昔ほど野良猫に出会う機会は減ったものの、まだまだ飼い主さんがいない野良猫ちゃんは多くいます。交通事故や病気でひっそりと死んでしまう猫もたくさんいます。
同じ場所でよく見かける猫ちゃん…幸せなのかな、飼われてるのかな、野良猫なのかな?何かしてあげられることはないかな…と思ったことがあると思います。
今回はそんな猫に出会った時にどうしてあげるのが良いのかを紹介します。
地域猫は野良猫とは違う
まず知ってほしい「地域猫」の存在。地域猫とは、地域住民やボランティア団体が協力して世話している猫のことです。といっても、エサを与えているだけの猫は地域猫とは言えません。
エサ場や猫トイレの設置、清掃、繁殖防止の避妊手術、去勢手術などが行われ、飼育責任者がいるなど細かいルールの上で飼育されています。
地域猫には必ず避妊、去勢手術をし、その印に片耳の先がカットされています。その形が桜の花びらに似ていることから「さくら耳」や「さくら猫」などとも呼ばれています。中には水平にカットされている猫もいるようです。
地域猫にする活動を「TNR」といいます。Trap(捕獲)Neuter(不妊去勢手術)Return(元の場所に戻す)をいう意味です。繁殖を防止し、飼い主のいない猫の苦情、殺処分を減少する活動です。
一方、野良猫には定期的に食べられるエサもありませんし、決まったトイレ場所もありません。そのためゴミを漁ったり、人の家の庭に排泄したりと地域住民に迷惑をかけてしまいます。
そして、避妊・去勢をしていないため、このような過酷な環境で生活しなくてはいけない猫たちが増えてしまうのです。
野良猫を見かけたらすること
迷子猫ではないか
野良猫だと思っている猫が、飼われている猫がお散歩中なのか、迷子猫なのか見極めることが必要です。
- 首輪の有無
- 体の汚れ
- 毛並み
などが、見るポイントです。
もし飼われている猫で迷子の可能性がありそうな場合は、近くの交番や動物病院、保健所などに連絡してみましょう。探している飼い主さんが、届けを出している可能性が高いです。
マイクロチップが埋め込まれているペット猫であれば動物病院でチップの有無を確認することが出来ます。
また、最近ではSNSを使って迷子や行方不明の猫を情報を集めている飼い主さんもいるので、併せて利用するといいですね。
保護できるかできないか
保護できない場合
自分では飼えない、保護できない場合は各自治体の動物愛護相談センターや地域の動物愛護団体(NGO、NPOなど)に連絡しましょう。
動物愛護相談センターに連絡するとすぐに殺処分されてしまうと思われるかもしれませんが、殺処分を減らすように新しい飼い主を探す譲渡事業などを行っている自治体も多くありますし、中には殺処分はしないというセンターもあります。
お近くのセンターが猫をどういう流れでどうするのかを調べてみると分かるかもしれません。多くの自治体はホームページなどに載せていると思います。
なお、東京都動物愛護相談センターでは「収容期間を設定し、期限満了後、譲渡適性があると判断した動物は適正な飼育のできる新しい飼い主にお譲りしていますが、その他の動物については殺処分になります。」(2019年7月時点)となっています。
保護できる場合
保護をして飼い猫になることが猫にとっては一番幸せです。しかし、飼えないけれど少しの期間ならと保護をし、そのまま飼い手がつかなかった場合どうしますか。元の場所へ戻しますか、捨てますか。保護する場合は、そのような事もよく考えてからにしましょう。
捕獲準備、捕獲グッズ、捕獲
猫を捕まえる時にはなるべく肌が出ないような服装で厚手の手袋をすると安心です。猫が暴れる場合や病気を持っていることもあります。
捕獲器が必要な場合は、日本動物福祉協会や捕獲器レンタル業者で比較的安く借りることもできます。
捕まえた後にはキャリーケースに入れるといいでしょう。子猫くらいなら大丈夫かもしれませんが、成猫を段ボールなどに入れると底が抜けたり、暴れた時に落ちる危険性があります。
まずは動物病院へ
猫を保護したら、まずは動物病院へ連れて行きましょう。猫の健康状態、ノミやダニが付いていないか、感染症にかかっていないか、獣医さんに診てもらいましょう。
特に犬や猫などのペットを飼っている場合は、野良猫からすぐにうつってしまう危険性があります。病院によって金額に差がありますが、1万円前後くらいが目安です。先に問い合わせておいてもいいですね。
飼育出来ない場合
自分で飼育できない場合、猫の飼い主を探さなくてはいけません。里親募集には様々な方法があります。ご自身の周りに声をかける方法や動物病院などの協力を得る方法、動物愛護団体などの保護団体(NGO、NPOなど)、SNSで拡散してもらうなどです。
飼えなくても、里親や協力してくれるところが見つかるまでは猫の世話をしなくてはいけません。最低限、エサ、水、トイレ、寝床が必要です。
飼育する場合
飼育する場合の注意点です。
- 慣れるまで時間がかかるかもしれません。
- 病気を持っていた場合は完治するまでしっかりと通院して下さい。
- 避妊・去勢手術を行いましょう。
- 2度と野良猫にならないように、最後までお世話をして下さい。
野良猫を放っておけない優しい人が飼い主になってくれたら、これほど猫にとって幸せなことはありません。もうエサを探さなくてもいい生活、暑さ寒さ・雨風から守られた生活、衛生的で安心して生きていくことが出来ます。
地域猫も飼えます
地域で飼われている地域猫ですが、飼うことも出来ます。お世話をしてもらっている地域猫ですが、自分の家がありません。交通事故、病気のリスクも高いのです。特定の飼い主さんが家の中でお世話してあげられる環境に越えるものはありません。
横浜で野良猫のTNRや猫の里親探しなどの活動をしている「チーム・のっぴきならない」の方が作られたイラストです。
地域猫を飼う場合にも、まずは病院に連れて行ってあげましょう。避妊去勢手術はしていますが、病気や健康状態を診てもらいましょう。
飼う際に、地域猫をお世話している人に飼い主になることを伝えられると安心されるかもしれませんね。
野良猫にしてはいけない事
可哀想な野良猫にエサやお水をあげた経験はありませんか。優しさからのこの行為、実は猫たちを苦しめることになります。
野良猫を地域猫にするために、エサをあげて捕獲しています。他でエサをもらっている猫は、捕獲しにくいのです。責任が持てずにエサをあげてはいけません。エサをあげたら、その猫に責任を持たなくてはなりません。
少しでも不幸な猫を減らすために、その活動をしている人たちのために、野良猫にエサをあげてはいけません。
猫たちの幸せのために
外で猫たちが日向ぼっこしている姿を見ると幸せな気持ちになります。しかし、その猫は幸せなんでしょうか。帰る家はあるの?お腹空かせてない?痛いところない?と、言葉が話せるなら聞いてみたいです。
猫の殺処分を減らすために、今はたくさんの方が様々な活動をしてくれています。そのような活動が出来なくても、身近に出来ることがあることを私も今回知ることが出来ました。
小さな命を守るために、ぜひ多くの人に知ってほしいと思います。