一年で一番猫にとって過ごしにくい季節が梅雨の時期だといわれています。
雨が降り続き、湿度と気温が高く人間でも不快だと感じますから、身体の小さな猫たちにはより大きな負担となり、体調を崩す子が増えます。
今回はこの時期に多く見られる猫の病気を紹介しますので、心当たりがあれば早めに受診して下さい。
猫は梅雨が苦手
もともと猫の祖先は、乾燥したアフリカの砂漠で過ごしてきたといわれています。そのため、湿度の高い梅雨は猫には過ごしにくい環境になります。
猫は汗をかいて体温調節ができません。汗腺が少ないため、唾液などの水分を蒸発させて体温調節をするのです。
しかし湿度が高くなると、蒸散作用がうまくいかず、体温調節がしっかりとできません。
そうなると熱中症になりやすかったり、体調を崩しやすくなるのです。
また、菌も発生しやすい時期なので、皮膚、目、耳のトラブルが増えるので、よく注意しましょう。
気をつける病気
食中毒
人間も気をつけなければならない時期ですが、猫も同じです。
食欲が落ちる時期でもあるので、普段食べきれる量も残したりします。
食べきれずに残したゴハンが傷んでしまい、そのまま食べて中毒症状が出ることも。
また、飲み水にも注意が必要です。水も細菌が繁殖し、ぬるぬるとヌメリが出てきます。
食中毒の症状
- 食欲不振
- 下痢
- 嘔吐
- 元気がない
- 体のふらつき
- 目やに、よだれが出る
- 熱が出る
- 低体温になる
- 痙攣
食中毒の予防対策
特に缶詰やウェットフードはとても腐るのが早いです。梅雨時期だけはドライフードに変えるのも一つの予防策です。
ごはんを食べ始めて20分以上経って食べ残しがある場合は、下げてしまいましょう。
頻繁に食べ残しがある場合は、1度にあげる量を少量にして、回数を増やしてもいいですね。
与えるごはんも傷まないように保存して下さい。ドライフードでも小分けにして真空パックで保存すると傷みにくくなります。
暗くて湿度が低い場所に保管しましょう。
飲み水も頻繁に取り替えましょう。つぎ足さずに、元の水は全部捨ててから新しい水を入れて下さい。
ウォーターボウルや給水器のノズルも清潔に保ちましょう。
また、自動給水器を使用している場合は、フィルターや細かい部品などにもヌメリやカビが生えますので、定期的に掃除したいですね。
気が付かないと菌が繁殖した水を常に口にしてしまうことになります。
熱中症
暑い夏はもちろんのこと、湿度が高い梅雨の時期にも体温調節がスムーズに出来ずに熱中症になる子が増えます。
熱中症の症状
- 元気がない
- 呼吸が浅くて速い
- 食欲不振
- 耳、内股、体全体が熱い
- 嘔吐
- 下痢
- 目の充血
- ふらつき、立ちすくみ
- 目の焦点が合わない
- よだれを大量に出す
- 舌や口内の粘膜が紫に変色
- 血便、吐血
- 痙攣
- 意識朦朧、意識喪失
熱中症の予防対策
エアコンを使用し、温度と湿度を管理しましょう。
気温が高くなくても、湿度が高い場合は除湿機能を利用するといいですね。
脱水症状にならないように、新鮮な水を常に飲めるように何カ所か水飲み場を作っておくといいでしょう。
皮膚病
一年で一番皮膚のトラブルが多い時期です。ノミ、ダニが繁殖しやすい時期でもありますし、高温多湿で被毛の根元部分が蒸れやすくなります。
また、持病の皮膚病が悪化しやすくもなります。
太陽が出る日が少なく、紫外線を浴びて被毛を殺菌することもできないので、注意が必要な時期です。
この時期に気を付けたい主な皮膚病
- ノミアレルギー性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 疥癬、耳ダニ
- 外耳炎
- 急性湿性皮膚炎
- 化膿性創傷性皮膚炎
- 皮膚糸状菌症
- 好酸球性肉芽腫症候群
皮膚病の症状
- 激しい痒み
- 発疹
- 脱毛
- 出血
- 炎症
- 黒い耳垢
- 耳の悪臭
皮膚病の予防対策
エアコンを使用し、温度湿度を下げましょう。
部屋を清潔に保ちましょう。ノミダニが繁殖しにくい環境作りは、猫は快適に過ごせる環境でもあります。
晴れた日は、使用している毛布やクッション、ハウスなどを洗ったり日光によく当てたりしましょう。
ノミダニなどから守る薬を使用しましょう。動物病院で相談するのもいいですね。蚊からうつるフィラリアもこの時期に予防するといいでしょう。
皮膚病の予防、早期発見のためにもブラッシングはとても大切です。毛の根元からブラッシングをして、異常がないかも定期的にチェックして下さい。
皮膚病は気が付くのが早ければ、症状も軽く、治療も短期間で済みます。
梅雨時期に気を付けたいポイント
この時期に特に猫のお世話で気を付けたい点を紹介します。
トイレの臭い
トイレの臭いも普段よりも強くなる時期です。
トイレ砂も湿気を含み、菌が繁殖しやすく、臭いの原因になります。
猫はトイレの臭いや湿気には敏感で、気持ちのよいトイレでないと排泄をしなくなります。
膀胱炎などの下部尿路疾患にもなりやすく、実際に1年で1番かかってしまう子が多いのが梅雨時期なのです。
トイレはこまめに掃除して常に清潔な状態で、風通しのいい場所におきましょう。
ストレスを溜めない
体温調節がうまくいかないこの時期は、猫も活発に動かなくなり、横になっている時間が多くなります。
運動不足やストレスを溜めないためにも、いつも以上に一緒に遊んであげましょう。
猫が興味が湧くように、新しいオモチャなどを準備してあげてもいいですね。
湿気取りの誤飲
湿気取りも頻繁に使用する時期ですが、猫が誤飲してしまうケースも少なくありません。
猫が届く場所には置かないように注意しましょう。
舐めてしまったり、食べてしまったら、水で洗い流し、動物病院に連絡して相談して下さい。
食べた量や種類によっては緊急な処置が必要な場合があります。
冷えすぎ
暑いのが苦手な猫ですが、冷えすぎにも注意が必要です。
ハウスやベッドなどは、クーラーの風が直接当たらないような場所に設置しましょう。
また、冷えすぎた時に避難できるように毛布を置いたり、しておくのもいいですね。
意外と中に入って丸まっていることもあります。
猫が自分で選択できるような環境を作ってあげると快適に過ごせます。
過ごしにくい梅雨時期を飼い主さんが快適にしてあげましょう
日本に住んでいればどうしても避けられない梅雨の時期。
しかし、飼い主さんが猫にしてあげられることは沢山あり、この時期だって快適に過ごすことは出来るのです。
体調が崩れやすく、トラブルの起きやすい時期なので、いつも以上に愛猫の様子をみてあげることが大切です。
スキンシップも多くとることで、ストレス発散や皮膚などの異常の早期発見もできます。
梅雨時期は猫ちゃんとたくさん遊んで、たくさん触れ合う時期にして、より愛情を深めて下さいね。