ごはんを食べさせた直後にお散歩に出かけたり、ドッグランに遊びに行ったりすることはありませんか。
飼い主さんの事情や、暑い夏や寒い冬など気温などの兼ね合いで、お散歩前に食事をさせることがあるかもしれませんが、実はとても危険な行為なのです。
最悪な場合は命を落とすこともありますし、珍しいケースではありません。
とても身近にこんなに危険な行為があることを、多くの飼い主さんに知ってほしいと思います。
胃捻転とは
何らかの拍子に胃がねじれてしまう状態のことを「胃捻転」といいます。
胃がねじれたりひっくり返ると、胃や腸などに繋がっている血管もねじれたり、周りの臓器を圧迫し、全身に血液がまわらなくなるのです。
症状が出て数時間後に死んでしまうワンちゃんもいます。
胃捻転の原因
原因は正確には解明されていませんが、何かの拍子に胃がねじれてしまうのですが、食後の運動が大きな要因だと考えられています。
胃に水や食べ物が入ると、胃が拡張します。さらに食べ物が発酵し、ますます胃が大きくなります。
その状態で散歩などの運動をすると、激しく胃が動きねじられやすくなるのです。
食後の運動以外にも早食いや一度に大量の食事、水のガブ飲みも、胃捻転の原因に大きく関係しているといわれています。
胃捻転の症状
- ぐったりして元気がなくなる
- 落ち着かなくなる
- げっぷを頻繁にする
- げっぷが出そうで出ない
- えずく
- 口の中に泡や粘液
- お腹が張る、膨れる(小型犬に多い症状)
- よだれが出る
- 腹痛で背中を丸める
- 呼吸が苦しそう
このような症状が食後数時間後に出ます。
特に気を付けたい犬種
胃捻転は先天性の場合もありますし、どの犬でもなりえますが、特に大型犬や胸の深い犬種がなりやすいといわれています。
- スタンダードプードル
- レトリバー
- ゴールデン・レトリーバー
- 秋田犬
- ラブラドール
- グレート・デン
- ワイマラナー
- ポインター
- ジャーマン・シェパード・ドッグなど
気を付けたい子
- 胃捻転を経験したことがある
- 親が胃捻転を経験
- 大食い
- 早食い
- 水をがぶ飲み
- ゲップが苦手
- 食後にテンションがあがる
このようなワンちゃん達も特に注意が必要です。予防することが出来る場合は、それが一番です。
胃捻転の予防
食後に運動させない
ごはんを食べさせてから2~3時間は休ませましょう。胃捻転のリスクがかなり下がります。
どうしても2~3時間空けることが出来ない場合は、ゆっくりゆっくり歩かせましょう。
散歩前に食べさせなければならない場合は食事ではなく、オヤツなどで空腹を紛らわせるといいですね。
散歩だけではなく、家の中で動きの早い遊びも避けましょう。
食後にテンションの上がってしまうワンちゃんの場合は、ごはんを食べさせた後ゲージに入れるといいでしょう。食後はゆっくり過ごすという生活パターンを慣らしていけば、そのうちゲージに入れなくても、自然と食後に眠くなったりゆっくり過ごすようになります。
運動直後にも食事をさせない
食後に散歩ができないので、散歩から帰ってきてすぐに食事をさせるのも胃捻転になる危険性が高いといわれています。
散歩後に食事を上げる場合は、1時間は空けてからごはんをあげましょう。
大食い、一気飲みさせない
一度に多くの食ベ物や水を胃の中にいれないように気を付けたいですね。
一日一食だと、一度に摂取する食事量が増えるので胃捻転のリスクが高まりますので、食事の回数を増やして一度に与える量を減らすことをオススメします。
また散歩前散歩後に限らず、水をガブ飲みしやすいワンちゃんは要注意です。ボウルタイプで水を飲ませるとガブガブ飲めてしまうので、ノズルタイプにするとガブ飲みを防ぐことができます。
早食いさせない
大食いだけではなく、早食いするワンちゃんも胃捻転に気を付けなければなりません。早食いは、胃捻転以外にも喉に詰まらせたり、消化不良、肥満など様々なリスクがあるのでゆっくり食べる対策をしたいですね。
多頭飼いの場合、他の子に食べられてしまうかもしれないという心配から早食いになりやすい傾向にあるようです。
食事の時には部屋を分けたり、ゲージの外と中など食事の邪魔をされない環境を作ってあげるといいですね。
また、早食い防止のフードボウルなども販売されているので利用するといいでしょう。
愛犬の命を守るために
ワンちゃんのごはん直後の散歩はやめた方がいいというのは耳にしたことはありましたが、実際「胃捻転」の危険性を知ると本当に恐ろしいと思いました。
テレビの『だいすけ君が行く!! ポチたま新ペットの旅』のラブラドールレトリバーのだいすけ君も胃捻転で急逝しました。
胃捻転は死亡率がとても高いものです。少しでも症状が出たら、緊急で診てもらいましょう。短時間で急変し命にかかわるので、早くに気付くこと、早くに病院で診てもらうことが大事です。
先天性の場合もありますが、飼い主さんが気を付ければ胃捻転のリスクは確実に低くなります。
食事直後に散歩に行くような生活パターンでしたら、ぜひ見直してほしいと思います。
我が家の犬も、夕飯後に「遊んで遊んで!」と誘ってくることが多いので、しっかりと休ませてから遊ぶようにスグに改善します。