「犬も高血圧になるの?」と驚かれることもありますが、犬も高血圧になります。
その原因は様々ですが、高血圧に肥満は大敵!適度なダイエットが必要になり、運動やフードでカロリーコントロールする必要があります。
今回は高血圧の疑いがある愛犬には初期症状の紹介や、すでに診断された方は治療法や高血圧に効果のある漢方サプリメントもご紹介していきます。
そもそも血圧とは
一般に言う血圧とは、動脈を流れる血液の圧力のことで心臓の収縮によって起こり、動脈の中の筋組織が縮まることによって血圧が上昇します。
人の場合、血圧を測定するのは簡単ですが、犬猫などの血圧の正常値を正確に規定することは難しいと言われています。
じっとしていなかったり、興奮していると基準値よりも数値が高くなってしまったりするので、落ち着かせてから数回測定したりもします。
犬の場合も人と同じような検査をしますが、測定する箇所は前足だけでなく後ろ足や尻尾などでも測ります。
血圧の数値が基準値以上の状態が続き、最高血圧が160mmHg以上になった状態のことを高血圧症と言います。
犬種や個体さによって基準値には幅があり、高血圧症は生理的高血圧と病的高血圧とに分けられます。
生理的高血圧と病的高血圧について
高血圧症は、生理的高血圧と病的高血圧に分けられます。
幼犬や老犬にみられたり、ご飯を食べたり、発情、妊娠、興奮などに伴って発生します。
急性または慢性腎炎や動脈硬化、萎縮腎、肺炎、発熱、赤血球増多少などの時にみられ最高血圧の値が上昇し、心不全や腎炎、萎縮腎、発熱などでは最小値血圧の値も上昇します。
病的高血圧は、本能性高血圧と二次性高血圧に分類されます。
本能性高血圧
原因がはっきり分からずに起こる高血圧で、遺伝的要因と環境要因が関与すると考えられています。
人の高血圧の90%以上は、本能性高血圧であると言われています。
二次性高血圧
甲状腺機能亢進状態や腎疾患など疾患があることによって起こる高血圧のことを言い、原因となっている病気を治すと血圧も下がります。
犬猫の高血圧においては二次性高血圧がほとんどと言われています。
原因として、副腎皮質機能亢進症・腎疾患・甲状腺疾患・真性糖尿病・肝疾患などの疾患、薬物の使用などがあります。
高血圧そのものは、数値が異常に高い場合を除いては、それのみが単独で命に関わる危険性は高くはありません。
高血圧状態が長く続くことによって、臓器の障害や血管や眼の病気を中心に様々な合併症を引き起こし最終的には命に関ることにもつながります。
高血圧の原因となるものの一例
副腎皮質機能亢進症
クッシング症候群とも呼ばれています。犬ではよくみられますが、猫ではまれです。
中高齢以上で性別に関犬なく発症します。治療せずにいると徐々に進行し場合によっては手遅れとなり命にかかわります。
症状
- 多飲多尿
- 食欲旺盛
- 腹部だけ膨らむ
- 皮膚に左右対称にかゆみの伴わない脱毛がみられるなど
糸球体腎炎(腎疾患)
腎臓の糸球体が炎症を起こす病気です。
単独で起こる場合と他の病気に伴って起こることがあり、経過としては急性腎不全か慢性腎不全のどちらかの型になっていく場合があります。
犬の方が猫より多くみられそのほとんどが7歳以上の発症ですが遺伝的な場合にはより若い年齢で発症することもあります。
症状
- 急性腎不全や慢性腎不全の症状を示す
- 他の病気に伴って起こる場合は、元の病気によって様々な症状が現れる
- ネフローゼ症候群(猫の場合が多い傾向)
- 高血圧になることも多く、それに伴い網膜剥離などの眼の以上や神経症状がみられる。
高血圧の初期症状の一例
眼に関係するもの~高血圧性網膜症~
高血圧性網膜症は、慢性腎不全や甲状腺機能亢進症、心筋症などを原因とする全身性高血圧症に伴って起こります。
はじめのうちは、ほとんど無症状ですが、眼底検査では網膜動脈からの軽度の出血とその周辺の浮腫が認められます。
重症化すると、網膜剥離や眼底出血あるいは前房出血が起こり視覚障害がみられます。
治療には降圧剤が用いられます。
犬では遺伝的に眼球の異常を発症しやすい犬種においては網膜剥離を起こしやすくなりますが、あらかじめ抱えている病気が網膜剥離を引き起こすことがあります。
8歳以上の高齢の猫に発生することも多く、眼底検査や血圧測定は定期的に行い早期発見早期治療が重要です。
心臓から関係するもの~肺高血圧症~
血管内の血圧が慢性的に上昇してしまう病気です。
重症の先天性心疾患や、犬糸虫症等の進行性の血管の病気の時にみられます。
続いて、動脈硬化、心臓の肥大、脳出血などを引き起こすことがあります。
短絡性先天性心疾患、老齢や肥満、パグやチワワなどの短頭種の軟口蓋過長症、たばこの煙の吸引などが原因としてあげられます。
予防としてはなるべく肥満にならないよう体重コントロールと、ナトリウムを制限したフードにします。
脳に関係するもの~脳梗塞~
犬の脳梗塞の原因ははっきりとわかっていません。
脳梗塞を起こした犬は高齢、脱水症状、心臓病(拡張型心筋症等血栓が形成されやすい)、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症などを併発していることが多いと言われています。
腎臓に関係するもの~腎不全~
腎臓が障害を受けその働きの約75%を失われると、本来であれば尿として排出されるべき老廃物が体内に急激に蓄積し始めます。
このような腎臓の機能が低下した状態を腎不全といいます。
慢性腎不全などは、進行を遅らせる治療を中心に、悪化因子である高血圧、蛋白尿、甲状腺機能亢進症があれば投薬により治療していきます。
病院の療養食に切り替わった場合には、症状をコントロールする上で大切な食事ですので、勝手な判断で止めてしまったり、同じような成分のフードに自己判断で切り替えないようにしましょう。
犬のナトリウム(塩分)の必要量は人間の10分の1
犬に必要な栄養素と種類の量のバランスは基本的に人間と同じと考えられていますが、唯一の例外がナトリウム、いわゆる塩分です。
人間は皮膚の汗腺が発達しているため、汗をかくと同時にナトリウムを失います。
一方犬は汗腺がほとんど発達していないため、ナトリウムの必要量は人間の10分の1です。
ナトリウムの過剰摂取は腎臓に負担をかけ腎不全の発症率をあげ、高齢で心不全を患っている場合には、病気の進行を進めます。
手作りでトッピングを与える場合には味付けや塩分の添加は不要です。
高血圧症の治療方法
血圧測定、血液検査、眼底検査などを行うことにより診断されます。
二次性高血圧と診断された場合は、高血圧症をもたらす原因となっている疾患に合わせて治療を行います。
また、本能性高血圧などの場合は原因が不明確であるため、降圧剤を投与することで症状を軽減し、高血圧の状態が持続しないようにします。
家庭でできること
日頃から栄養バランスのとれた食事を与えること、散歩や遊びなどの運動で体重のコントロールをすることは健康を保つ上で大切なことです。
手作り食は、その子の栄養状態に偏りが出る可能性もあるので、医師などに相談しトッピング程度に抑え、療法食をメインに考えましょう。
ダイエット中におすすめのドッグフード
動物病院にもよく置いてある、療法食でカロリーコントロールするのがおすすめです。
療法食ってなに?って方はこちらの記事をどうぞ↓
食事、間食、ご褒美のおやつは、多種多様を飼い主の気分で与えるのではなく、シンプルに与えるものを決めておきましょう。
多種多様な過剰摂取は、原因を突き止めることが難しいですが、与えているものが安定していると、皮膚被毛や、うんち、尿の状態の異変に気付きやすくなる利点があります。
犬の肥満対策
高血圧の原因となる「肥満」は、食べ物の与えすぎと運動不足ですがわかっていても、人間のダイエット同様、防止するには大変な努力が必要です。
人間と違って犬は自分で食べ物を買いにいくことはできませんので、飼い主が与えすぎなければ必ず改善していきます。
優しさと甘やかすことを混同せずに、しっかりと愛犬の健康管理をしていきましょう。
✔柴
✔アメリカン・コッカー・スパニエル
✔フレンチ・ブルドッグ
✔バセット・ハウンド
✔ダックスフンド
✔ビーグル
✔パグ
✔スコティッシュ・テリア
✔ラブラドール・レトリーバー
✔シェットランド・シープドッグ
✔ゴールデン・レトリーバー
✔ウエストハイランド・ホワイトテリア
✔ミニチュア・シュナウザー
✔キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
✔ウェルシュ・コーギー
✔ボストン・テリア
サプリメントを摂る
食事療法や薬とは別に、サプリメントを摂ることもおすすめします。
「犬にサプリメント?」と思う方もいるかもしれませんが、最近では動物病院でも疾患別にサプリメントをすすめる病院もあります。
紹介する以下のサプリメントは主に3種の漢方薬できていて、自然由来成分なので老犬の負担にも少なく、もちろん犬用なので安心して与えることができます。
購入はこちら
中高齢期からは半年に1回の定期健診を
犬の年齢は大きさにもよりますが、小型犬であれば最初の2年で24歳になりそれ以降1年4歳ずつ歳を取ります。
大型犬であれば最初の1年で12歳まで成長し、2年目以降7歳ずつ歳を取ります。
元気で健康であれば、特別なことがない限り最低年に1~2回、混合ワクチン摂取やフィラリアの予防をしに病院へいくと思います。
中高齢の時期に差し掛かってきたら、混合ワクチン摂取とフィラリア予防のほかに、定期健診を受けることをおすすめします。
人よりも1年に歳を取るのが早い分、中高齢期に入ってくると私たちの目では見えない変化が、体内で起こりやすくなってきます。
中高齢期に入ると、体内では消化率の低下などが徐々に起こるためフードが年齢によって分けられているのはそのためです。
著者の愛犬は中高齢期に差し掛かったころ、心雑音がかすかに出始めました。
獣医のアドバイスのもと、それ以来、春に狂犬病予防と混合ワクチン接種、フィラリア予防をまとめて行い、その半年後にドッグ検診を受けるようにしています。
健診を忘れないように、愛犬の誕生日に受ける飼い主も多いとのことでした。
まとめ
犬の高血圧は単体では、愛犬の命を脅かす危険性は高くありません。
高血圧が長く続くことが、様々な体の機能に障害をきたし最終的にはそれが寿命を短くする要因となってきます。
フードの質向上や獣医学の進歩とともに長生きになってきた動物たちに、それにに伴った病気が増えてきていることは事実です。
「飼う」から「共に暮らす」変化の中で、日々の積み重ねが一日でも長く健康で楽しく一緒に暮らすことにつながります。