ここ数年、日本でも世界でも異常気象が続いています。突然の大雨、突風、雷など多く聞きますね。
雷は人間でもとても怖いですが、人間以上に大きな音に敏感なペットたちはとてもストレスになります。驚いたり怖がる子もいれば、ひどいパニックや体調不良になる子もいるようです。
ペットたちの突然の行動や不調に飼い主さんが対処、予防が出来るように今回は「雷恐怖症」についてお伝えします。
雷恐怖症とは
雷が発生している時、または発生前後に異常な恐怖反応が見られる心因的な病気です。その子によって症状が出るタイミングも症状の重さも違います。
病気なので、しつけで直るものではありません。また、「雷恐怖症」の子は「分離不安症」であることも多いらしいのです。
雷恐怖症の原因
雷恐怖症と一言で言っても、雷の様々な要素、またそれ以外のことでも恐怖症の原因になっているといわれています。
- 雷の音や光、振動
- 気圧の変化
- 静電気の発生
- 雷雨で発生するオゾンの匂い
- 飼い主が雷を怖がっているから
雷恐怖症になりやすい子
老犬、老猫
以前までは雷が気にならなくても、高齢になるにつれて認知力も聴力も落ち、大きな音や光に恐怖を感じるようになります。他の器官が敏感になり、普段と違う匂いや気圧の変化にも気が付きやすく、体調不良に繋がるやすくなります。
音に敏感な子
生まれつきの性格や小さい頃の環境や過ごし方などで、少しの音でも驚きやすい子がいます。敏感な子に雷恐怖症も少なくないようです。
毛量の多い子
犬種、猫種によって毛量が多い子は静電気が発生しやすく溜め込みやすい性質があります。雷の時の静電気の不快感が原因で、雷が苦手になるようです。
雷恐怖症の症状
雷の前後にこのような症状が出る場合は雷恐怖症の可能性があります。症状の重さも様々ですが、ひどい場合は受診しましょう。
- 呼吸が荒い、激しい
- 大量のよだれがでる
- 震え
- 落ち着かずウロウロ歩き回る
- 狭いところなどに隠れる
- 嘔吐
- 血便、下痢
- おもらし
- パニックになる
- 吠える、噛みつく
- ドアやリードなどの破壊行動
- 逃げようとする
- 痙攣
- 失神
症状が出た時の対処法
血便、下痢や嘔吐が続く、痙攣、失神など症状が重い場合はすぐにでも獣医さんに診てもらいましょう。少し様子を見ても大丈夫な場合、以下の対処法をお試しになってみて下さい。
落ち着けるスペースを作る
普段過ごしている空間でももちろんいいですが、少し狭い方が落ち着く場合もあります。タオルやブランケットなども一緒に置いておくと、匂いで安心したり、潜ることも出来ますね。音や振動が伝わりにくいように窓から離してあげましょう。
またゲージやクレートなどに入った場合は、入り口は開けておきましょう。閉じ込められて、逃げ場がなくなったと思ってパニックになってしまうこともあります。
飼い主さんが準備したスペースではないところに逃げ込んだとしても、そこが一番落ち着く場所なのかもしれませんので、そのままそっとしておいてあげましょう。
叱らない
吠えたり鳴いたり、噛んだりしても、飼い主さんは叱ってはいけません。
雷恐怖症はしつけでどうにか出来るものではありません。叱られて、かえって症状が悪化する場合もあります。
雷が見えない、聞こえないように
雷が鳴りそうだったり、鳴っている時は、外が見えないようにカーテンやブランドを閉めましょう。
雷の音もなるべく聞こえないようにテレビをつけて少しボリュームを上げたり、楽しい音楽を流したりするのもいいでしょう。
なるべく普段通りに
怯えてたり、体調の悪いワンちゃんや猫ちゃんが心配でしょうが、求められない限りは抱っこしたり撫でたりするのはやめましょう。自分の身体が自由にならないことも恐怖に感じます。そっと見守ってあげたいですね。
飼い主の不安は伝わります。「大丈夫?どうしよう、何してほしい?」と過剰に声をかけないように。
しがみついてきたり、抱っこしてほしい仕草をしてきたら、様子を見ながら優しく触れてあげましょう。中には抱っこされると落ち着く子もいるようです。
いざという時のための予防・対策
雷を止めることは出来ませんが、ある程度事前に対策しておくことはできます。また日々のトレーニングで少しずつ症状が軽くなる場合もあるようです。
雷の音に慣れさせる
雷の音を普段から徐々に聞かせて慣れさせていく方法です。雷の音が入ったCDやアプリなどで音を出してみましょう。一日二日で成果を出すものではなく、毎日続けていくことが大事です。
最初は小さな雷の音から慣らしていきます。数日かけて徐々に音を大きくします。小さい音で反応しない時に褒めたり、ご褒美をあげていきます。雷が鳴っても怖いことは起きないと思わせましょう。
※嫌がったり、体の不調が出た場合はやめましょう。無理矢理続けると悪化する可能性もあります。
マイクロチップを入れておく
パニックになり、網戸を突き破って家から逃げ出す子もいます。実際に、雷の日は犬も猫も迷子が増えるそうです。どんなに気を付けていても、少しの隙間からや、散歩中の突然の雷などで逃げてしまうことはあります。
いざという時のことを考えて、マイクロチップをいれておくことも大切な迷子対策になります。
サプリメント・薬
雷恐怖症をサプリメントで改善される子もいます。薬よりは体への負担が少ないのがいいですね。しかし、みんなに効くものではありませんし、一定期間飲み続ける必要があります。獣医さんに、症状を伝えて相談してみましょう。
また症状がひどい子は、事前に薬を出してもらうことも出来るかもしれません。家に常備しておけば飼い主さんも安心ですね。
雷恐怖症用の服
Storm Defender Cape Giant
アメリカのCanis社から発売されている「Storm Defender Cape Giant」ストーム・ディフェンダー・ケープという雷恐怖症の犬用の服。電気系エンジニアの飼い主が愛犬のために開発された服です。
服の裏地に特殊加工を施したメタリック素材を使い、表地には通気性の良いコットンが使われています。ワンちゃんに溜まった静電気を取り除いてくれるというものです。
雷恐怖症の中でも静電気が原因の場合には効果があるようです。
サンダーシャツ
サンダーシャツ(Thrundershirt)は、犬を適度な圧力をかけ包み込んで不安を解消するという服です。犬の行動学から作られている服で、抱っこされているような感覚になって安心するようです。
雷恐怖症の原因にもよるので効果は様々ですが、日頃から不安になりやすく雷恐怖症の子には試してみるのもいいかもしれませんね。
雷と上手に付き合えるように
人間でも雷は怖いものです。五感が鋭い犬や猫がそれ以上に敏感に反応してしまうことは仕方のないことかもしれません。雷を止めることが出来ればいいんですけどね。
しかし、体調悪くなったり、不安がっている姿は飼い主さんも心配です。静電気の発生が少ない水まわりの洗面所やお風呂場などに逃げ込む子もいるようです。逃げ込んでも大丈夫なように危険なものは片付けておいて、ドアが閉まって閉じ込まらないようにしておきましょう。
雷の時に少しでも不快感が軽減されるように、予防や対策を参考にしてみて下さい。