最近は猫も長寿になって、平均寿命が15年になったと言われています。
20年ほど前までは、8年生きていると長生きの猫と認承されて、長寿の表彰を受けた時代がありました。
これは猫を取り巻く環境が良くなって、健康な猫が増えている証拠です。
猫が長寿になって、老猫化した猫が全体の65%を占めるといわれている時代になりました。
老猫が病気をせずに長寿を真っ当するには、なんといってもストレスが大敵です。
今回は日々の生活の中で、なるべく老猫にストレスを与えずに仲良く生活していく方法をお伝えします。
老猫と引っ越しをするときは
老猫を連れて引っ越しをするときは、引っ越しすることを事前によく言い聞かせておきましょう。
人の言葉が理解できない猫に話しても無意味だと判断するのは、早とちりというものです。
老猫は、飼い主との長い共同生活によって、飼い主の話し言葉の意味をある程度は理解する能力を持っていますから、引っ越しを知らせることは意味がありますし、理解もします。
お外へ出ている老猫は一週間外出禁止
引っ越しをしたら、部屋のドアは開放せずに戸締まりをしっかりしておきます。
頭が通るほどの狭い出口でもあれば、猫はそこから外へ出て、もといた家へ帰ろうとします。
猫は、行動によって学習した認識を記憶していますから、以前の棲家に帰りたいのです。
新しい棲家に対する認識はこれから学習によって育ってくるわけですから、引っ越ししてすぐに、ここが新しい棲家であるという認識はまだありません。

引っ越しと棲み家の変更についての認識を、知能を活用して理解する才能を猫は持ち合わせていないのです。
引っ越ししたら、一週間は部屋に閉じ込めておきましょう。
それが、老猫を迷子にさせない飼い主の思いやりというのもです。
猫用のケージを用意し、その中で一週間我慢してもらえば、その後外出しても迷子になる心配はなくなります。
老猫を置いて長期留守をすること
飼い主が旅行をするときに老猫を親戚やペットホテルに預けたりすることがあるかもしれませんが、老猫にとって一時預けは迷惑なことです。
元来、老猫は妥協することが苦手ですから、仮の住まいの住民や世話人に馴染むことがヘタです。
心を許して甘えることができません。

終始世話人の顔色を伺い、「いい子」をしながら、飼い主 が迎えにくるのを緊張と我慢で今か今かと待ちわびています。
老猫の心は胸苦しく張り詰めて、昼といわず夜といわず、イライラの連続なのです。
猫は孤独を好むと言われていますが、飼い主のいない孤独は、老猫には耐えられないのです。
ストレスが悪循環して発病?
一日くらいの預かりならまだいいのですが、独りでいることが5日をこえ、その上に隣にやかましい見知らぬ若猫でも同居していたりすると、老猫のストレスは極限に達してしまって、嘔吐、下痢、食欲の減退などの疲労症状が出てきます。

気分もすぐれませんし、神経過敏になるので、世話してくれる人に八つ当たりをして、噛んだり引っ掻いたりするようになります。
果ては大声を出して鳴きわめくため、世話をしてくれる人に叱られるようになって、ストレスは悪循環してすっかり健康をそこねてしまい、やつれ果てた老猫の形相に変わります。
ストレスが生み出す異常行動
世話する人にしてみれば、飼い主から預かった大切なペットですから、病気にでもなったら大変だと一生懸命に介護するのですが、老猫はそのような人の心遣いを理解している余裕などありません。

ここから出て何とか自分の棲み家へ帰りたい一心から、孤独な老猫独自の異常行動をとるようになります。
大声で鳴きわめいたり、爪であたりをひっかいたり、食事や飲水をひっくり返してしまったり、排便や排尿を周囲の壁に塗りたくって閉じ込められていることに反発し、外へ出ることを要求し続けます。
そのために疲労して神経過敏になり、体温も多少上昇します。
疲労から軽い衰弱が始まったのです。
回復する一番の薬は帰宅
こんなとき、一番大切なことは、早く飼い主の手元に老猫が帰ることです。
疲れきった老猫の心を、飼い主のあたたかい心でそっと包み込んであげると、嘔吐も下痢も食欲の減退も軽い発熱も即座におさまります。

預けた間の管理が悪いために感染症などにかかったわけではなくて、ただ疲れているだけなのです。
これを感染症だと勘違いして病院に入院でもすると、疲労の上にさらに入院治療というストレスが加わって、老猫の健康はさらに悪化しかねません。
大事なことは、帰宅してからの飼い主のあたたかい愛情と、いたわりの挨拶なのです。
思いやりが長寿を約束
一週間近く飼い主から見捨てられたような生活を続けさせられたのですから、回復に一週間の時間を必要とするのは当然です。
必要なのは「1人ぼっちにしてごめんね」という飼い主のあたたかい優しい気持ちです。

老猫を孤独にさせたことをねぎらう心情とを、老猫はほしがっているのです。
このような飼い主の深い思いやりが、老猫の健康を守り、老猫の長寿を約束するのです。
なるべく規則的に留守にする
猫は孤独な生活には慣れていますから、規則正しい短時間の留守は一向に気にしません。
留守の間は昼寝をして過ごしてたり、自由に出入りしている子であれば、そこから外出して近所の猫友達と一緒に遊んで友情の確かめ合いなどして時間を過ごしています。
飼い主が規則正しい生活をしていれば、大体何時頃に戻ってくるのかを知っていますから、その時間になると飼い主の帰宅を待っています。

飼い主の都合で帰りがどうしても遅くなるようなときには、猫の好きな玩具やぬいぐるみなどを沢山用意して、退屈しないように心がけることが大切です。
出かける前に今日は帰りが遅くなることを言い聞かせておくことも大切です。
突然の留守で老猫はパニックになる
いつも飼い主がそばにいて優しく身体をなでてくれているのに、断りもなく突然に飼い主が留守をすると、老猫は「飼い主に見捨てられた」と思い込んでイライラし、ストレスでパニック状態になることがあります。
飼い主が帰宅してみると、老猫は飼い主の呼び声を無視して知らんぷりで、部屋の隅へ走り去ってしまいます。
これは拗ねての行動です。
尾は真っ直ぐに上を向いて立ち、耳は上を向いてピンとして、目は丸く優しく開いています。
飼い主への反発と甘えの交差した行動なのです。
老猫がトイレの失敗をしたときは
叱らずん学習させることが大切です。
トイレ以外で排便したり排尿したり、玩具や飼い主の身につける衣類を引き裂いたり、留守中に悪事のかぎりをすることがあります。


「悪い行為」を学習させるよい機会ですから、叱らずに事実を認識させてください。
ただし、次の機会に同じような行動をとらないように、事実をしっかり見つめさせながら教えないと、老猫は何が悪いのかを学習することができませんし、認識もできません。
叱っただけでは、老猫はなぜ叱られたか理解できないのです。
叱る理由が理解できるように、心を配ってあげなくてはなりません。
老猫の愛情表現に気づいてあげよう
猫は孤独を愛するから、老猫も孤独の暮らしを好んで送るのだろうと思いがちですが、そうではありません。
老猫の顔をしっかり見ていると、自分の感情をあらわにして相手にコミュニケーションを取っていることが理解できます。
人のほかに猿、犬、猫には顔の表情があって、顔の変化を見ていればおおよその心は読めるものだと言われています。

猫も表情がないように思われがちですが、詳細に観察しているとその表情の豊かさに驚かされます。
例えば飼い主が帰宅したときなど、喜びと甘えが混じった表情をします。
目をやや細めに開き、耳をピンと立てて、尾をまっすぐ上に伸ばして、帰宅した飼い主の足にまとわりつくように、自分の身体をすり寄せて飼い主につきまといます。
この行動は、最高の愛情の表現であり甘えの行動でもあります。
愛情表現に答えるポイント
猫の表情を読むときは、目の瞳孔の開き具合と耳の動き方、それに尾の上げ下げで判断すれば失敗 ありません。
老猫が甘えに表情でまとわりついてきたときは、飼い主が例えよそ行きのオシャレをしているときでも、決して猫をたしなめるようなことをしてはいけません。
衣類を汚さないように、飼い主が気をつけながら老猫の頭や身体をなでて愛情の表現に応えてあげないと、老猫はやがて飼い主に甘えて愛情溢れるお返しを求めるしぐさをしなくなり、無表情な老猫に変身してしまいます。

老猫の行動を見て、飼い主が心をこめた受け答えをすることが、老猫の心にストレスをためさせない、愛情のこもった飼い方であるといえますし、老猫を病気から守るポイントにもなります。
ストレスが、いかに多くの病気を引き起こすきっかけを作っているか考えましょう。
まとめ
老猫にとって一番の大敵は「ストレス」です。
老猫が長寿を真っ当できるよう、飼い主はなるべくストレスを与えないよう、日々の生活の中で老猫に話しかけ、普段と違うことがあるときには前もって説明しておくことが大事です。
猫と生活している方には分かるかと思いますが、猫はよくお話をしてきますし、こちらの話しもよく聞いていますよね。
老猫だけに細やかな心遣いをこことがけ、健康に長生きできるようお世話していきましょう^^