愛らしい瞳と可憐で気品溢れるスタイル、なのにやんちゃな仕草で変わらぬ人気を得ているパピヨン。
その愛らしさは、ずっと昔から多くの貴族をも魅了してきました。
今回はそんなパピヨンの歴史や性格、意外と運動能力が高いことや、垂れ耳と立ち耳のパピヨンの違いなど沢山の魅力を交えてご紹介していきます。
その他に、しつけをしやすくするための10個のポイントも書いています。
パピヨンのチャームポイントである耳の飾り毛を保つコツや、手入れ方法などもぜひ参考にしてもらえればと思います。
この記事の内容はこんな感じ
パピヨンの歴史
パピヨンの歴史は古く14世紀までさかのぼりますが、突然そのころからパピヨンの歴史が始まったというわけではありません。
当時ヨーロッパ大陸には「コンチネンタル・スパニエル」と呼ばれる小型のスパニエルがいました。
この犬がパピヨンの祖先と言われており、小型のスパニエルの中でもひときわ小さく、ドワーフ・スパニエルとも呼ばれていました。
この犬たちの発祥についてはスペイン、イタリア、ベルギーなどとも言われており現在でもはっきりわかっていません。
原産国がフランスと言われているワケ
パピヨンのルーツが所説ある中で、フランスが原産国とされていることが多いのは、犬種名のパピヨンがフランス語であることに由来しています。
フランス語で「蝶」という名称は立った耳が蝶のように見えるためにつけられたものでした。
同じ犬種のパピヨンで、耳が垂れて寝ている犬を「ファーレーヌ」と言いますが、これはフランス語の「蛾」という意味です。
貴族の象徴とみなされ絶滅の危機に陥ったパピヨン
パピヨンの歴史が花開いたのは16世紀のヨーロッパでした。
愛玩犬として多くの貴族や王族に愛され、マリー・アントワネットも2頭のパピヨンをこよなく愛していたと伝えられています。
当時の中世ヨーロッパには入浴の習慣はなく、ニオイ消しの香水が大流行しました。
とくにパピヨンがこよなく愛されたフランスではパピヨンに香水をふりかけ抱き犬としていつも一緒にいることが上流階級のステータスになったこともありました。
当時描かれた肖像画には有名な「シェーンブルン宮殿の女帝マリアテレジアの家族」などパピヨンが描かれた作品が沢山あります。
そんな華麗な歴史をもつパピヨンでしたが、フランス革命の後は、貴族に愛された優雅で可憐な容姿の犬として、貴族社会の象徴ととらえられて迫害を受け、絶滅に危機に瀕したこともありました。
パピヨンが描かれている肖像画
「マリア・テレジアと家族たち」
引用画像:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%82%A2
「晩年のルイ14世とその家族」
引用画像:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A414%E4%B8%96_(%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E7%8E%8B)
日本でのパピヨンの歴史
JKC(ジャパンケネルクラブ)の登録犬籍を見てみると、上位に登場してくるのは1973年ごろのことでした。
1960年代には10頭以下しかいませんでした。
1990代に入ると、国内でのパピヨン人気は確実に伸び、日本のパピヨンたちが海外のリングで優勝するケースも見受けられるようになり、日本のパピヨンは世界でトップの犬質を持っているという声もしばしば聞こえてくるようになりました。
現在JKCによると、2016年(1月~12月)の登録犬籍数は、4880頭で全体の中でも13位という人気の犬種になっています。
パピヨンの性格
とても明るく友好的な性格で人間にもよくなつきます。
他の犬に対しても攻撃的になることは基本的にはありません。
プライドが高い一面があるので甘やかせすぎは禁物です。
主従関係を明確にして育てましょう。
飼い主を常に目で追い、飼い主が何をしているか自分に何を求めているのかを一生懸命理解しようとする面があります。
可愛がってあげればそれだけ犬も飼い主を理解してくれる犬種と言えます。
甘えん坊で寂しがり屋
とても甘えん坊で自ら飼い主に甘えてくる愛らしさを持っています。
反面、寂しがり屋で放っておかれるのは苦手ですが留守番ができないほどではありません。
優雅な外見に似合わずとても活発
仔犬期には飛んだり跳ねたり活発に動き回ります。
運動能力が以外に高く、走るスピードは小型犬としてはトップクラスに入ります。
ドッグスポーツなどに向いている犬種とも言われており、実際に挑戦する子もいます。
知能が高く物覚えが抜群
賢い犬種と言われており、知能も高く愛玩犬のグループの中でもトップクラスと言われています。
しつけも早いうちにマスターできます。
パピヨンの特徴
パピヨンは体高と体長の割合、足の長さなどとてもバランスのいいスタイルをしています。
被毛の量は、豊かでつやがあり軽くウェーブがかったシングルコートが基本です。
大きな耳と前足には飾り毛があり、後ろ足の後部には柔らかい被毛によってキュロットが形成されています。
被毛量の豊かな尻尾や耳の飾り毛を揺らしながら可憐に歩く姿はとても優雅でドレスを着たような雰囲気が魅力です。
アーモンドの形をした大きな瞳は色素が濃くとても利発そうな印象を与え、豊かな表情を伝えるその瞳はパピヨンのもう一つの魅力とされています。
もっとも特徴的な部分は大きな立ち耳です。
耳は高く位置し、内部のラインは水平に対して45度がよいとされていて、耳の外側には飾り毛があり優雅な印象を与えます。
耳の垂れたパピヨン「ファーレーヌ」
パピヨンと言えば、羽を広げた蝶のような大きな立ち耳のイメージですが、祖先犬は垂れ耳のスパニエル種だったと言われていることから、もともとパピヨンも垂れ耳でした。
この垂れ耳タイプのものは「ファーレーヌ」と呼ばれており、フランス語では「蛾」にあたります。
1990年代までは、「ファーレーヌ」が主流でしたが、やがて立ち耳のパピヨンが爆発的な人気を集めるにつれてファーレーヌの数は減っていきました。
数は立ち耳パピヨンよりも少ないですが、現在でもいます。
ファーレーヌとパピヨンの違い
ファーレーヌとパピヨンは同一犬種です。
基本的に、耳が垂れているか、垂れていないかの違いだけです。
耳が垂れているということは、それだけ耳が大きく飾り毛が多いということでもあるので、通常のパピヨンよりはサイズがやや大きい傾向が見られます。
立ち耳か垂れ耳かはいつわかる?
立ち耳が安定してくるのは生後5~7か月後です。
生まれきて最初から立ち耳の子もいれば垂れ耳の子もいます。
個体差はありますが、耳が大きく成長するにつれ耳の重みで立ち耳が一時的に垂れさがったり片方だけが立ったり、寝たりすることがあります。
それを繰り返して、基本的には両耳立ち耳になっていきます。
耳の飾り毛
パピヨンが高貴な印象を与える要素のひとつが耳の飾り毛です。
パピヨンの耳の飾り毛は、仔犬のときは長さがなくほとんど目立ちません。
1~2歳ごろから少しずつ伸びて、長さを保てるようになるのは2歳ごろからです。
耳の飾り毛に限らず体もしっかりして、全身の被毛など長さも含めてパピヨンとしての見た目が完成するのは個体差はありますが、2~3歳位と言われています。
耳の飾り毛を伸ばすには?
耳の飾り毛がチャームポイントでもあるパピヨン。
長く美しい耳の飾り毛を目指したいと思う飼い主も少なくありません。
耳の飾り毛が、長く伸びるかどうかは遺伝の部分が大きく影響していると考えられています。
毛色も、白茶色に比べると黒色など濃い色の毛の方が伸びやすく、切れにくい傾向があると言われています。
耳の飾り毛は他の被毛よりも細く繊細で、もつれると切れ毛や毛玉になりやすくなり伸ばしたくても上手に伸ばせないこともあります。
耳の飾り毛を伸ばすためにはまずは、手入れに気を使いながら、もつれや毛玉をできるだけ作らないことが大切です。
なりやすい病気の種類
眼瞼内反症
まぶたが眼球側に曲がりこんでしまっている状態の病気です。
先天的な要因がほとんどですが、外傷による後天的なものもあります。
放っておくと内側に向いた睫毛が眼球を刺激し結膜炎や角膜炎などの他の眼の病気があらわれることもあります。
内反がどうしても治らない場合には外科手術で矯正する必要があります。
膝蓋骨脱臼
後ろ足の膝の皿が本来の位置からずれてしまうのが膝蓋骨脱臼です。
遺伝的な要素の場合には、生まれつきの皿がおさまる位置のくぼみが小さくずれがちになってしまうケースです。
後天的にずれてしまう場合には、激しい運動や急激な旋回など足にかかる負担が大きいことが原因になります。
パピヨンは活発な犬種なので負荷をかけすぎて起こるケースもあるので注意が必要です。
症状としてはスキップ歩行や足をひきずるなどがみられます。
初期段階は 運動療法、悪化した場合は手術が一般的です。
進行性網膜萎縮症
眼の病気で最も怖い病気の1つです。
網膜の視細胞が徐々に死滅してしまう病気です。
最初は暗くなると見えづらくなる夜盲症からはじまり、徐々に昼間でも見えなくなってしまいます。
やがて失明まで至ってしまうのは避けられないのが現状です。
外傷によるケースもありますが、遺伝的要因によることが多いとされています。
パピヨンの多くの発症も遺伝的要因が多いと考えられています。
歯周病
顎の小さいパピヨンは、高齢になるにつれて歯周病を発症することが多い犬種です。
予防の観点からも仔犬からのはみがきを習慣づけたいものです。
初期段階では、歯茎の腫れや口臭が目立ちやがて歯肉が退縮し歯がぐらぐらとしてきて、抜け落ちます。
細菌が増殖しその細菌が内蔵へと転じ別の内蔵疾患を引き起こすこともあります。
体重・大きさ
JKCが定めたスタンダードでパピヨンのサイズはあまり細かく規定されておらず、パピヨンのサイズはバラエティに富んでいます。
体高20㎝ぐらいで体重が2kg程度の子もいれば、スタンダードギリギリの体高で4kgぐらいに達する子もいれば、それ以上もいます。
メス | 体重規定特になし | 体高8㎝以下 |
オス | 体重規定特になし | 体高28㎝以下 |
寿命はどのくらいか
平均寿命は12~15歳です。
歳をとっても比較的元気なパピヨンは、7歳をすぎても活発に動き回る子もいます。
見えないところでは衰えてきますので、しっかり健康管理をしてサポートしてあげましょう。
毛色の種類
JKCのスタンダード
✔白地であれば全ての色が認められる
✔ボディや脚はホワイトの割合が多いのが好ましい
✔頭部にはいくぶん幅の広いブレーズが広がっているのが好ましい
✔頭部の下部にホワイトのマーキングがあることは許容されるが、ホワイトが大半を占めるのは欠点となる
✔唇、眼瞼、特に鼻は、全て色素が濃くなければならない。
とされています。
カラーのバリエーション
画像引用元:https://papillon.min-breeder.com/
パピヨンと言えばこのカラー。というようなオーソドッグスなカラーで日本では昔から人気があります。
画像引用元:https://papillon.min-breeder.com/
ホワイト&レッドの中でも黒が混じったカラーをホワイト&セーブルと呼んで区別してます。
パピヨンではとくに毛先に黒が混じるケースが多いです。
画像引用元:https://papillon.min-breeder.com/
ホワイト&ブラックもオーソドッグスカラーの1つです。
コントラストの強い顔は引き締まって見え、知性の高さも感じさせます。
画像引用元:https://papillon.min-breeder.com/
ここ数年人気となっているカラーで、レッド、ホワイト、ブラック3つの色が入ったカラーです。
個体によって色のバランスが違います。
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