先代わんこが亡くなり数年たったころ、偶然HPで京都にある柴犬専門のブリーダーを見つけました。10数匹の柴犬が産まれたとき、私は3番目に選ぶことができる順位でした。
そんな沢山の中から選んだ柴犬でしたが、うちに来た子だけが歩くのもつらい奇形として生まれてきていたことを、我が家に連れ帰ってから数か月して発見しました。
ブリーダーさんにも報告したのですが、「では他の柴と取り替えます」と言われましたが、命あるものですし、すでに家族の一員でしたので、交換という方法は取りませんでした。
私が母親犬から取り上げてきたのだから、精一杯の事をしてあげよう!と、奇形や病気と向き合っていこうと決意しました。動物病院で、一歳になれるかどうか分からないと言われた柴犬ですが、今年14歳になろうとしています。
犬の奇形に気が付く前の症状
家の近くに公園があり、当時は犬だけが走り回れるスペースがありました。
そこで数匹の犬たちと毎日仲良く走りまわっていたのですが、ある日突然走ってる最中に「きゃうん」と言いながらクルクルと回り自分のお尻の方を舐めだしたのです。
その後は、走る事もなくなり歩くことすらリードを引っ張らないと歩かなくなりました。
歩いてもすぐ立ち止まり、家の中でも動かず寝ている事が多くなりました。
仲の良かった犬たちが、お尻の方をくんくんしにくると、すごい剣幕で威嚇するようになってしまいました。
観察日記をつけて、先生に報告する日々が始まりました。
12月にうちに来て元旦に動物病院のお世話になった、我が家のお騒がせワンコ。この時、寄生虫の数が通常より多く、毎日に近いくらい吐いていたので元旦から観察日記を付けていました。
お散歩の途中立ち止まってお尻付近を舐めた回数。家の中でも、舐めている姿しか見ないほど舐めていること。階段を上がろうとして落ちてしまった日時。食事も柔らかいものから、カリカリのドッグフードに徐々に変えていったのですが、ある程度の硬さから食べづらそうにしていること。
どんなこともメモしていたのですが、これが役に立ちました。そして変化があるたびに動物病院の先生に、電話で相談していました。
動物病院の先生が奇形を発見
ある日先生から、とても似ている症例を見つけたから犬を連れてすぐに病院に来られるか?と連絡があり、すぐに駆けつけました。
分厚い専門書を見せてもらい、学会で紹介された奇形にとても似ていると説明を受けました。
その当時でほとんど見つかっていない奇形だということで、先生も実物を初めてみたと言われましたが、幸いにも治療方法が見つかっていて、歩けるように走れるようになっている実例が専門書に掲載されていると教えてもらい一瞬胸をなでおろしました。
しかし症例が数えられるほどで、先生も初めての手術なので安心しながらも不安でした。その我が犬の奇形の症状というのは、普通陰部って、皮膚が伸び縮みするようになっていますが、うちの犬は成長がそこだけ止まっていて、ピンと張ったままの状態でした。
伸び縮みするから動けますが、張った状態では前足を出すと引き裂かれるような痛みだと思う、と先生から説明を受けました。
奇形は一度の手術では治らない
犬の体も成長します。その当時はまだ子犬(当時4キロほど)だったので、成長して体の大きさが止まるまで何度も切って縫わなくてはいけない手術を重ねなければいけないと言われました。
そのたびに全身麻酔をするので、手術の途中で力尽きることもあると教えられました。
でも成功すれば、また走れるようになると思うよ!という先生の言葉を信じて最初の手術を決めました。
手術は日帰りで、夜と朝の食事を抜きお腹の中を空っぽにして連れていくというものでした。
お昼前に連れて行き、夕方4時過ぎにはお迎えに行けたほどの手術時間でした。
貴重なケースだということで手術方法の公開や写真もOKしたので、麻酔代だけで手術してもらえたのは、金銭的にはラッキーでした。
犬の奇形手術成功
手術前は、おしっこがでるとこがゴムをぴーんと引っ張って、今にも切れそうな状態だったのですが、手術後はどうやって切って縫ってくれたのか不明ですが、ゆるゆるのゴムのような状態にしてもらえました。
手術前は歩くときも元気がなかったのですが、手術後はしっぽをフリフリ、お尻をフリフリしながら足取りが軽く歩いてくれたのがすごく嬉しくて、散歩に行きたがると何をおいてでも散歩に連れて行きました。
犬の歯も奇形になる
歩けるようになったので、お腹もすくはず!と思っていたのですが、食欲はありそうなのに偏食癖があるのかしら?と思う状態が続きました。缶詰のご飯は食べるのに、なぜか主食にしたいカリカリのドッグフードを食べてくれないのです。
ただ祖母がドッグフードを手に取り、一粒か二粒手であげると食べるので、1時間以上かけてご飯を食べさせてもらっていました。
あまりにも食事に時間がかかるので先生に相談すると、何か異常があるかもと診察してもらったのですが、その時エナメル質欠乏症の歯が見つかりました。
いわゆる歯の奇形だねと言われ、その症状とは人間の歯が虫歯になって、しみる症状と同じと考えて良いとのことでした。
治療方法はあるけれど全身麻酔の回数を考えると、我が家の柴犬には無理だと言われました。
食べれそうなもの、食べたがるものだけを与えていいよと先生に言われ、この日から犬の食事は白米にお肉やお魚を混ぜたものや、ヤギミルクでふやかしたドッグフード、缶詰やレトルトパックのドッグフードを、小皿に用意しました。
この方法は今でもやっていて、数種類の食事を用意して空になった器を舐めたらおかわりを作ったりしています。
そうそう祖母が亡くなって暫くしてから、自分でお皿から食べるようになったんです。
不思議なんですけど、祖母と同じように手に乗せてあげようとしたら用意してあるお皿から食べ始めたんです。
若いころはおやつにジャーキー等も与えていたのですが、それすらもお皿に乗せておかないと食べないという変わりっぷりに正直戸惑いましたが、食べてくれるので助かっています。
犬の奇形 他の症状は?
他にも体の中にガスがたまるという体質で、普通ではないようで、食後にゲップがでないと、食べたものを吐いてしまいます。
ただその症状は産まれてからずっとなので、自分でも自覚しているのだと思います。食べた後はじーっとゲップが出るまで、大人しくしているのです。
数年前から胆泥になってしまい、数か月前も危篤状態になりましたが元気を取り戻し、薬を飲ませる毎日ですが朝起きて今日も元気な姿を見るとこちらも元気になります。これからも出来るだけ負担を少なくしてあげられるように頑張って、長生きしてもらおうと思っています。
まとめ
犬を飼ってその子がもし奇形であっても、その奇形を個性と思い、決して諦めないであげてください。
うちの犬は歩けなくなったときでも、ドライブは好きでしたので友人たちにも協力してもらい毎晩のように車に乗せてもらい、外の空気を味合わせていました。
奇形でこれができない!ではなく、奇形だけどこれは出来る!楽しそう!というものを探して飼ってあげてほしいと思います。毎年のように、毎月のように、治療方法は進化しているそうです。今日は治せないと言われても、近いうちに治療方法ができるかもしれません。
奇形の犬でも諦めないで、犬との生活を楽しんでほしいと思います。