フクロウも生き物なので、死ぬその瞬間まで健康であることはほぼなく、ケガや病気で体調を崩すこともあります。
フクロウは個体によっては体調不良を隠しますので、根拠のない様子見はやめてすぐに病院へ連れていきましょう。
早期発見・治療が有効なのは人もフクロウも同じことです。
今回はフクロウに多い病気、その症状と原因などをご紹介します。
鳥類の経験が豊富な病院を探す
フクロウという生き物を根本的に理解している獣医師は、日本にはかなり少ないと思われます。
ですが他の鳥類や哺乳類の知識・技術を応用して診察に応じることはある程度可能なので、まずは鳥類の診療の経験が豊富な病院を探すといいです。
とはいえ診ているのはほぼインコ、オウム類がメインでフクロウはいわば専門外ですが、鳥類の扱いには馴れているという第一条件がクリアになります。
しかし地方には、鳥類専門の動物病院自体が少ないかもしれません。
簡単な処置や治療であれば、器用な獣医師なら対応してもらえるかもですが、ほとんどの場合無力といえそうです。。。
カギとなるのは、飼育相談にしっかりと対応できるか、環境を重視するフクロウの入院設備があるかなど、そこは獣医師と十分に相談して、飼い主が事前に自分で判断しましょう。
飼育失宣
飼育知識・技術の未熟さによって引き起こされる事故です。
原因
そのフクロウにとって環境が合っているかが判断できない、または肉色当てができていない、食事の量・安全性は判断できていないなどによって起こります。
現在のフクロウの病因・死因の大半がこの飼育知識・技術不足が根本的にあると考えられます。
感染性胃腸炎
いわゆる食中毒で、おそらくフクロウの死因のトップ3に入るであろう疾患の1つで、急激に悪化することもあうので注意が必要です。
原因
その原因のほとんどが、食事に対する知識不足からきています。
飼い主の発見が遅く、末期の症状になってから来院する場合がほとんどで、重病だと命に関わるような状態になります。
異物誤飲
フクロウは餌を丸呑みする生き物です。
こういった事故は、特にまだ自我の芽生えていない若鳥や環境に慣れてきはじめた成鳥に多くあります。
口に入るサイズの大きさのタオルや、靴下などのコットン製品、紐、髪ゴム、ぬいぐるみなど・・・・。
原因
すべては不用意にフクロウの手足の届く所に置いた飼い主の責任になりますので、おもちゃなどの置きっぱなしはNGです。
絞扼壊死
繋留法で飼う場合に、足につけるアンクレットが足をきつく締め付けて、皮膚が壊死した状態のことです。
最悪の場合足を切断ことにもなりかねないので、しっかりと健康管理をていれば初期の異変で気づき、防げる病気です。
原因
またフクロウは足元が不衛生になりやすい生き物で、足を使って生肉を食べたり、足元に排泄物が付着しやすいのが常ですが、これらがアンクレットの革に付着したり、特に水を含んだ場合や劣化によって革が収縮することがあります。
締め付けた足には傷ができ、不衛生であれば炎症を起こしさらに腫れていきます。
こえがどんどん悪化して絞扼壊死に。
趾瘤症(バンブルフット)
足の裏に感染を起こした状態のことです。
以前は猛禽類の不治の病とされていたほどの病気で、治療法を誤ると最悪の結果となります。
原因
不衛生な足元の環境や足の裏の傷、爪の伸ばしすぎや不適切な取り扱いを受けた爪による傷、肥満やその個体に合っていないパーチなどが原因となります。
骨折
元々活動的ではないフクロウの場合は、そのほとんどの原因が飼育環境や飼い主の知識不足に起因します。
何かに驚き、逃げようとして翼や足を折ることが多いからです。
原因
アンクレット付近の足根骨の骨折は、不適切な環境もしくは人に慣れていないフクロウを繋いで飼うことに起因すると考えられます。
翼の骨折はなにかの拍子に暴れた際に、翼の可動範囲に障害物があったり、狭い部屋での放鳥時に起きることが多く見られます。
これも環境作りへの危機管理不足が原因でしょう。
呼吸感染症(肺炎・気嚢炎)
鳥類は特殊な呼吸システムを持っていて、その影響かは不明ですが呼吸疾患も多く見られます。
初期症状は見つけることが難しいのですが、初期に認められやすいのは運動不耐症。
運動不耐症とは、運動後や暴れてしまった後に、いつもよりハァハァという努力性の呼吸がいつもより続き、戻りが遅い場合のことを指します。
可能性としては循環器の問題もありますが、まずはレントゲンで検査を行います。
原因
その原因はマイコプラズマや各種細菌、クラミドフィラ、ウイルス、真菌など様々で、原因の特定には直接肺や気嚢からサンプルを採取する必要があります。
アスペルギルス症
呼吸器系の疾患で特に有名なのが、真菌感染症であるアスペルギルス症です。
人を含めた哺乳類同様、フクロウも健康な個体での感染はありません。
体調不良や輸送、環境変化などのストレス、大量の真菌胞子への接触などが素因となって感染し、発症します。
一度感染してしまった場合の完治は困難で、治ったように見えても免疫力の低下とともに再度発症することが少なくありません。
原因
病気の原因となるアスペルギルス属は環境中のどこにでもいる黒カビの仲間で、予防は不可能です。
せめて、免疫力を下げないように生活させるしかありません。
吸引中毒
鳥類は空気中に漂う化学物質に敏感で、それらを吸い込むと肺に出血が起こります。
それ自体が呼吸困難になったり、二次感染の原因となります。
フクロウのいる環境では、以下に書かれているものは使用してはいけません。
気体は拡散する性質があり、隣の部屋だから大丈夫、離れているから大丈夫ということはありえません。
いくら換気扇を回そうと、家中が焼き魚・焼き肉臭くなるのがその証拠です。
フクロウが吸ったらアウトなので、苦しい思いをさせたくなければ徹底的に注意しましょう。
ハジラミ症
ハジラミの仲間は100以上存在し、感染する鳥種も異なります。
ハジラミの多くは羽をかじり、それを餌としていますが、中には血を吸うものもいます。
原因
ハジラミは外部寄生虫なのですぐに分かりそうなものですが、まず見つけるのが難しいもの。
輸入されたフクロウに多く認められるため、ショップで駆虫を行っていない場合は一度診察を受けた方がいいでしょう。
熱中症
夏特有の疾患と思われがちですが、年中起きています。
熱中症には熱痙攣、熱疲労、熱射病と分類があり、それどれ対応が異なります。
特に鳥類は暑さに弱く、緊急的な対応が必要で、一刻を争う場合が多く、呼吸が荒くなるなどの症状が見られたらすぐに病院へ。
命に関わる疾患であり、時間との戦いということを忘れずに。
原因
狭い箱にとじこめて過度に温めた結果、熱中症で死んでしまうことがあります。
フクロウでの死因の上位です。
白内障
人や犬などと同じように、フクロウも白内障になります。
症状としては、目の中の水晶体が白くにごります。
原因
ほとんどは老化が原因ですが、若い場合は遺伝性やケガなどによります。
視力が落ちるため、個体によっては飛びづらくなったり、完全に失明することもあります。
再度生活しやすい環境かどうか、見直してください。
角膜腫瘍
人もコンタクトレンズなどで角膜が傷つき、角膜腫瘍になることがあります。
フクロウの場合も、同じように角膜が傷ついて発症するもの。
原因
事故やケガなどで傷がつき、傷口から細菌や真菌が入って病気を起こします。
ストレスによるものや、栄養不足で発症することもあります。
眼内出血
眼球の大きなフクロウに時折見られます。
原因
重度の頭部外傷によるものです。
尿酸結石
脱水を伴っていることが多く、日頃からの心がけが重要です。
原因
排泄回数を減らす、発情期のメスによく見られます。
口内炎
口の中にイボができることです。
原因
寄生虫のトリコモナス感染などでも起こりますが、ニキビ様の腫瘍ができている場合は、敗血症の症状であることが多いです。
まとめ
フクロウの様子がおかしそうなときは、まずは原因を知ることが大切ですが、残念ながら治療を自宅でできることはほとんどありません。
フクロウを飼育する前にまずフクロウを診てくれる、実績のある病院を探しておきましょう。