーダー、メアリー・メーリングは、いたずら心で価値の低い長毛のアビシニアンをカナダのキャットショーに連れていきました。
これが大きな転機となります。
ソマリの誕生
キャットショー審査員のケン・マクギルは、長毛のアビシニアンをみるなり、感嘆の大きな声をあげました。
まわりのアビシニアンのブリーダーたちは面白がって興味を示すことはありませんでした。
マクギルは、その魅力に驚き、メーリングから繁殖用に1匹を譲り受けソマリのブリーディングをスタートさせることになります。
もう一つのソマリの誕生
一方、同じころアメリカのアビシニアンのブリーダーエヴェリン・メイグは、長毛の遺伝子を持つ2頭のアビシニアンを、そうとは知らずに交配していました。
メイグは、その長毛のアビシニアンに「ジョージ」という名前をつけました。
去勢した「ジョージ」でしたが、メイグはそのジョージの毛の美しさに魅了され、長毛のアビシニアンをどうしても作出したいと考えるようになりました。
メイグは、長毛のアビシニアンについて調べました。
どうやら「ジョージ」はキャッテリーで数頭生まれたアビシニアンの中で唯一の長毛種だったことがわかりました。
メイグは去勢してしまったことを後悔しましたが、その美しい長毛のアビシニアンの開発をするべく、ジョージの両親を譲り受けブリーディングを開始しました。
アメリカでは徐々にソマリファンが増えていき、ソマリは1980年代にはヨーロッパに渡り1991年までに世界中で公認されました。
ヨーロッパでは北米より多くの毛色が認められています。
ソマリの名前の由来
「ロングアビシニアン」と呼ばれることもあるソマリですが、アビシニアンは「アビシニア(元のエチオピア)」という国の名前が由来となっています。
ソマリは隣国である「ソマリア」からつけられました。
アビシニアンとロングアビシニアンを近しい存在と考え、隣国の名前をつかうことでそれを表しました。
性格
活発でよく遊び大人になっても子猫のような無邪気さのある猫です。
ソマリは比較的運動量の多い猫種で、1日におよそ2~3回遊びたい衝動に駆られます。
明るく社交的なところがある反面、神経質なところもややみうけられるので、気分屋の印象もあります。
愛情豊かで頭もよくしつけもしやすいですが、基本的には膝の上でじっとしているような猫ではありません。
ソマリは生まれつきのハンターで屋外での活動を好みます。
やんちゃでいたずらっ子なところもあるので、運動不足でストレスがたまらないように、よく運動させることが大切です。
ソマリは水を怖がらない猫が多く、風呂掃除やトイレ掃除を邪魔しにくることもありますが、子猫時代や留守中などは、危険防止のため浴槽などには十分気を付けてあげましょう。
鳴き声は、よく「鈴を転がしたような鳴き声」と表現されることがあります。
高い音ではありますが、音量は小さめなので、沢山は鳴きません。
マンションや集合住宅でも飼いやすい猫種です。
特徴
大きな耳と大きなアーモンドアイ鈴を転がしたかのような素敵な声と多くの美点がアビシニアンと同じです。
コートは長毛でもミディアムロングとやや短めです。
スレンダーな体の印象を損なうことのない、でも十分に豪華な印象を与える絶妙の長さです。
魅力的なコートカラーもアビシニアンからうけついでいます。
ふさふさした尾、アーチ型の背中、つま先立ちのような歩き方、この印象的な猫は、世界で最も人気のある猫種の1つです。
✔体型
中ぐらいの長さでしなやか
筋肉が発達しているが硬くない
✔頭部
丸みのある変形くさび型で額、頬、横顔がなめらか
✔耳
大きく目立つ耳
根元は広くカップ形で先端は少し丸みがある
✔口元
正面と横から見て、なめらかにつづくマズル
顎は丸みがある
✔被毛
セミロングのダブルコート
✔四肢
細く長く筋肉質
四肢先は小さな卵形でつま先立ちの印象
✔尾
バランスの良い長い尾はふさふさで、根元は太くわずかに先細り
✔美しい被毛
原種である短毛種のアビシニアンと同様ソマリは、ティックドの被毛を持っています。
ボディの被毛は1本1本に3本~12本の色の帯が入っています。
この色の帯は地色よりも濃く、被毛が豊かになる時期には光沢のある輝きを放ちます。
被毛の色が完全になるまでには最長18か月ほどかかります。
ソマリ春・夏・冬の被毛
春~夏
個体差によりますが春から夏先にかけては、ソマリの豊富な毛が夏毛に代わる換毛期にあたるため、部屋の中に毛がどんどん落ちてきます。
中には、被毛の多くが抜け落ち、ふさふさの尾を除いてほとんど短毛種に見えることがあります。
死毛をそのままにしておくと皮膚トラブルにもつながり、自分でグルーミングもするため大量の毛を飲みこんでしまい毛球症になることもあります。
こまめなコーミングが大切です。
冬
ソマリは冬毛に代わるとモフモフとした密集した毛に覆われますが、決して寒さに強い猫ではありません。
室内温度には気を使い、暖かくしてあげて風邪をひかせないようにしましょう。
ソマリの運動量
ソマリは運動量が必要な猫種です。
しつけがきちんとできたら、家の中を自由に動きまわれるようにしたり、キャットタワーを設置したりと運動量が確保できるようにしましょう。
運動スペースをただ与えるだけでなく、甘えん坊な性格の子も多いので、一緒におもちゃなどでたくさん遊んであげることも大切です。
特にオスの方が感情表現をストレートに表す傾向があるので、オスの方がより甘えん坊でやんちゃ、いたずらっこな性格が多いです。
寂し過ぎるとストレスを感じてしまう事もあります。
なりやすい病気
重症筋無力症
発症数は少ないものの、猫ではアビシニアンとソマリが最も起こりやすいとされている遺伝疾患です。
筋力が低下することで、運動をするとすぐに疲れるようになってしまいます。
歩く場合は、歩幅が減少したり、次第に歩くのも困難になります。
また食べた直後に吐き出す吐出やよだれを流す、嚥下困難や眼瞼下垂、虚脱状態などの症状が表れ、巨大食道症を引き起こす場合もあります。
全身に症状が表れる場合もあれば、巨大食道症のように局所にだけ症状が表れる場合もあります。
症状に応じて免疫抑制剤を投与する場合もあります。
巨大食道症を引き起こしている場合には、誤嚥性肺炎などを引き起こさないように、食餌の与え方に注意が必要です。
食餌の入った容器を高い位置に置き、立ち上がった状態で食餌を与えることで吐出や誤嚥肺炎の予防ができます。
拡張型心筋症
心筋症とは、心臓の筋肉が通常の厚さよりも厚くなったり薄くなったりするなどの異常を起こし、心臓の働きが弱くなる病気を言います。
症状が急激に悪化し、急死してしまうこともある病気です。
拡張型心筋症は、食事中のタウリンの不足が原因の一つであるといわれています。
猫種ではシャムネコやアビシニアンに多いといわれています。
拡張型心筋症では、心筋が薄く伸びてしまい、収縮力が弱まることから、血液の循環不全を起こします。
・食欲の低下
・呼吸困難や開口呼吸
・運動を嫌がる
・胸水や腹水がたまることもある
心筋症は、心臓の収縮不全を起こすために血栓が心臓の中で出来やすくなります。
その血栓が血流によって後足の根元の血管に詰まることが多く、この場合には後足が麻痺します。
痛みを伴うことも多く、その際は前足だけで体を引きずって移動します。
血栓が詰まってしまうとショック症状を起こし、死に至るケースもあるため、早急な治療が必要となります。
尿路結石症
尿路結石症とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道の中に結石や結晶ができる病気です。
尿道に結石や結晶が詰まってしまって出なくなっていることが多く、これを放置していると、腎臓に負担がかかり、食欲がなくなったり嘔吐がみられたり、命に関わる状態になりかねません。
・トイレでじっとしている
・尿をするとき痛がってなく
・血尿が出る
尿路結石症は性別に関係なくかかりますが、オスは尿道が細長くペニスの辺りでさらに細くなっているので結石が詰まってしまうことが多いです。
尿路結石症が増える傾向にある季節は、冬です。
冬場は寒いため、猫の水分摂取量が減る傾向があります。
濃い尿が長い時間膀胱に溜まることになるので、結石ができやすい状態になります。
慢性腎臓病
高齢の猫に多い病気です。慢性的に少しずつ症状が進みます。
・食欲不振
・体重減少
・嘔吐
・貧血
・口内炎など
腎性高血圧から眼や脳、心血管系に異常をきたす場合もよく見られます。
腎障害が進行し、腎臓から尿への老廃物の排泄がうまくいかなくなると腎不全、さらには尿毒症を引き起こし、最終的には死亡してしまいます。
一度悪くなってしまった腎臓の組織は治療しても元には戻りません。
早期に発見して進行を遅らせるような治療をするのが重要となります。
毛球症
グルーミングをするときに、舐めて飲み込んだ毛は胃腸を通過し便とともに通常排出されます。
それが上手に排泄されず、塊上の毛球となって胃の中でたまり胃粘液を刺激して起こる消化器症状を毛球症と言います。
胃粘膜を刺激するので、刺激による嘔吐や食欲不振などの症状が見られます。
嘔吐の時に毛玉を吐く症状もよく見られます。
毛玉を吐く頻度が、数か月に一度程度であれば、さほど心配はいりませんが、頻繁に吐くよであれば治療が必要です。
治療は、すでにたまった毛が便と共に排泄されやすくするサプリメントや毛球症用のフードを利用したりする方法があります。
胃内の毛球が胃を通過して腸に入り込み、そこで詰まって腸閉塞を起こしている場合には、外科的に詰まった毛球を取り除く手術が必要になることもあります。
大きな粒より小さな粒のフード、ドライフードよりもウエットフードの方が腸管内に停滞しにくいようです。
ブラッシングをして飲み込む毛の量をなるべく減らしたり、ストレスのたまらない環境作りでグルーミングが過剰にならないようにしてあげることも大切です。
体重・大きさ
メス | 体重2.5kg~4.0kg | 体長40㎝ |
オス | 体重3.0kg~5.0kg | 体長40㎝ |
一般の猫よりはやや小さめです。
寿命は10歳~12歳位です。
毛色
ソマリの特徴は美しい毛色にあります。
被毛はセミロングで、シルクのような手触りで柔らかいダブルコートです。
主な毛色は4つになります。
CFAで公認されているのは上記4つの毛色ですが、公認されていない毛色は、シルバー、チョコレートなどもあります。
ソマリのティックドタビーは単色ではなく、1本1本に3本~12本の色の帯が入っています。
様々な色合いから出来ているので、毛色の風合いが豊かで深みがあるカラーとなっています。
被毛の色が完成するまでに最長18か月ほどかかります。
向いている食事
スリムな猫種なので低カロリーだけど、運動量は活発なので高タンパクのフードが向いています。
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手入れ・ケア
ソマリの被毛は、ダブルコートで長さはセミロングです。
毛玉はできにくいですが、換毛期にはコーミングではおいつかないほど抜け毛がでてきます。
ソマリの抜け毛対策には、コームを使った手入れがおすすめです。
ブラシと違ってアンダーコートまでしっかり櫛目を入れられ、適度に毛を取り去ることができます。
オーバーコートのゴージャス感は損なわず、毛球症対策にもなります。
一日に一回はコーミングをするようにしましょう。
■耳掃除
汚れが少ない場合には2~3週間に1回程度、コットンとイヤーローションを使って
軽く拭き取る程度にします。
汚れが溜まりやすい場合には週に1回程度が望ましいですが、耳はデリケートなので気を付けましょう。
■シャンプー
シャンプーは身体を清潔にするために必要な手入れではありますが、猫は本来濡れることを嫌うのであまり頻繁にシャンプーするのはストレスになってしましますが、ソマリは長毛種のため、3ヶ月に1度はシャンプーをすることをおすすめします。
飼うなら購入より里親になろう
日本でも動物愛護の精神が高まりつつあり、新しい犬を迎えるにあたり保護団体や里親サイトを利用する方も増えています。
新しい命を増やすまえに、いま愛情を必要としている成犬や成猫たちがたくさん待っています。
成犬成猫から飼うという選択肢は、これまで生きてきた環境により性格も様々ですが、保護されている期間にある程度の性格も把握されているため飼いやすいなどのメリットもあります。
12万~22万円位が価格相場のようですが、何十万というお金を出して購入するより、殺される命やお迎えを待っている子を保護しませんか。
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まとめ
今回はソマリの歴史や性格、特徴をご紹介しました。
ソマリの運動量や、遊び方、被毛の美しさの理由や、季節で変わる被毛の特徴、毛色の種類なども参考になればと思います。
その他に、ソマリのかかりやすい病気や大きさや寿命、手入れの仕方、里親サイトもご紹介しました。