猫にとってはあたりまえの行動が、しばしば飼い主を悩ます問題となることがあります。
猫の起こす「問題行動」といわれるものは、人間から見た場合の問題であり、猫本来の習性からすれば、正常な行動であることが多いようです。
もちろん、過剰にグルーミングしてしまう、というようにねこ自身にとっても不利益な場合もありますが、猫と暮らす環境で、人間にとっての不都合を取り除くことも必要なことです。
猫の習性を理解したうえで、改善策を見つけていきましょう。
問題行動の要因とは
問題行動とみなされる行動は、「本能によるもの」「環境によるもの」「原因のわからないもの」という大きく3つの要因に分けられます。
また、複数の要因が重なって起こることもあります。
習性としての正常な行動を、人間がどこまで許容できるかが、この問題を考えていく上で大切なことなのです。
このような問題を「ビヘイバープログラム」と呼びます。
1.本能
爪とぎやスプレー、ハンターとしての行動など、猫の遺伝子に組み込まれた習性。
これらは猫にとっては正常なことだが、人間にとって問題になることがある。
2.環境
住んでいる環境、多頭飼い、ほかの動物と飼われているなど、猫が暮らしている環境によって起こるもの。
縄張り争いのためのケンカなどが代表的。
3.原因のわからないもの
気持ちよくブラッシングされていたのに突然怒り出したり、かみついたりと、理由がわかならいことも多い。
無理になだめようとしても、収まらないことがほとんど。
しつけとして叩いてはだめ
ねこが人間にとって不都合なことや猫にとって危険な行為をしたとき、叩いたり大声で怒鳴ったりしては決していけません。
飾り棚に登り、中にあった人形を落としてしまった場合、人間にとってはショックなことですが、怒って叩いてもねこはびっくりしてさっと逃げるだけです。
飼い主の大事にしていた人形を落としてしまったことと、その理由から自分が叩かれ、怒られている事実が結びつかないのです。
猫の認識は、怒鳴られ、叩かれ、怖い思いをしたということにとどまります。
そのため飼い主は怖い人だから、逃げなくてはいけないと思ってしまうのです。
いくら猫がその場から逃げても、反省をしているわけではないのです。
飼い主のいるときはやらなくても、見ていないときにまた、同じことをしてしまうのです。
いたずらをやめさせる方法
やってほしくないことをした場合は、叩く以外の方法で猫に学習させましょう。
霧吹きで水をかける
ダメなことをしたとき、霧吹きで猫の顔に水を吹きかける。
食卓に登ろうとしたときなどに吹き替えられると登るとイヤなことをされると学習して、登らなくなる。
ダメな行動は必ずやめさせる
登ってはいけないところに猫が登った場合、見つけたら例外なく下ろすこと。
ガスコンロなど、火傷をしてしまう危険のある場所も、下ろし続ければ近づかなくなる。
大きな音を出す
やってはいけないことをしたとき、「だめ」と大きな声でいったり、手を叩いて大きな音をたてる。
猫は大きな音に驚くので、学習してやらなくなる。
マーキング行動
ねこは自分の縄張りに、自分のフェロモンを匂いづけします。
マーキングといわれる行動には、尿スプレー、顔をお気に入りの物にスリスリする、爪とぎの姿勢をとる、などが挙げられます。
スプレーとは、オス猫が立った姿勢から尾を挙げて、尿を吹き付ける行為で、おしっことは違います。
去勢手術をしていても、または、メス猫にも見れれることがあります。
スリスリしてマーキングするだけなら人間に不快感を与えることはありませんが、スプレーとなると、あまりの強烈な臭いに頭を悩ませている飼い主も多いようですが、残念なことにこれらの行動をやめさせるのはとても困難なことです。
やってほしくない場所に爪とぎをする
古くなったツメをといだり、マーキングしたり、猫にとってつめ研ぎは大切な行動です。
問題はツメを研ぐ場所ですが、室内の家具、布製や革のソファー、壁、畳、などでツメを研ぐことが問題となる場合があります。
これは猫のマーキング行動なので、矯正することはとてもむずかしい問題です。
猫は自分が気に入った場所に、丹念にマーキングしたい生き物です。
これは、猫の習性であることを理解しなくてはなりません。
猫にとては、古くなったツメをはがしたり、手から出るフェロモンをお気に入りの物につけたりしているだけなのです。
対策方法
問題となるのは猫がツメ研ぎをしたい場所と、飼い主がツメ研ぎをされたくない場所が重なってしまうことです。
そうなったら、猫に気に入るツメ研ぎを用意し、部屋の数カ所に置いてあげましょう。
素材もさまざまなものがありますか、猫に選ばせてあげるといいでしょう。
猫が気に入る木材やダンボール素材のツメ研ぎを、よくいる場所に複数設置しょましょう。
背伸びするような姿勢でツメを研ぐのであれば、高さのあるツメ研ぎを用意してあげましょう。
尿スプレーする理由
オス猫のスプレー行動は、縄張りをマーキングするのに不可欠な行動です。
スプレー行動は、おしっこを排出する行為とはまったく異なる種類のものなのです。
通常は立った姿勢のまま、垂直面に少量の尿をふきかけます。
スプレーはオス猫にとって、極めて自然な行動ですが、これを部屋中にされてしまうと、多くの飼い主はその強烈な臭いに閉口します。
性成熟したオス猫に、頻繁に見られるため、去勢手術を行ったオス猫とシエかつをするのが、一般的な解決策といえます。
性成熟以前の去勢手術を施すことが、スプレー行動を防ぎます。
また発情中のメス猫も、スプレー行動をすることがありますが、これは避妊手術で解決します。
問題は、去勢や避妊済みの猫に突然スプレー行動が起こることです。
原因はまだわかっていませんが、窓越しに見知らぬ猫を見たことがきっかけとなって始まることもあります。
ほかの猫の存在や、縄張りを荒らされる精神的な不安を探ってみましょう。
対処法
性ホルモン支配のスプレー行動の場合は、
✔オス猫は去勢手術
精神的なことで起こる突然のスプレー行動は
ハンティング行動
かまれたり、ひっかかれたり、手や足に飛びかかってくることはありませんか。
これは猫にとっては獲物を狙う行為はハンティング行動で、本能であり獲物に噛み付くことは当然の行動です。
人間を獲物にするには大きすぎて無理があるので、手であれば獲物としてハンティング行動が起こるのも理解できます。
これは成長期に、人間が猫を手でかまうことで、ハンティングの目標を人間の手に変えてしまった例です。
成長期に子猫たちは、母猫や兄弟猫にかんだりかまれたりすることで、ハンティングを学びます。
しかし人間に育てされた子猫は、人間の手を兄弟の代わりにして、かみつきじゃれますが、かみ返されることはありません。
子猫を手であやし続ければ、手を目標にしたまま成長し、大人になってもハンティングの願望を満たすために手に噛みつきます。
おもちゃで遊ぶ
猫と遊ぶときは、ひもやねこじゃらしなど、猫用のおもちゃを使ってあそぶこと。
素手で遊ぶのはNG!ミトンのような手袋をはめて遊べば、手を目標にさせないのでおすすめです。
まとめ
今回は猫の問題行動の、トップ3をまとめました。
猫を飼っていると、いたずらや困ったことをすることが多々ありますが、人間にとって不都合なことであっても猫の習性的には当然のことだったりします。
そんなときは絶対に叩かないで、大きな音を出したり霧吹きをふきかけるなどで対処しましょう。
叩いたところで、猫にとっては自分がしでかしたこととは結びつかず、猫からしたら不信感を抱かせることになってしまいます。