ワンちゃんの飼い主さんなら一度は聞いたことがあるかもしれない「外耳炎」。
比較的かかりやすく、身近な病気です。
しかし、かかってしまうと慢性化、再発しやすい病気でもあるので厄介です。
今回は犬の外耳炎についてご紹介します。
犬の外耳炎とは
外耳炎とは、耳の入り口から鼓膜までの外耳といわれる部分に起こる炎症です。
珍しい病気ではなく日常的に多くの犬がかかりやすい病気の一つですが、自然治癒することはなく、治療しないと大きな手術をしなければならないほど悪化する病気です。
また脳に近い部分でもあるため、慢性化してしまうと脳への影響もないとはいえません。
急激に症状が悪化する急性外耳炎と、少しずつ悪くなり経過が長期に及ぶ慢性外耳炎があります。
犬の外耳炎の原因
犬は人間と違い、外耳道が通気しにくL字の形をしてるため、外耳炎にかかりやすい構造といえます。
アレルギー
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどの基礎疾患により、外耳炎を引き起こすことがあります。
アトピー性皮膚炎の83%、食物アレルギーの80%の犬が外耳炎を併発しているというデータもあります。
アレルギーの体の痒みと共に耳が痒くなることが多いようです。
異物
耳の中に異物が入り込んでしまうと外耳炎になってしまうことがあります。
散歩中に、草花や虫、石などが入って取れなくなることがあります。
特に多いのが草むらでイネ科の植物の穂先や植物のタネなど。
異物による物理的な刺激が外耳炎の原因になります。
また、プールや川などの水遊び、シャンプーの後などに耳の中に残った水分が原因で外耳炎を発症することもあります。
他にも、自分の毛が入ってしまい、外耳炎を起こすケースもあります。
寄生虫
ダニやノミなどの寄生虫によって外耳炎を起こすことも。
ミミヒゼンダニ(疥癬)という寄生虫は、外耳炎を引き起こすことが多く、黒っぽい耳垢に強い痒みを伴う外耳炎を引き起こします。
細菌・真菌
耳の中に常在する細菌や真菌などの微生物が何らかのきっかけで増殖し炎症を起こします。
元々、耳の中には自然に治癒する力があります。外耳炎を起こす原因によって自然治癒力の機能が低下して耳の中の環境が悪くなり、外耳炎を引き起こしてしまうのです。
その結果さらに細菌や真菌が増えていきます。
犬の外耳炎の症状
さまざまな症状がみられますが、一般的に多い症状をご紹介します。
- 耳の痒み
- 耳の赤み
- 耳を床や地面にこすりつける
- 頭を振る
- 耳から悪臭がする
- 耳を触れることを嫌がる、怒る
- 出血
- 耳ダレ
- 耳の脱毛
- 黄色、黒色、茶色の耳垢が増える
- 音や声への反応がにぶく、聞こえが悪い
外耳炎に気をつけたい犬
アレルギー疾患により、外耳炎を引き起こしやすいので、アレルギーを発症しやすい犬は気をつけたいですね。
他にも外耳炎に比較的なりやすい犬種をご紹介します。
垂れ耳の犬種
コッカ―スパニエル、シーズーなど
外耳道に被毛が多い犬種
プードルやシーズー、マルチーズなど
耳垢線の多い犬種
コッカ―スパニエルやラブラドールレトリーバーなど
狭い耳道の犬種
パグ、フレンチ・ブルドック、チワワなど
犬が外耳炎になったら
外耳炎の診断を受けたら、一般的に外耳道の洗浄と薬の治療になるようです。
点耳薬は、毎日するタイプや病院でつけてもらって一定期間効果のあるタイプもあります。
症状によっては内服薬の投与も行うこともあります。
軽度では約1週間ほどの治療で良くなることが多いですが、2~4週間の治療が必要なことが一般的のようです。炎症が強いなどの症状が重い場合はさらに長期化することもあります。
慢性化した難治性の外耳炎では外科的治療が検討されることも。
外耳炎は再発の多い病気ですので、しっかりと完治するまで治療を続けることが大切です。
犬の外耳炎の予防対策
耳のチェック
飼い主さんが愛犬の耳の中を定期的にチェックすることが大切です。
耳垢がたまっていないか、赤みがないか、悪臭がしないか、耳の周りが脱毛していないか…こまめにチェックしましょう。
いつもと違うなと異変に気付くためにも、普段の状態をよく知っておくことも大事ですね。
耳の掃除
耳を清潔に保つため、定期的に耳掃除をしましょう。
しかし、やり過ぎてしまったり、誤った方法で掃除すると耳を傷つけて外耳炎を起こしてしまう原因になります。
耳掃除の方法や愛犬に合った頻度などは獣医師に相談するといいでしょう。
定期的な検診
予防薬や検診などで病院に行く機会などに、耳の中も確認してもらうといいですね。
特にアレルギーのワンちゃんは、外耳炎になりやすい傾向にあるため定期的に診てもらうと安心です。
愛犬と長く元気に過ごせるように
犬にとって外耳炎は、とても身近で珍しい病気ではありません。
命にかかわるというような病気ではありませんが、再発を繰り返すことが多い病気です。
愛犬が、痒い、痛いと感じながら生活するのは可哀想ですね。
外耳炎になっても、慢性化せずに早期の治療で済むように、日頃のチェックで早めに異変に気づきたいですね。