保護猫カフェに猫付きマンションなど保護猫との新しい関わり方

1年に保健所で殺処分される猫は、約8万匹。1日に約220匹の命が「処分」という形で失われており、その多くは子猫だといいます。(参照元:環境省自然環境局 動物愛護管理室

なんの罪もない命が毒ガスや焼却炉で生涯を終えるのというのは、筆舌に尽くしがたい悲しみがあります。

現在日本国内では、数多くの動物愛護団体が猫の殺処分をゼロにすべく、日々奮闘しています。


行き場のない猫を保護し、里親を探す、この一連の流れをもっとオープンに、親しみやすいものにしようと、近年新しい形での里親募集が行われています。

その代表格が「里親募集型猫カフェ」と「猫付きマンション」です。一度はその名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

里親のいない猫も、天寿を全うするまで面倒をみる、「終身お預かり」という取り組みを行っている団体もあります。

猫も生きやすい世界にするための、愛に溢れたこれらの取り組みを、紹介したいと思います。

「里親募集型猫カフェ」とは

空前の猫ブームによって、猫と触れ合えるお店「猫カフェ」が人気を博しています。

そんな中、近年は動物愛護団体が運営している開放型の猫シェルターとして「里親募集型猫カフェ」なるものが登場してきています。

「里親募集型猫カフェ」とはシェルターに保護されている身寄りのない猫たちを、会いに行くことで支援できる画期的なカフェです。

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支援のひとつの例として、「里親募集型猫カフェ」の料金設定があります。

これらの猫カフェは料金設定の方法も様々で一般の猫カフェ同様時間単位で値段が設定されていたり、中には「寄付」として金額を設定していない猫カフェも。

これらの収益は保護された猫たちのために使われるので、会いに行くだけでも支援になる、ということなのです。

里親募集型猫カフェにいる猫たちは皆ワクチン接種や手術を済ませていて、いつでも譲渡できる状態。

猫たちと遊ぶ中で、気に行った猫がいれば審査の末新しい家族として迎えることも可能です。

実際に猫に会ってみることで、書類だけでは分からない相性をみることができるのもメリットのひとつと言えるでしょう。

保護猫の中で、歳をとっていたり、体にハンディキャップのある猫は里親がなかなか見つからないという実態があります。

しかしこういった場所で実際に触れ合ううちに、成長していたりハンディキャップがあっても、家族に迎えたいという申し出が出てくることも、開放型猫カフェの利点のひとつです。

「猫付きマンション」という新しい試み

東京都内に三か所の拠点を持つNPO法人「東京キャットガーディアン(以下TCG)」では、里親募集型猫カフェに加えて「猫付きマンション」という新しい取り組みを行っています。(参照元:http://www.tokyocatguardian.org/

TCGが運営する「しっぽ不動産」ではペット可物件の紹介の他、「猫付きマンション」というサービスがあります。

「猫付きマンション」とは、その物件の入居者が保護猫の「預かりボランティア」として、TCGで保護されている猫と生活を共にするという新しい形の物件です。

最初からマンションに猫が住んでいるわけではなく、入居を決めてからTCGの保護猫と会い、相性をみて生活をスタートさせます。

image02(画像引用元:http://www.tokyocatguardian.org/index.html

入居者が「預かりボランティア」として暮らす間、猫の所有権はTCG側にありますが、入居者が退去する際、一緒に暮らしていた保護猫を正式に里親として受け入れることも、もちろん可能です。(その際は審査があります)

新しい家族と一緒に、入居者と保護猫がマンションを卒業すると、また新しい入居者が、新しい保護猫を出会う、というサイクルです。

猫カフェだけではイメージしにくい猫との生活を実際に体験することができる、画期的な取り組みといえるでしょう。「しっぽ不動産」では、空き家を猫付きマンションとして貸し出したいオーナーも同時に募集しています。


まさに保護団体と入居者、物件のオーナーをつないで、三者全員で保護猫を支援していこうという取り組みなのです。しっぽ不動産」では猫付きマンションの他、「猫付きシェアハウス」も紹介されています。

保護猫の生涯を見守る、という取り組み

京都府にあるNPO法人「動物愛護市民団体(以下JCDL)」では「ネコちゃん終身お預かりシステム」という取り組みを行っています。(参照元:http://www.jcdl.jp/

保護された猫や、なんらかの理由で飼い主と暮らせなくなってしまった猫など行き場のなくなった猫を引き取り、専用キャットハウス、キャットルームで手厚く面倒をみるこのシステム。投薬が必要な猫や、介助が必要な猫も、毎日愛情をもってお世話をしています。

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(画像引用元:http://www.tokyocatguardian.org/index.html

JCDLでは猫を保護すると同時に4つの里親募集サイトに掲載し、新しい里親を探します。

慎重な審査のもと里親が決まれば猫は卒業しますが、万が一里親が見つからなくても、猫が天寿を全うするまで面倒をみます。

また、保護されている間は元の飼い主が面会に来ることも可能。

専用キャットハウスで天寿を全うした猫は葬儀が営まれ、手厚く供養されます。

これらのケアは、猫が私たちと同じ生き物であり、尊厳をもって扱われるべき存在であることを教えてくれています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回お伝えした団体の他にも、様々な団体が、様々な方法で猫の幸せを守る取り組みを進めていますが・・・こうしている今でもガス室や焼却炉へ送られる猫がいるのも事実です。

一度家族に迎えた猫は責任を持って最後まで面倒を見る、猫を家族にしようと決めたら、ペットショップの前にこれらのシェルターをのぞいてみる、など私たち一人一人の心がけが、猫の殺処分ゼロへの一歩になります。

また、動物愛護団体の多くが資金や猫のエサ、トイレの砂などの物資の不足に頭を悩ませています。

これらを寄付する、というちょっとした思いやりも団体を支援することになるのです。

猫は人間と同じ言葉は喋ることができませんが、人間と同じように喜怒哀楽のある、命をもった生き物です。

私たち人間と同じように、猫も幸せな人生(猫生)を送れるよう、こういった取り組みがどんどん増えていくと良いですね。

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2016.08.10

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