著者は、動物病院で看護師として勤務していました。
あなたの愛犬はアトピーで通院している、もしくはアトピーかもしれない、と心配していませんか。
実はアトピーが原因で来院する飼い主はとても多く、犬のアトピーは今や犬の現代病とも言えるほど、昔は多くなかったアトピーの犬は沢山います。
アトピーを完治させることは難しく、薬浴や保湿で肌機能を高めて上手に病気と付き合っていくしかない場合も多いので、根気強くかゆみがひどくならないよう、飼い主さんは向き合ってあげる必要があります。
今回はそんな愛犬のアトピーで悩んでいる飼い主さんに、良くなるための普段の生活習慣や、治療法・原因、診察の内容などを詳しくお伝えしていこうと思います。
アトピー性皮膚炎とは
犬の慢性アレルギー性皮膚炎には、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの2つに分類されています。
アトピーという言葉は、「特定されていない」「奇妙な」というギリシャ語から来ています。
その名の通り…原因物質が特定されていない、繰り返される皮膚炎の一種を総称してアトピー性皮膚炎と言います。
日本皮膚科学会によるアトピーの定義は以下の通りです。
こんな臨床データがあり、アトピー疾患にかかっている犬の平均年齢は4.8歳で、対象の80%が1歳から8歳の間に集中していました。(参考元:犬アトピー性皮膚炎における感作アレルゲンの秋季全国調査)

あなたの愛犬は、この年齡にあてはまっていませんか。
去勢・避妊手術後に発症する犬も多く、親がアトピー持ちの場合は高確率で遺伝するデータが出ています。
そもそもアレルギーって?
「アレルギー」という言葉を聞いたことがない人は恐らくいないほど、人間にも犬にもアレルギーを持つ犬・人は沢山います。
そもそもこのアトピー性皮膚炎を含むアレルギーとは、なぜ起こってしまうのかというと「なんらかのトラブルによって、体の免疫システムが自分の体を攻撃してしまっている状態」を指します。
またアレルギーを引き起こす原因を「アレルゲン」と呼び、もちろん犬も同様です。
人間ではずいぶん問題になり、研究が重ねられているものの、難治性のものをきれいさっぱり治すことは、残念ながらまだできていないようです。
アレルギーは主に“皮膚”“消化器”“呼吸器”などに炎症を起こしますが、アレルギーが引き起こすさまざまな症状の中でも、犬の臨床現場で問題となるのは、おもに「アレルギー性皮膚炎(※アトピーも含)」です。
アレルギーの要因
アレルギーの要因は足し算で積み上がっていくので、たった1つの原因だけで発生することはありません。
飼い主の努力次第でアレルギーの原因を見つけ出し、排除していくうちに徐々に症状は軽減していくはずです。
犬のアレルギーの原因
大きく分けて
✔「周辺環境」
✔「遺伝(犬の品種ごとの特性や、特定の血筋のアレルギー性が特に強い)」
✔「食生活」
の3つに分けられ、周辺環境はさらに
✔「空気浮遊物(花粉やほこりなど)」
✔「体にふれるもの」
✔「精神的ストレス源」
の3つに分かれます。
犬のアトピー症状
アトピー性皮膚炎の場合、慢性化している事が多く…毛が抜け、象の皮膚の様な状態(象皮症)になる、色素沈着など、人間と似た症状を起こし、季節によってひどく出たりするのが特徴です。




箇所は、耳、目の周りや唇、わきの下や後肢のつけ根の皮膚に発赤を伴うかゆみが特徴です。
発症しやすい犬種
画像引用元:犬アトピー性皮膚炎における感作アレルゲンの秋季全国調査
ダックスフンド
シーズー
柴
ワイヤー・フォックス・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
フレンチ・ブルドッグ
などです。
犬は、純血種同士の掛け合わせによって誕生した種類も多く、アトピー素因も多くの犬種が持っていると言われていますので、どの犬も成り得る疾病の一つだと言えます。
アトピーになる原因
アトピー性皮膚炎は、複数の原因がからんだ皮膚病で、検査をしないと分かりませんが、しても分からないことがほとんどです。
考えられる犬のアトピー性皮膚炎の主な原因は3つです。
ダニ・ハウスダスト・花粉など、様々なアレルギー原因物質があります。
アレルギーとは、カラダの免疫システムが体内に入ったアレルゲン(アレルギーの原因物質)に過剰に反応し、攻撃・排除しようとして起こります。
同じアレルゲンに何度も接触するとカラダの中に抗体が作られ、突然発症し、高齢になってからや突然発症する犬も多いのです。
検査で原因物質がわかれば、そのアレルゲンにできるだけ触れないような対処をしましょう(原因がわからないこともよくある)
犬のアトピー性皮膚炎では、特に「ダニ」への対策が重要です。
ダニやダニの排泄物がアレルゲンとなっているケースが多く、その駆除・除去が一つのポイントになります。
皮膚表面があれ、バリア機能が低下することにより、アレルゲンに対してより鋭敏に反応するようになります。
他の皮膚病によるかゆみがもとで、犬がかきむしってしまい、バリア機能が低下しアトピーを発症することもあります。
この場合はスキンケアを行い、皮膚のケアをしてあげましょう。
犬用スキンケアスプレーは、様々な皮膚病にも使えるAVANCE(アヴァンス)という商品がおすすめです。
アトピー性皮膚炎は、アレルゲンに対して、犬の免疫細胞が過剰に対処しようとする病気でもあります。
つまり、よりアレルギー体質にかたむいているワンちゃんに、アトピー性皮膚炎が発症しやすくなります。
なお、アレルギー体質の犬がなりやすい病気は、アトピー性皮膚炎だけではありません。
アトピーをはじめ、犬がアレルギー性疾患になる原因は、遺伝性や生活環境の問題もありますが、「食事」によるところも大きいです。
特に、犬の腸内環境の乱れが、アレルギー発症に関わっており、善玉菌を増やすような対策が望まれます。
またストレスは症状を悪化させることが多いので、注意しましょう。
飼育環境にストレスがかかっているという場合もありますし、痒みなどの病状がストレスになって悪化している…という悪循環に陥っている場合もあります。
アトピーの診断方法
まずはアトピー以外の皮膚病なのか、それともアトピー性性皮膚炎なのかを、アレルギー検査して知る必要があります。
もしもアトピーではない皮膚炎が原因で「カユミ」症状が出ていて、検査せずにアトピー性皮膚炎の治療を初めてしまうと、皮膚炎が悪化してしまうことがあるからです。
検査方法は動物病院にもよりますが、犬アトピー性皮膚炎と診断されるまでには、問診、皮膚症状を示す他の病気の除外、原因となるアレルゲンを調べるための検査(血液検査など)を行います。
治療の流れはこのようになります。
1.血液検査でのアレルゲン特定
↓
2.スタンプスメア検査で細菌などの検査
↓
3.皮膚掻爬検査によるダニ検査
↓
4.毛を使用した真菌培養検査による真菌検査
↓
5.原因が判明した場合は、その原因に対する治療
アトピーの治療内容
ステロイド剤と2種類程度の抗ヒスタミン剤投薬による薬物治療が主ですが、薬用シャンプーによる薬浴で皮膚機能を高める治療も一般的です。
痒み止めとしてステロイドを処方された場合、上手に付き合えばステロイドは怖い薬ではありませんが、強い薬には副作用の心配があります。
症状としては、胃への負担、十二指腸障害、肝障害、医源性クッシング病などです。
アトピー性皮膚炎の改善方法
ありとあらゆる方面から、アレルゲンを排除していくのが改善への近道です。
部屋を清潔に保つ
上記で紹介した臨床データでは、ハウスダストが92.6%と最も高値を示しました。
日本では人と犬、どちらも研究報告と一致しており、アトピーにハウスダストは✕。
アレルゲン由来の皮膚炎の場合は、それが直接的な治療となりますし、そうでない場合でも
✔汚れた空気
✔ダニ
✔カビ
✔ハウスダスト
は、アトピー性皮膚炎には天敵です。
こまめに床や絨毯などは掃除機をかけ、空気清浄機があるとなおいいです。
必ず部屋は清潔にすることを心がけましょう。
掃除されていない部屋というのは、すでに皮膚炎を発症している肌バリア機能の低下した皮膚に、攻撃をしている様なものです。
アメリカの調査ではハウスダストマイトは上位とはならないので、日本特有のものです。
犬が使っている敷物などはこまめに変える
直接肌に触れるものは、2~3日に一度は洗濯するようにしましょう。
素材は木綿生地を使用したものがいいですが、逆に木綿生地が怪しければ、なめらかな化学繊維にします。
食事を変えてみる
食事が原因でアトピーを発症している場合は、米(玄米)および鶏肉(七面鳥)がほとんどです。
安価なドッグフードは、カサ増しのために米やコーンなど、本来犬に必要のない穀物を一番の原材料にしていることが多いです。
もし食事を見直すなら、穀物不使用のドライフードを、鶏肉がNGならそれ以外の原材料のフードを選びましょう(※こちらの記事が参考になります)。
「動物病院で言われた通りにお薬を飲ませて、フードも変更したのに全然良くならない・・・」
と、悩んでいる飼い主さんもいるかと思います。
そんなときは、サプリメントがおすすめ。
アトピー性皮膚炎に効果のあるサプリを試してみる
実は著者の愛犬もアトピーを持っていて、ステロイドは痒みがひどいときにだけ使用しており、普段はアレルギーに効果のある漢方サプリメントを与えています。
漢方なので薬とは違い病気に対して治療薬ではないですし、直接的に完治させるものではありませんが、長期的に飲ませていくことで改善が見られるケースもあり、著者の愛犬もいまでは大分よくなりました。
副作用などもほとんどありませんので、なるべくステロイドを使わなくて済むよう、長期的に改善を望む飼い主さんには、ぜひ試してみることをおすすめします。
いつものご飯に混ぜるだけなので、飼い主側の負担もないところが、サプリメントのいいところです。
アトピーのこは薬浴がおすすめ
アトピーの犬のシャンプーは、薬浴(皮膚の治療として薬用シャンプーで洗うこと)をします。
基本的には自宅か、もしくは病院に併設されているトリミングサロンなどで行います。
やり方は色々あるのですが、かんたんな方法を紹介しますね^^
泡立てるというより患部をマッサージするようにします。
普段のシャンプーは毛を洗うように泡立てますが、薬浴は皮膚に薬をしみこませる為にするので、泡立ちが悪くても問題ないです。
2.体全体(特に皮膚炎を起こしている部分)シャンプーを行き渡らせたら 10分間そのままにしておきます。
(薬用シャンプーに書かれている時間を優先して下さい)
3.その後、よくすすいでシャンプーを落とします。
4.毛を乾かすのも熱いドライヤーを当てないように冷風で乾かして下さい。
※実際に見たいかたは参考動画をどうぞ! 薬用シャンプーをお探しの方はこちらの記事を参考にしてください。
普段のケアはこのスプレーがおすすめ
アトピー性皮膚炎で皮膚が赤く炎症を起こしているときでも、天然の温泉成分が原材料なので直接スプレーして大丈夫で、症状緩和に役立ちます。


ブランドの特徴
「塗る温泉」で、愛犬をやさしくケアします。
オーガニック認証を受けており、化学薬品を一切不使用。
元々人の化粧品開発をしていた会社のため、品質には厳しい基準をクリアしています。
商品の特徴
アトピーと間違われやすい脂漏性湿疹
犬に多い湿疹に「脂漏性湿疹」というものがあります。
脂漏性湿疹はマラセチアという真菌が原因で、治療には抗真菌薬の内服が必要となります。
真菌検査を行わず、アトピー性湿疹と診断されると抗真菌剤の処方がされない場合が多く、完治が遠のいてしまいがちです。
画像引用元:オダガワ動物病院
脂漏性湿疹は触るとベタベタと脂っぽく、匂いも脂が漏れたような独特な匂いです。
パグやシーズーなど、シワが多く、その部分が濡れたままになりやすい犬種に多いです。
脂漏性の場合は、薬浴も抗真菌剤入りのシャンプーを使用する、など対処法がありますので、なんだか脂っぽいかな?と感じる事がありましたら、かかりつけの獣医師に相談する様にしてください。
まとめ
アトピー歴が長い飼い主さんは、どの季節に症状がひどくなるかなど把握できていると思います。
アトピーは完治しづらい病気なので、治すというよりもひどいかゆみがでないよう、そのシーズンに向けて数ヶ月前からサプリメントを与えたりフード変えたり、部屋を清潔にするなど生活習慣を見直していくことが大事です。
まだ疑いの段階では、素人には判断しにくいものがあります。
獣医師へかかるようにしましょう。