猫と生活していると「食事の与え方などはこれで合っているのかな?」と、ふと疑問に思うことはありませんか。
今回はそんな猫の食事のときにふと疑問に思っていたことを調べ、まとめてみました。
猫の飼い主なら知っておいて損はない情報なので、ぜひ一緒に“猫が食事で長生きする方法”を勉強していきましょう。
食事の時間と回数は規則正しく
ねこは通常、1回に食べる食事は少量で、おなかがすくと戻ってきてまた食べる、を繰り返します。
これは野性時代からの名残からくるものなので、ねこのためには少量を何回かに分けて与えるのがベストです。
ですが飼い主の都合で1日に数回も与えるのが不可能な場合は、朝と夜の2回に分けて与えるのが望ましいでしょう。
決められた量を置いておくと、猫は自分のペースで食べにきます。
夜人間が寝ている間も、食事や水を自由にとれるようにしておくと喜びます。
ねこは夜行性の動物で、夜になると副腎コルチコステロイドというホルモンが出て、カラダを外敵から守る防衛反応や、食欲を増す作用など様々な反応を起こすからです。
日没後はとくにこの作用が活発に働くので、日中より夕方以降のほうが食欲は旺盛になります。
食事とエネルギーの正しい関係
食事を与えるときに考えなくてはならないのは、エネルギーです。
エネルギーには種類が3つあります。
総エネルギーとは単純に火で燃やした場合のエネルギーの量のことで、この数字だけでは体に吸収されて、使われるエネルギー量がわかりません。
缶詰などに総エネルギー量が書かれてあっても、それが全部エネルギーにはならないわけです。
可視化エネルギーは食べ物が消化されて体の中に入るエネルギーのことで、総エネルギーから便の中に捨てられるエネルギーを差し引いた量ということになります。
体の中で燃やされるエネルギーが、代謝エネルギーです。
これは可視化エネルギーの中から、さらに尿中に捨てられる量などを差し引いたもので、ねこに必要なエネルギーを考えるときには、代謝エネルギーとして考えなければなりません。
このことを頭に入れて、ねこに必要なエネルギーを考えてみましょう。
適切な食事の量
食べる量はねこによって差はありますが、一般に一日に必要なエネルギーは体重1kg当たり70~90kcalです。
この数値は代謝エネルギーですので、実際に摂らなくてはならない総エネルギーは、これ以上ということになります。
これは健康時の基本となる必要エネルギーで、妊娠中や授乳期中の母ねこ、病気のねこの場合は多めになります。
軽い病気より、重い病気のねこのほうが必要エネルギーは多くなります。
また家の階段を年中上り下りしたり、追いかけっこや外出をする運動量の多いねこも、エネルギーが多めに必要です。
離乳後(約1ヶ月)から10ヶ月以内の子猫は、成猫より必要エネルギーははるかに多く、体重1kgあたり260kcalで、同じ体重に対して成猫は必要とするエネルギーに約4倍です。
人間でいう幼児期から高校生くらいの成長期にあたりますから、この時期に栄養不良になると、成長がとまるなどの障害が出やすくなるので、栄養補給はねこの体格を決める大事な要素になります。
ただ目安として、子猫の体重は成猫に比べると四分の一くらいですから、成猫と同じ量が必要という計算になります。
でも体が小さく、あまり量が食べれない場合は、子猫用の高カロリー食を利用するとよいのです。
ねこに必要な栄養素
野良ねこや外で遊んでいることの多かった昔の飼い猫は、本能的にとかげや虫など様々な小動物を摂って食べていました。
ですが現代の飼い猫は、完全に室内外が多くそういうワケにもいきません。
鳥などを摂る猫も少なくなり、飼い主がねこに好物を与えてしまうため、偏食もきになります。
ねこがすきだからといって、ご飯にかつおぶしを混ぜて与えていると、栄養不足になり、かといってなまりやあじなどの不飽和脂肪酸の多い魚だけ与えると、タンパク質や脂肪などの主要な栄養分は満たされても、ビタミンやミネラルなどの補助栄養分は不足します。
ねこは肉食動物で、高タンパク、高脂肪を必要としますが、タウリンやアルギニンのような必須アミノ酸など、体内で合成できない栄養素も必要なので注意しましょう。
タンパク質
ねこにとっても重要な栄養素はタンパク質です。
中でも必須アミノ酸のうちのタウリンは、視力や内蔵に欠かせない栄養素なので、これが不足すると、目の病気や心臓病などにかかりやすくなります。
タウリンは肉屋魚、乳製品などの動物性タンパク質に含まれています。
脂肪
ねこは少食なので、エネルギー源としては炭水化物より脂肪のほうが適しています。
動物性脂肪には体内で合成することができない必須脂肪酸が含まれているため、ねこの食事には必要です。
脂肪分の多い肉や魚、キャットフードなどから積極的に摂りたい栄養素です。
炭水化物
ねこの腸は炭水化物を消化するには適していません。
ねこによっては、ご飯を食べただけで下痢してしまう子もいます。
炭水化物はあくまでもエネルギー源なので、それならば脂肪で摂取したほうが無難です。
ご飯を与えるときは、せめて消化のよいおかゆにしてあげましょう。
ビタミン
活発に動くねこは、多くのビタミンを必要とします。
ただし、ビタミンA、Dはとくに体内に蓄積されやすく、過剰症の原因になるので注意が必要です。
たとえば、生レバーや卵黄を毎日与え続けると、ビタミンA過剰症にかかります。
ですがビタミンB群やCは水溶性なので少々なら過剰に摂っても尿の中に出てしまいます。
ただし、与えすぎるのは避けましょう。
カルシウム・リン
カルシウムとリンは骨を作るため、ねこにとって大事な栄養素です。
ですがリンを多く摂りすぎるとカルシウムが失われるため、リンとカルシウムは一対一の割合でバランスよく摂ることが大切です。
リンの多い肉や魚を主食にしている猫は、カルシウムが欠乏しやすいので、キャットフードなどで不足を補うとよいでしょう。
塩分
成長期の子猫の場合は、一日に1.5kgの塩分を必要としますが、成猫は0.3gで十分補えます。
塩分が多すぎると、腎臓に負担がかかってしまいます。
正常な腎臓はナトリウムが多少過剰でも自然に排出しますが、腎臓が病気な子はナトリウムの排出が難しくなるため、病気の完治に支障をきたします。
また腎臓病以外でもなにかの病気にかかっているねこは、塩分の摂りすぎは禁物です。
我家はペット用の鰹節(塩分カット)をふりかけていますが、人間用は避けたほうがいいです。
人間の食べ物を与えるのも避けましょう。
手作り食ってどうなの?
健康な猫にはあまりおすすめできません。
というのも、ねこに必要なエネルギー量と栄養素を手作りの食事で満たそうとすると、気の遠くなるような計算をしなくてはならないですし、必要な栄養素を全部網羅するために、材料そのものも、食品成分表とにらめっこして、厳密に選ばなくてはなりません。
もちろん調理にも時間がかかるので、飼い主にとっては相当な労力を要することになります。
ただ病気のねこには、与えるべき栄養素と与えてはならない栄養素を選択できるため、手作りの食事もよいのです。
そのような場合は、獣医師の指示に従いましょう。
キャットフードは万能健康食
病気にならないよう日頃から食事の内容を充実させたいなら、エネルギーと栄養素がバランスよく含まれているキャットフードがおすすめです。
飼い主もめんどうな計算や調理をせずにすみ、好都合です。
ただ全てのキャットフードがよいとは言い切れません。
きちんとした研究所をもち、科学的に開発を行っている会社の食品を選ぶようにしたいものです。
獣医さんに相談するのもよい方法で、現在の食事の状態を説明し、健康診断を受けたうえでいちばん適したものを選んでもらうとよいと思います。
安心・安全なキャットフードを知りたい方はこちら
上記で書いたような条件をクリアした、ヒューマングレード(※人間が食べられるレベルの食材を使用したドライフードのこと)で穀物不使用の、猫にとって消化にいいキャットフードはこの記事で紹介しています。
猫皿はどんなのがいいの?
いくら正しい食事を与えても、テーブルセッティングに問題があると、ねこは食欲をなくすものです。
まずは落ち着いて食べられる静かな場所に食器を置きます。
食事場所を決めておき、食器も毎回替えたりせず、いつも同じ食器で与えましょう。
そして肝心なのは、食器のタイプです。
ひげの当たらない平らなお皿が最適です。
食が細かった猫が、食器を平らなものに替えたら、よく食べるようになったという話もききます。
ヒゲが食器に当たると気分を害し、食欲が撃退するようです。
深い器を使っているなら、一度平らなお皿に替えてみてください。
きれいな飲水もねこの必需品
ねこはその昔、砂漠で生活していたため、水が多少不足してもそれほど健康に悪影響は与えません。
なぜなら、ねこの尿は老廃物を排出するためで、ねこの体はもともと水分を失わないようにできているからです、
ねこの尿が見るからに濃いのは、余分な水分を排出せずに老廃物だけを凝縮しているせいです。
なので犬のようにガブ飲みしなくても、心配ありません。
ただドライフードだけを食べているねこは、一日に1~2回は水をなめるところを見ないと心配です。
缶詰や半生タイプのキャットフードなら、食料から水分を摂れるし、脂肪が燃焼するときに生じる水分でまかなえるはずなので、あまり水を飲むところを見なくても問題はありません。
そうはいってもまったく水分を摂らないと脱水症状になり、眼球がくぼんで、皮膚をつまんでも元に戻らなくなったり、口の粘膜が乾くなどの症状が出ます。
ヒゲの当たらない平らでなるべく大きな容器に、常に清潔な水を補給することが大切です。
ねこがご飯を食べないときの対処法
ねこは気まぐれなので、平気で1~2回は食べないことがあります。
「いつもの食事に飽きたよ!」「もう少し待てばもっとおいしいものが出て来るかもしれないな」なんて、ハンストを起こしている可能性もあります。
あるいは、きれい好きでワガママな猫のことですから、食器が汚れているのが気に入らなかったり、ただ「食べる気になれない」のかもしれません。
けれど肥満の猫は、絶食が許されるのは36時間まで、と知っていますか。
それを過ぎると、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝という病気にかかりやすくなります。
一日ぐらいは食べなくても心配いりませんが、一日半も食べなければ病院へ行く必要があります。
気まぐれが理由で食べないときは、酸味のあるものを食事に混ぜるとよいでしょう。
ねこは意外にも酸味がすきで、わずかにしょっぱくしただけで食欲が戻る場合が大いにあります。
あるいは、いつもと同じ食事を与えているのも効果的です。
気まぐれでワガママなねこは、大体「いつものは飽きた!」と思っていることが多いのです。
肥満度チェックもかかさずに
肥満になると糖尿病や心臓病などの病気にかかりやすいので、基本体重を保ちましょう。
ペルシアねこなどの西洋ねこや、典型的な日本ねこは基本体重がわかるのですが、雑種はそうはいきません。
目安としては、通常西洋ねこや日本ねこは、
がっちりした猫は7~8kgにもなります。
一般的には観察して判断するのが正しいようです。
次のポイントをチェックしましょう。
✔後ろ姿がすいか形に見える
✔顔と体に肉が肉がつきすぎ、首がない。
✔おなかがパンパンに張っている、またはつまるほど脂肪がついている
✔助骨の上に脂肪がつき、指で助骨に触れない
上記1つでもあてはまるものがあれば、太りすぎということになります。
まとめ
今回は猫の食事に関する、基本的なことをお伝えしました。
猫も人間も、食事から身体は作らられるので、飼い猫が健康に長生きするためにも日々適切な食事を心がけましょう。