猫を飼いたいと思っているときに、無邪気にじゃれている可愛い子猫に出会い、その愛らしさに惹かれて無意識に猫を抱き上げ、胸に抱きしめたことがきっかけになって、子猫を飼うことになった方は多いのではないでしょうか。
その愛らしい無邪気な子猫も、10年もの長い間飼われていると、いつしか歳おいて運動能力や肉体の活動力が衰えて、無邪気に飼い主に甘えなくなります。
そんなとき飼い主としてできることや、今からできる予防対策、既に老齢猫と生活している方は、日々の接し方などをまとめました。
まだまだ若い猫の飼い主さんも、いつか来る愛猫の老後に備え情報だけでも知っておきましょう。
子猫も間違いなく歳をとる
肉体の老化にともなって記憶力が衰え、飼い主の呼びかけにも素直に答えなくなります。
周囲に対して無関心になって、孤独を愛する日々を送るようになります。
子猫の愛らしさや無邪気さにひかれて猫を飼うことにした飼い主にしてみると、このような歳老いた猫の姿やしぐやを目の当たりにすると、飼い始めの頃の熱い期待が薄れて、時には猫がうとましく感じられるときもあるようです。
しかしそれは、飼い主のわがままというものです。
歳老いてもなお飼い主に寄り添い、飼い主を裏切ることなく、共に老いの身となっても二人三脚で、毎日を楽しく助け合って暮らしている平穏で穏やかな家庭もあります。

猫と飼い主の意思の疎通
猫と飼い主との共同生活の様子は、飼い主の猫に対する心遣いの仕方によってさまざまに変わっていきます。
円熟にした飼い主と、老熟した猫との共同生活には、第三者の介入を許さないほど深くて固い絆が存在しています。
そして、一人と一匹の心の結びつきが家庭の団らんと健康の礎になり、明るい共同生活の根幹になっています。
逆に老猫と飼い主との間に意思の疎通が欠けていると個々がそれぞれ孤独になり、猫が飼い主との生活の中から学習する機械が少なくなって、楽しく明るい共同生活ができなくなってしまいます。
猫を飼うことの難しさが、このあたりにあるように思います。
老猫の幸せは飼い主次第
飼い主の猫を思う心と、嘘を言わない猫の心との交流が日々続いていれば、飼い主と猫との間には裏切りのない信頼感が生まれています。

飼い主も猫の愛らしさに応えてやさしく話かけてしまうという連鎖行動が、猫を飼う醍醐味になるのかもしれません。
飼い主と猫の、明るく楽しい共同生活が実現すれば、猫の老後の健康も自ずと保証されます。
老猫の健康法は、飼い主が初心を忘れずに、絶えず猫に変わらぬ穏やかな愛情を注いであげることから始まります。
愛情の深い飼育管理で健康が守られ、良質の栄養管理を実践することで病気を予防すれば、猫の老後が保護されて安定した毎日が送れるというものです。
猫はどう老けていく?
猫も、この世に生をうけてから一日が経過するごとに老いていく宿命にあります。
飼い主も同じ運命にあるわけですが、これは地上の生命体のすべてが辿らなければならない肉体の帰路でもあります。
しかし、老化現象の現れ方がすべての猫に、同じペースで一様に進んでいくわけではありません。
生後6年で老化が現れて、動くこともままならない猫もいるかと思えば、28年も生きているのに、成猫と外見や行動がまったく同じような健康猫もいます。
猫の一生を通じて肉体的な成長の家庭を、人の一生と比較して、猫の肉体がどのように時間的に変化し、どのように衰えていくかを知ることが、猫のよきパートーナーになる条件ともいえるでしょう。
6歳を過ぎるとゆるやかに老化が始まる
猫は人間より早く年をとります。
猫の年齡 | 人間の年齡 |
2ヶ月 | 3歳 |
6ヶ月 | 8~9歳 |
1歳 | 13~18歳 |
2歳 | 24歳 |
3歳 | 28歳 |
4歳 | 32歳 |
5歳 | 36歳 |
6歳 | 40歳 |
7歳 | 44歳 |
8歳 | 48歳 |
9歳 | 52歳 |
10歳 | 56歳 |
11歳 | 60歳 |
12歳 | 64歳 |
13歳 | 68歳 |
14歳 | 72歳 |
15歳 | 76歳 |
16歳 | 80歳 |
17歳 | 84歳 |
18歳 | 88歳 |
19歳 | 92歳 |
20歳 | 96歳 |
猫は生まれて一年で肉体的な成長が完了します。
つまり、大人の仲間入りをするわけです。
この時期の猫の行動は、一生を通じて一番活発で、記憶力も抜群です。
もちろん生活環境への順応も完璧で、人の18歳前後に匹敵する成育ぶりです。
その後、猫は一年に人間の4年分に相当するスピードで肉体が円熟していき、青年期が5年ほど続きます。
猫として、素晴らしい青春時代を存分に謳歌する時代になります。

猫の平均寿命は15年
猫は10年は、人の70歳という年齡に相当すると提唱する学者がいますから、6歳の猫は初老であると断定されるわけです。
飼い主の皆さんにしてみると、「とんでもない、私の愛猫に限ってそんな老体ではない」と言いたくなりますよね。
また、猫の平均寿命は15年と言われますから、人の年齡に換算すると80歳前後ということになって、ちょうど人の寿命に相当するようです。
15年という寿命は人に比べれば短いのですが、この短い間に、猫は十分な生命活動を展開していきます。
増えている老け込まない猫
生まれて一年の間は、驚くほどのスピードで成長を遂げて、成猫になります。
しかし、猫を外から見ている限り老化は人に比べて実に緩慢に進んでいくように見えます。
28年間生き続けた長寿猫を人の年齡に換算すると、105歳を超えることになりますが、猫の年齡で6歳、人の年齡に換算しても50歳くらいにしか見えないほどの若々しさを保っている老齢猫が、最近増え始めました。
言いかえれば、それほど老け込まない老齢猫が増えてきたということです。
老猫の存在が目につかない理由は、猫が一見若く見えるためで、それが老猫を実際よりも少なく感じさせているようです。
なぜ猫は実際よりも若くみえるのか、その原因はいったいなんだとうかと理由を探りたくなります。
そして、自分の飼い猫に、一日でも長く青春時代のままでいてもらいたいと思う飼い主さんも多いことでしょう。
その「極意」なるものを説明していきたいと思います。
心のケアが老猫の健康を守る
自分の意思のおもむくままに自由に孤独な行動をしている猫は、グループ行動を好む犬に比べると、飼い主や猫同士の間の意思の疎通がいくらか劣っているように思われているようですが、決してそんなことはありません。
人を除いた哺乳動物の大脳の構造は、そんなに変わりません。
犬も猫も猿も馬も牛も皆、同じ構造といっても間違いではありません。
大脳皮質の構造が人よりも貧弱ですから、人のように思考したり、創造したり、言葉によるコミュニケーションをすることはできませんが、生活していく上で嗅覚、視覚、聴覚を駆使して学習することは可能です。

飼い主の行動を詳細に観察していて、これを学び記憶して、猫自身の力で行動にうつすことができます。
この学習の頻度によって、猫の記憶や行動の量が変わってくるのは当然です。
押入れのふすまを自在に開けることや玄関の引き戸を開けて勝手に外出することは、皆さんもよく知っていると思います。
猫大脳皮質の発達は人に比べて非常に貧弱ですから、認識力は人よりはるかに劣っていますが、それでも2歳齡の小児と同程度の認識力はあると言われています。
生まれてから一年くらいの間に、認識力が最高レベルに達すると言われていますが、認識力の発達はこれで停止しても、学習によって体得する知識や行動力は、学習するたびに豊富になっていきます。
猫が飼い主に救いを求めている
人の行動を見て学習し、認識したことを記憶して行動することができても、猫は自らの発想で飼い主に行動をしかけてくることはできません。
飼い主と猫とのコミュニケーションを作り出す難しさが、このあたりにあります。
猫を心から愛していても、猫の欲求を理解して、飼い主に対して猫が何を求めているかを察知し、飼い主がそれに応えてあげなければ、猫は飼い主に心の門戸を開いてはくれません。
体調に変化を感じて不安になったときに、飼い主に救いを求められずに、猫本来の防御手段である安全と思われる場所に身を隠して、病が癒えるのを孤独にじっと待つようになります。
猫がピンチになったときに、安心して飼い主に猫が心を開き、救いを求めることができるような飼い主になっていれば、健康で長生きしやすくなるのかもしれません。

猫の老化予防と長寿の秘訣
老齢猫のうたた寝が、全身疲労の予防薬になっているのかもしれません。
老齢猫がうたた寝ばかりしていても、決して起こしたり叱ったりしないでください。
長寿のための健康法かもしれません。
栄養バランスの取れた食事の摂取、程度の運動、それに十分な睡眠が、老化予防の3大要素です。
老齢猫に話しかける
飼い主やよその猫との対話がないと、老化は静かに進行していきます。
猫は言葉を持たないから人間との対話はないと思う人もいるかもしれませんが、言葉を理解して学習する能力はあります。

学習することが、老化を予防する上で一番大切な行動です。
学習によって体得した能力や知能を活用しないと、脳神経からの老化に拍車がかかります。
不安感が老化をすすめる
留守がちな飼い主で愛猫が8歳を過ぎたら、帰宅したらすぐに猫に話しかけてあげてください。
飼い主が、その一日に体験した些細なことでよいのです。
愛猫は飼い主の帰宅を待ちわびていたのです。

「ミーちゃん、今日はお利口にしていましたか?」
「ママはとても忙しい日で、ミーちゃんの食事をこれから用意するからちょっと待っててくださいね。」
など、このような飼い主の話しかけが、老齢猫の不安を取り除いて、老化を防いでくれます。
不安感こそ老化の尖兵です。
安心感こそ、老齢猫にとっては救世主に等しい存在なのです。
まとめ
猫は自由気ままで自分勝手、と思われている動物ですが、実際に飼ってみると飼い主のことを親のように思い、猫によっては飼い主に話しかけたり呼ぶと返事をしたり、感情豊かな生き物です。
そんな猫にも必ず老化は訪れますので、コミュニケーションを大切にし、猫っぽい性格の猫ほど「今やってほしこと」を察知してやってあげると信頼関係が強固となります。
老化・認知症予防にはたくさん話しかけてあげること、たくさん撫でてあげ、老齢期だからといって放っておきすぎない方がいいでしょう。