人間と猫では生態の種類が変わるにも関わらず、人の感覚でつい「ドライフードだけではかわいそう・・・」と思い、やたらとウェットフードやおやつなどを与えすぎていませんか。
また欲しがるからと、つい人間の食事中に、人と同じ物を猫に与えていませんか。
基本的に猫は人の物を欲しがりませんが、育ってきた環境次第で人間のものを欲しがる傾向にあります。
なぜ人のものを与えてはいけないのでしょうか。
なぜ好きなのもばかり与えてはいけないのでしょうか。
今回は猫を飼うor飼っているなら知っておきたい、猫の食事に関する基本的なことをお伝えしていきます。
人には人の猫には猫の栄養学がある
動物はそれぞれ、“種”によって必要な栄養分が違います。
たとえば草食動物は植物を食べ、その栄養分から血や肉を作ります。
肉食動物はほかの動物を食べ、その栄養分で身体を作ります。
食べ物として何が必要なのか、どんな栄養分が必要なのかは、動物によって違うのです。
反対に塩分は私達ほど必要としません。
そしてビタミンCは、私達と違い、体内で作り出すことができ、ビタミンCは猫にとっての必要な栄養分ではありません。
「人が食べるものがいちばんおいしい。それは猫にとってもおいしいはず」と思うのは、大きな間違いです。
動物は、自分に必要な栄養分を含んだ食べ物を美味しいと感じるようにできているのです。
人と猫の必要とする栄養分が違う以上、人にとって「おいしい」ものが猫にとっても「おいしい」はずないのです。
「人には人の、猫には猫の栄養学」があり、そしてそのうえに「人には人の、猫には猫の正しい食事」があることを頭に入れておくことが大切です。
ただ猫が、「人の食べ物がおいしい」と思ってしまうことがあります。
それは離乳期に正しい食事ができなかった場合です。
動物は「何を食べるべきか」が、離乳期の食事で決まります。
離乳期に食べていたものを一生、好んで食べる傾向があります。
本当なら、それが正しい食事を受け継いでいくための方法なのですが、野良猫だったり飼い主が勘違いをしていたために、「正しい栄養感知能力」が育たないことがあるのです。
そういう猫は、猫として必要な栄養分を十分にとれません。
塩分の摂りすぎにもなります。
それは、いずれ病気という形で現れるはずで、寿命を縮めることになるでしょう。
「医食同源」は人を含む動物すべてに共通で、猫の食事を用意する飼い主の責任は重大なのです。
人と猫の別々の食事はしつけ
「人が食べるものを猫には与えない」これを最初から守り続けると、人の食べているものをほしがらない猫になります。
テーブルに人の食事の用意をして席を離れても、猫が食べてしまうということはまずありません。
「正しい栄養感知能力」が育っている猫には、おいしそうには思えないのです。
これは、しつけの1つとも言えます。
食卓の上のものを猫が盗み食いするのはよくありませんし、危険でもあります。
また人の食事中、猫がそばでねだり続けたり手を出したりしたら、来客は限られてしまうでしょう。
人と猫は別々の食事、それが猫の健康を守り、かつ人の暮らしの快適さも守るのです。
キャットフードを上手に利用する
キャットフードは猫の栄養学を考えて作られているので、キャットフードを上手に利用しましょう。
キャットフードには、缶詰やレトルトパックのウェットフード、ビスケットのようなドライフード、そして煮干しやチーズといったおやつがあります。
主食として利用するのはウェットフードかドライフードです。
缶詰やレトルトパックには「総合栄養食」と表示されたものと「一般食」と表示されたものがあります。
総合栄養食とは、「猫に必要な栄養を過不足なく含む」という意味で、これと水だけで猫に必要な栄養がバランスよく取れるというものです。
一般食とは「猫に必要な栄養をある程度満たしてはいるが、完璧ではない」という意味で、つまりこればかりでは栄養が偏るという意味です。
そして缶詰の多くは「一般食」です。
その点、ドライフードはすべてが総合栄養食になっています。
総合栄養食と水を与えていれば、猫の栄養は完璧だということになります。
また缶詰やレトルトに比べて、ドライフードは安価ですから、ドライフードと水を与えるのがもっとも経済的で栄養バランスもいいわけです。
でも「ドライフードだけを与えるのは味気ない」と思う人もたくさんいます。
それは人情をいうものでしょう。
「人間にもおいしそうに見えるものを与えたい」と思うなら、総合栄養食と表示された缶詰やレトルトを選びましょう。
でも「うちの猫は総合栄養食の缶詰は食べない」ということもあります。
猫は結構、味にうるさい生き物ですよね^^;
その場合、一般食の缶詰を利用しますが、必ずドライフードも与えてください。
人間には決しておいしそうに見えないドライフードですが、猫は意外にドライフードを好むものです。
硬い噛み心地が、本来の獲物と似ているからかもしれません。
さらに、柔らかいものばかり食べることによって起こる歯周病を予防してくれることになります。
同じものばかりたべさせると猫は飽きる
実際に猫を飼っている人は、缶詰とドライフードの両方を与える場合が多いと思いますが、「すぐに飽きて食べなくなる」ことに頭を悩ませている人が多いのが現実です。
缶詰の場合は特にそうです。
スーパーのペットフード売り場を見ると、ドッグフードの種類よりキャットフードの種類の方がずっと多いことがわかります。
いかに猫が好みにうるさいかという事でしょう。
好んで食べていたものでも、長く続けると食べなくなります。
だからといって、一度食べなくなったものは二度と食べないということではありません。
しばらくすればまた好んで食べるのですが、好みの缶詰やドライフードの銘柄をいくつか探しておき、それらを順番にまわしていくか、日替わりで出すのがいい方法です。
猫は規則正しい食事をあまりしない
生後4~5ヵ月で子猫の体はほぼ成猫と同じになりますが、それまでは一度にたくさん食べれません。
食事の回数を多くして、必要な栄養とカロリーを満たす必要があります。
一日3回の食事を用意してください。
それ以降は一日2回、朝と晩に与えます。
分量は製品に表示されている目安を参考にしてください。
猫はニオイで食べるか食べないかを決めるので、ニオイが飛んでしまわない工夫をすることが大事です。
食べ残しを長時間置いたままにしておいても、ニオイがしなければ食べません。
缶詰を一回に半分与え、残りを冷蔵庫で保存しておいた場合などは、少し温めてから与えましょう。
冷たいままだとニオイがしません。
電子レンジで15秒、体温ぐらいが適温です。
ドライフードも、長時間出したままにしておくとニオイは飛びます。
一日経っても食べ残していたら、それを捨てて新しいものを出してください。
また、そのまま入っているものや小さな袋に小分けしたものがあります。
大きな袋にそのまま入っているものが、一番経済的ですが、開封後はそんそんニオイが飛んでいき、だんだんと食べなくなってしまいます。
それでは逆に不経済です。
一週間ほどで食べきる量を密封できるピンなどに入れ、残りを密封して冷凍するのも方法です。
毎日、食べる分はビンから出します。
なくなったら、冷凍してあったものをビンに移して、自然解凍させればいいのです。
ただ、それでもストックできるのは最大で一ヶ月分です。
それ以上の量を冷凍しても、“おいしい”ニオイを保存するのは無理です。
猫はむら食いをする動物
おとなになった猫は、「毎日同じ量を同じように食べる」ことがなくなることがあります。
狩りをして暮らしていた時代、毎日コンスタントに獲物がとれるとは限らなかったからでしょう。
大量に食べたり、まったく食べなかったりといった食事をしていた時代の名残かもしれません。
食事を出しても、ちょっとニオイを嗅ぐだけで食べない、となると飼い主は心配してほかの缶詰を開けてしまいます。
目先が変われば、おなかがいっぱいでも食べるのは猫も人も同じです。
そしてそれは肥満の元です。
本来、動物は自分の食べきる量を知っていて、食べ過ぎたりはしないものです。
だから肥満もないはずなのですが、最近は肥満の猫が増えています。
猫の“むら食い”を心配して「何とか食べさせよう」とした結果でしょう。
具合が悪くて食欲がないのなら、ほかにも症状が現れているはずです。
たまに食べない日があっても、猫の様子に以上がなければ無理に食べさせることはありません。
猫特有のむら食いだと思って、放っておいてよいでしょう。
まとめ
猫には猫、人には人の栄養学があり、必要な栄養素はまったく異なるため、安易に人間の食べ物を与えるのではなく、なるべく「総合栄養食」と書かれたフードを与えるようにしましょう。
また元お外育ちの子は、どうしても人の食べ物を欲しがる傾向にあるので、絶対に人間のものを与えないようしつけることで、愛猫の健康が守れます。
しっかりとした食育をしていきましょう。