こんなに科学が進歩しているのに、いまだに犬の気持ちが分かるようなものがないのはなぜ~?と思っているのは私だけではないですよね。少しでも愛犬の気持ちを知りたいと思う飼い主さんはたくさんいると思います。
しかし、犬のしぐさでも気持ちが分かるんです。話すことが出来ない犬たちが気持ちを伝えようとしているカーミングシグナルを今回は紹介します。
カーミングシグナルとは
カーミングシグナルという言葉には、Calming「落ち着かせる」、Signal「合図、信号」の意味を持ちます。
ノルウェーのドッグトレーナーや動物学者が多くの犬を研究し、「犬のしぐさには、犬自身や相手を落ち着かせるためのもの」という提唱を2006年頃にしました。イタリアの大学のチームがこの理論を裏付ける研究もしています。
カーミングシグナルは生まれつき備わっているものであり、27~30通りの仕草に分類されています。犬の成長する過程で他の犬や人との関わっていく中でさらに身についていくものですが、コミュニケーション不足や様々な原因で社会性が低い犬は、カーミングシグナルが上手に出せないことや対応できない場合もあります。
カーミングシグナルの種類と意味
沢山の種類がある中で、よく目にするカーミングシグナルを紹介します。
あくびをする
眠い時や寝起きにもするあくびですが、不安や緊張感状態で、ストレスを感じている時に出るサインでもあります。やめてほしい、相手に対して落ち着いてほしいという意味です。飼い主さんに叱られてる時や知らない人に触られたり、トリミングされてる時などに出るようです。相手が犬の場合は、「敵意はありません」という意味です。
「落ち着いてほしい」という意味をもつあくびを、犬が興奮している時などに飼い主さんが見せてあげても効果があるようです。
また、あくびはうつるものです。飼い主さんのあくびを見て、連鎖反応で犬もあくびをすることもあります。絆が強いほどうつるようです。
頻繁にあくびをしているようであれば、大きなストレスを感じているのでその原因を取り除いてあげましょう。ストレスから体調を崩していることもあります。人間の体調不良時に出る生あくびのようなものが犬にもあるようです。
カーブを描くように近づいてくる
初対面や慣れていない相手にする行動です。どういう相手が分からない時に、自分は敵意はないですと意思をあらわし、刺激しないように様子を伺っている状態です。
逆に、飼い主さんや慣れている相手に一直線で走りながら来る場合は、愛情の証です。初対面で一直線で走ってくる場合は攻撃状態なので危険です。
身震いする
濡れた時や寒い時にする行動ですが、緊張やストレスから解放された時にもします。初対面の犬と離れた時や慣れない相手に撫でられた後などに「はぁ、終わった」という感情です。緊張感から解放されて自分で落ち着かせています。
また、飼い主さんに散歩に誘われたり、大好きなオモチャをもらった時などにする身震いは「嬉しくて仕方ない」という感情です。
視線をそらす
相手に「敵意がありません」との意思表示です。視線だけではなく、顔もそらす場合は関わりたくないというサインです。散歩中に初めて会った犬に顔をそらされたり、そらしているようであれば、静かに通り過ぎましょう。
飼い主さんに叱られたり、他の犬に吠えられたりしている場合も「もうこれ以上ストレスかけないで」という意味でするしぐさです。
一方で目を合わせる場合は威嚇や敵意がある時です。犬とのケンカの前はこの状態なので気を付けましょう。飼い主さんが愛犬の目をじっと見て叱るときも、犬には威嚇されていると感じ強いストレスを感じています。視線をそらすのは話を聞いていないわけではないので、ほどほどにしてあげたいですね。
地面の匂いを嗅ぐ
慣れない場所で、情報を集めるために匂いを嗅ぐこともありますが、気持ちを落ち着かせようとしているしぐさでもあります。相手の犬がいる前で地面の匂いを嗅いでる時は、自分を落ち着かせつつ敵意がないですよ、私には注目しないで下さいという意味をもちます。
口舐め
食べた後に口の周りにぺロッとしますが、トリミングや動物病院、慣れない場所などでの緊張、不安な状態の時に出すサインです。
お尻を上げて頭を低くする
お尻を上げて頭を低くしてお辞儀をするような体勢をプレイングバウ「playing bow」やプレイバウ「play bow」といいます。
この体勢は、「一緒に遊ぼうよ」という意味です。敵意はなく、一緒に楽しみたい、遊ぼうと誘っています。相手の犬が気分が乗らないようだったり、怖がっているような時は威嚇されたり攻撃されたりする場合もあるので、相手の様子をよく見て行動しましょう。
飼い主さんにこのポーズをしてきたら、思いっきり遊んであげたいですね。
座る、伏せる
自分自身を落ち着かせているポーズです。散歩中に座ったり伏せると疲れたのかな?と思いますが、緊張や興奮している自分を落ち着かせていることも多いようです。
また、犬同士で遊んでいる際に突然座ったり伏せたりした場合では、自分も落ち着かせているし、相手にも「興奮しないで」と訴えています。
ドキドキを落ち着かせてただけなんだけど。
カーミングシグナルを理解しよう
8つのカーミングシグナルを紹介しましたが、まだ沢山あります。犬からのこのサインを理解すると、飼い主さんと愛犬の絆も強くなります。
カーミングシグナルを知らなければ、叱っている時に、犬が目をそらしたりあくびをすると、話を聞いてないな…分かってないな…と思ってしましますよね。ちゃんと聞きなさい、と更に叱ってしまったり。しぐさの意味を知ることで、飼い主さんの行動も変わってきます。犬は理解してもらえると、より信頼をおきます。
しかし、理解するには日々の観察がとても重要です。一つのしぐさで色んな意味を持つことがあります。しぐさだけで決めるのではなく、愛犬の表情やそのしぐさをした前後の行動や周りの環境をよく見ないと正確なサインを受け取れないですね。
カーミングシグナルでよりよい関係に
今回、私もこの記事を書いて驚くことが多かったです。人間が思っているしぐさと犬が感じて出しているサインの意味のギャップが大きくあったからです。可愛い犬を見かけると、じーっと見つめてしまって、目をそらされます。きっとワンちゃんからは怖い存在だったかもしれませんね…。
カーミングシグナルのひとつに「前足を片方上げる」というものがありました。なんだか見覚えあるポーズ…。そういえば、先代のワンコを初めてプールに入れた時。初めて積もるまで雪が降った時もそうでした。
意味を調べると「ストレスを軽減しようとするしぐさ」。
反省。。。水や雪が冷たいのかな~可愛いポーズしちゃって。なんて言ってたあの頃の自分を叱りたいです。イヤだったんだね、ごめんね。ちゃーーんとカミングシグナルのサインを出していたのにも関わらず理解してあげられなかったことに大きな後悔です。
この記事をきっかけに、私のような飼い主さんが少しでも減りますように。そしてお互いの理解を深め合い、よりよい関係が築けますように。