愛犬とのドライブ、楽しいですよね。
車でお出かけできると行動範囲が広がりますし、ワンちゃんと一緒に泊まれる宿、ホテルや施設も増えてきたので、より一層楽しい思い出が作れそうです。
しかし、人間と同様に車が苦手な犬も少なくありません。
車酔いをしやすいワンちゃんは余計に車が苦手になってしまいます。
今回は犬の車酔いのしくみや症状、予防、対策法などをご紹介します。
多くのワンちゃんが、ドライブを楽しいと思ってもらえると嬉しいです。
犬の車酔い
犬の車で酔ってしまうしくみは人間と同じなんです。
耳の鼓膜の奥にある「内耳」が関係しています。
内耳には、体のバランスをとる役割があります。
揺れや振動によってこの器官が刺激されると、平衡感覚や自律神経に障害が生じ、車酔いといわれるような症状があらわれるのです。
また、犬の目の位置が関係してるともいいます。
犬は元々肉食動物であり、獲物を追いかけるために正面に目が付いている動物です。
追われる草食動物は、危険をいち早く察知すようように広い範囲が見渡せる顔の横に目が付いています。
草食動物に比べて犬は視野が狭く、車の中から見える景色は横に流れていくので、生活していく中で不自然な動きなために酔いやすいともいわれています。
犬の車酔いの原因
内耳や目の位置以外にも、犬が車酔いをする原因がいくつか考えられます。
車酔いを経験したことがある犬はその経験を覚えていて、車に乗ると嫌なことが起こると認識してしまい、車に乗っただけで体調を崩してしまうこともあるようです。
他にも、車に乗って嫌いな動物病院に連れて行かれ、車=病院というストレスから酔うことも。
また犬はニオイにとても敏感なので、ガソリンの臭いや芳香剤の臭い、タバコの臭いなど車内の独特な臭いが原因の場合も考えられます。
犬の車酔いの症状
初期段階の症状
- 生あくび
- パンティング(呼吸が速くなること)
- 落ち着きがなくそわそわする
- 心細いような声で鳴く
- 口をくちゃくちゃと鳴らす
初期症状を経て次の段階の症状が出る場合と、初期症状がなく次のような症状が出る場合もあります。
- よだれを垂らす
- 震え
- グッタリする
- 嘔吐
車酔いをしてしまったら…
もし、乗車中に車酔いの初期症状が見られたら、一度停車して外の空気を吸わせてあげましょう。
大きく窓を開けてもいいですし、一度車から降りて外を少し歩かせてもいいでしょう。
間に合わずに嘔吐してしまった場合、飼い主さんは驚いて大きな声を出して慌ててしまうことが多いですが、その行動を犬が見てますます不安になってしまいます。
落ち着いて冷静に後始末をして下さい。
そのためにも、車に乗る前に嘔吐してもいいようにペットシーツやビニール袋、ウェットティッシュなどを準備をしておきましょう。
犬の車酔い対策
車は楽しい乗り物だと思わせる
さきほど説明したように、車に乗って嫌な経験をした犬はすでに精神的に酔いやすい状態になっています。
そのため、車に乗ると楽しいことが待っている、「車=楽しい」というイメージを持たせるために、愛犬が好きな場所や好きなことをしに行くことをオススメです。
しかしその前に車酔いをしてしまうと過去と同じく嫌な経験として残ってしまうので、なるべく乗車時間は短くして酔う前に楽しい思いをさせてあげるといいでしょう。
近くの公園に車で行くのもいいかもしれませんね。
何度かその経験をさせてあげて、愛犬が車に乗ることが楽しみだと思えるようになったら、徐々に距離を伸ばしていきましょう。
ニオイ対策
車酔いしやすい人の中でも、車内のニオイが苦手だという理由は多いですよね。
人間の1億倍の嗅覚をもつとされている犬には、特に注意してあげたい対策の一つです。
ペパーミントやジンジャーの香りには車酔いに効果が期待できるという話もありますが、中には苦手な子もいますし、強すぎる香りは逆効果になります。
犬を乗せる前には十分に換気をしてニオイを消しましょう。
また芳香剤の香りが酔いやすくなる場合もあります。
ドライブ中は少しでも外の空気が入るようにしておくと、ニオイもこもらなくていいですね。
空気の流れをつくる
車内の設定温度もありますが、常に空気が流れている状態にしておくと車酔い防止になります。
一つの窓だけを開けるのではなく、空気が流れるように最低でも2カ所の窓を開けておきましょう。
大きく開ける必要はありません。
犬はクレートに入れる
愛犬の様子が心配で膝の上に乗せている飼い主さんも少なくないと思いますが、車酔いにはよくありません。
人の上に乗っていることで余計に揺れを感じますし、急ブレーキの時にはシートベルトをしていない犬は吹っ飛んでしまう危険があります。
愛犬の身体に対してあまり大きくないサイズのクレート(キャリーバッグ)に入れてあげるといいでしょう。
大きなクレートだと、中で動きやすくなるのでバランスが取れずに踏ん張ったり、歩き回ってケガをしやすくなります。
またクレートの中に入っていることで、窓から見える動く景色を見ずに済みます。
見えるようなクレートの場合、目隠しするためにタオルなどをかけてもいいかもしれません(通気性はきちんと確保して下さい)。
クレートをシートベルトで固定するのもお忘れなく。
可能であれば、クレートの隣に飼い主さんが座っていると安心感が増しますね。
クレート自体にストレスを感じるワンちゃんもいます。普段からクレートの中に入れても大丈夫なように慣れさせておきましょう。
休憩させる
理想は約30分に1度ほど休憩を入れるといいとされています。
愛犬がリラックスしている状態で体調も悪くなさそうであれば、もう少し乗せていても大丈夫かもしれませんが、意識的に水分補給や排せつなどのタイミングでこまめに休憩するといいですね。
また、酔ったような症状が出た場合には時間は関係なく休憩させましょう。
飲食、排便は済ませておく
空腹時、満腹時のドライブは酔いやすく、嘔吐しやすいので避けましょう。
食後2~3時間は休ませてから車に乗せるのが愛犬に負担なくドライブできます。
また、排泄も済ませておきましょう。
運転の見直し
急ブレーキや急発進は特に揺れるので、酔いやすいです。
飼い主さんの運転を見直して、安全で酔いにくい運転を心がけましょう。
酔い止め薬を活用する
犬の車酔いの薬もあります。
色々な対策をしてみても、どうしても酔ってしまうようであれば、動物病院で処方してもらえます。
身体の大きさや年齢、酔い具合から獣医さんが出してくれるので、事前に相談しておくと安心ですね。
初めて車に乗せる場合
一番最初のドライブが一番重要だともいえます。
一度車酔いをしてしまうとその経験を覚えてしまうので、「酔わせない」ことが大事です。
まずは車内で慣らしましょう。
外の空気が入るように窓をあけて、車を走らせずエンジンもかけずに、車内でしばらく過ごしてみましょう。
最初はリードをして、ドアも開けっ放しにしてもいいかもしれません。
飼い主さんが一緒に乗って安心させ、愛犬をクレートに入れずに自由に動き回ってもいいでしょう。
初回はそれだけでもいいです。
車の中は怖くない、危険じゃないということを経験させてあげましょう。
大丈夫そうであれば、エンジンをかけた状態で車を走らせずに、車内で過ごしましょう。
エンジンの揺れや音にびっくりする子もいます。その状態でも何も起こらないよという経験をさせていきます。
大丈夫そうであれば、クレートの中で過ごす練習をします。
飼い主さんが隣に座り、クレートの中に愛犬を入れて過ごしましょう。臆病な子であれば、最初はクレートを閉めずにあけておいてもいいですね。(車は走らせません。)
クレートの中で大人しくしてられるようであれば、最初は5分くらい走らせ、回数を重ねて徐々に乗車時間を伸ばしていくといいでしょう。
無理せずに、もっといけるかな?と思うくらいで終わらせるくらいがちょうどいいでしょう。
ドライブでの注意
車内の温度調節に気をつけましょう。
特に暑いときは冷房をつけていても、愛犬の場所に涼しい風が届かなかったり、日差しが強くて暑くなることがありますので、こまめにチェックしましょう。
短時間であっても、犬だけを車内に残していかないで下さい。
鍵の紛失や、車上荒らしなどに巻き込まれる危険性もあります。
また、外の空気を吸わせようと窓から犬に顔を出させる行為や、運転手の膝の上に犬を乗せての運転、運転中に犬が車内で自由に動き回るといった行為は道路交通法違反になりますし、愛犬にとっても危険なことなのでやめましょう。
車酔い対策をして、楽しいドライブを
人間と同じように、車酔いしやすい子、全然しない子、個体差がとても大きいです。
そのため、原因をつきとめるのは難しいですが、飼い主さんが事前に対策をしておくことで酔いにくい状況を作り、予防することができます。
また、酔わないワンちゃんでもその日の体調などによって突然酔ってしまうことも珍しくありません。
車に乗る際には、嘔吐してもいいように常に準備だけはしておき、愛犬の様子をこまめに観察しましょう。
そして前日には十分な睡眠をとらせて、万全な体調でドライブを楽しん下さい。