人気の猫種でトップ10に入る「ブリティッシュショートヘア」。丸くてとても可愛いですね。「不思議の国のアリス」に登場する猫のモデルになった種類としても有名です。
その歴史は古く、古代ローマ時代から愛されていました。そんな奥深いブリティッシュショートヘアを今回は紹介します。
歴史
ブリティッシュショートヘアは、イギリスで最も古い歴史を持つ猫とされています。2世紀ごろ、古代ローマが帝国がイギリスに侵略するとき、ネズミ退治用に連れてきた猫だといわれています。
その後改良され、1871年ロンドンで開催された世界初のキャットショー優秀賞を獲得し、1890年代にブリティッシュショートヘアヘアは正式に猫種として公認されました。
しかし、第一次、第二次世界大戦で絶滅の危機に瀕しました。繁殖家たちによってロシアンブルーやペルシャなどの猫と交配することで血統をつなぎ、今までになかった新しい毛色や体型が生まれました。
ブリティッシュショートヘアの性格
子猫の時期は甘えん坊ですが、成猫になると非常に静かで、浮き沈みのない穏やかな性格な子が多いです。運動能力は高いですが、跳んだり走り回ったりと活発な動きはあまり好まず、おとなしくのんびり過ごすことが好きな猫です。
プライドも高く、とても賢いです。触られたり、抱っこされたりなど構われるのを嫌がったりもするので、あまり手がかかりません。そのため、留守番も得意です。
ある程度の距離感を持って生活する猫なので、小さなお子さまがいる家庭やたくさん猫と遊びたいと望んでいる方には違う種類の猫がいいでしょう。
ブリティッシュショートヘアの特徴
身体
頭も顔も目も真ん丸で愛らしい顔立ちをしています。胸は厚く、足はがっしりと骨太です。
全体的に筋肉質でしっかりとした体格です。猫の血液型はほとんどがA型ですが、ブリティッシュショートヘアの約半数の血液型がB型です。他の短毛種では見られない珍しい特徴になります。
体重
体重は4~7kgですが、オスの方がメスよりも大きくなりやすい傾向にあります。
寿命
ブリテッシュショートヘアの平均寿命は14~17歳。猫の中でも長生きしやすい種類といえます。
被毛
ふかふかの被毛の短毛種です。昔はブリティッシュショートヘアではなく、「ブリティッシュブルー」と呼ばれていました。ブルーといわれる綺麗な灰色の人気が高く、ある時期までのキャットショーにはこの毛色の猫だけが出ることが許されていたそうです。
現在でも灰色の人気は高いですが、他にもホワイト、ブラック、レッド、クリーム、ライラック、チョコレート、シナモンなどカラーバリエーション豊かです。ブルーの毛色の猫は他の毛色に比べて毛が厚いのも特徴です。
目の色
また、毛色によって目の色が変わります。ブルーの毛色の場合、目の色が金、オレンジ、銅が多いです。
シルバーやゴールドの毛色の場合、目の色が緑色。白い毛色の場合、目の色がブルー、もしくはオッドアイといい左右別の色になる場合もあります。必ずしもこのパターンというわけではありません。
気をつけたい病気
ブリティッシュショートヘアは病気には比較的強いといわれている猫ですが、注意しておきたい病気もいくつかあります。
尿石症
尿路で結石が形成され、膀胱炎や血尿などの症状が出ます。尿石の中でも特に「シュウ酸カルシウム結石」の発症率がブリティッシュショートヘアは高く、ミネソタ大学の調査では標準の13倍という数値が出ています。
肥大型心筋症
ブリティッシュショートヘアは古い猫種なので、遺伝性疾患が少ないとされていますが、肥大型心筋症は特に年齢を重ねると起こりやすい病気のひとつです。
心臓の壁が厚くなり、正常に血液が送り出せなくなります。オス猫の方が発症率は高い傾向にあります。
糖尿病
摂取カロリーと消費カロリーのバランスが大切です。ブリティッシュショートヘアはしっかりとした骨格を支えるために、ごはんは高カロリー気味になっています。
運動などで気をつけないと肥満、糖尿病になりやすくなってきます。肥満は他の病気にもなりやすいので、その子の適正体重を獣医さんに聞いておくのもいいでしょう。
新生子溶血
A型の子猫がB型の母猫の初乳を飲むと、血液中の赤血球が壊されるという現象「新生子溶血」。重度の場合はそのまま死んでしまいます。
新生子溶血に陥ると治療は非常に難しいため、何よりも事前に猫の血液型を調べておくことが大事です。
出産、ケガなどによる出血
ブリティッシュショートヘアの約半数の血液型は猫には珍しいB型です。出産やケガ、手術などで大量に出血をすると輸血が必要になります。
異なる血液型で輸血すると抗体ショックが非常に大きいため、血液型を把握しておくことはとても重要です。
ブリティッシュショートヘアと長く一緒に過ごすために
愛らしい姿に、独立心が強くマイペースなブリティッシュショートヘア。長い歴史を持つ猫だからこその猫らしい猫の姿なのかもしれませんね。あまり周りの環境に左右されることも少なく飼いやすいでしょう。
しかし、構われたくない、触ってほしくない、ひとりにしておいてほしい時が多くあるようなので、そんな時はそっとしてあげましょう。無理に距離を縮めるようなストレスを与えるのは禁物です。あたたかく見守ってほしい猫ちゃんなんですね。
また珍しいB型の血液型を持つ可能性のある猫でもあります。全てのブリティッシュショートヘアがB型ではありません。早めに血液型を検査するのも飼い主さんの大きな役目になると思います。
B型の場合、妊娠出産のリスクも高くなります。妊娠をすすめない場合もあるようですので、妊娠する前に獣医さんに聞いた方がいいでしょう。