ワンちゃんが動物病院で診察する病気の中でも上位に入る「胃腸炎」。
身近な病気で、胃腸炎にかかったことのあるワンちゃんは少なくありません。
中には重症化してしまう子や、大きな病気が潜んでいる場合もあるので軽く考えるのは危険です。
今回は「胃腸炎」についてご紹介します。
犬の胃腸炎とは
一般的に胃腸炎は一週間以内で治まる急性胃腸炎と一週間以上続く慢性胃腸炎があります。
胃腸炎の多くは急性胃腸炎で、比較的激しい症状ですが数日で自然に治ったり、短期間の治療ですぐに回復していきます。
一方、慢性腸炎は自然治癒することはなく、急性胃腸炎の治療をしても治らない、すぐに再発するなど長期的に症状が続きます。
犬の胃腸炎の原因
胃腸炎の原因はさまざま考えられます。
誤飲誤食
胃腸炎の原因で最も多いとされるのが、誤飲誤食です。
おもちゃや服の装飾物、散歩中での拾い食い、中毒症状を起こす植物や人間の薬などを口にしてしまうことで胃腸炎を引き起こします。
食事
量が多い、食べ慣れないものを食べた、脂肪分が多いものを食べるなどで消化不良から胃腸炎になる可能性があります。
食事だけではなく、おやつの与えすぎにも注意です。
季節の変わり目
季節の変わり目の寒暖差などで、消化器官の働きが悪くなり胃腸炎を引き起こすことがあります。
寒暖差は体力的にも精神的にもストレスがかかっている状態で、特に負担がかかりやすくなっています。
感染症
細菌、寄生虫、カビ、ウイルスなどの感染症により、胃腸炎を引き起こすこともあります。
ストレス
犬がストレスを感じると胃の働きをコントロールできなくなります。
苦手なペットホテルに預けられた、家族が増えたり減ったり引っ越しなどで環境が変わった、来客が続いた、騒音なども犬のストレスになります。
また、どこかをケガしていたり痛みがあることがストレスになっていることも。
他の病気
他の病気が原因で胃腸炎を引き起こしている場合もあります。
(腸閉塞、潰瘍、腫瘍、腎臓病、肝臓病、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、膵炎、腹膜炎、子宮蓄膿症、前立腺炎、敗血症、リンパ肉腫など)
犬の胃腸炎の症状
以下の症状は急性胃腸炎でも慢性胃腸炎でも見られることの多い一般的な症状です。
- 嘔吐
- 下痢
- 元気がない
- 食欲不振など
下痢、嘔吐は脱水症や低血糖、酸塩基平衡異常、電解質平衡異常、栄養不良を引き起こすこともあります。
急性胃腸炎で見られる症状
- 粘液や血が混じる軟便、下痢
- 繰り返す嘔吐
- よだれを垂らす
慢性胃腸炎で見られる症状
- 長期間の下痢、嘔吐
- 体重低下
犬の胃腸炎の予防
犬の胃腸炎は、飼い主さんが気をつけて予防できることもあります。
- 拾い食いや誤飲に気をつける
- 消化に悪いものは与えない
- 食べなれないものを与えるときには少量から
- ストレスを与えない生活
- 季節の変わり目は消化の良いものを与える
- 寄生虫対策の予防薬など
胃腸炎は予防と早期発見が大事
犬は人間に比べて、下痢や嘔吐をしやすい動物です。
そのため、様子をみて症状が落ち着くことも少なくないため、病院に連れて行くタイミングを悩みますね。
軽い症状であれば様子を見るのは2~3日程度、症状が悪化していない場合です。
それでもいつもの症状と少し違う、愛犬の様子がなんだかおかしい…と飼い主さんが感じるようであれば受診しましょう。
特に子犬や高齢犬は、脱水症も起こしやすいので注意が必要です。
中には他の病気の可能性もありますし、また原因不明の急性出血胃腸炎の場合は数時間でも重篤になることも。
愛犬の便など普段の様子をよく観察することで早期発見することが可能です。
飼い主さんが毎日気にかけて愛犬の体調や様子をチェックすることが大切ですね。