ペットとしてリスを飼う事をおすすめしない理由

リスといえばふさふさした尻尾や、木の実を食べる姿が誰もが思い浮かべるくらい、よく知られたおなじみの動物です。

見た目はとてもかわいいですが、飼うとなれば話は別!

野性味を強く残しているだけに、住まいのことや餌のこと、健康管理のことなどをよく考え、ときにはあれこれ工夫しながら飼わなくてはなりません。

また飼われいているリスのほとんどは、外国から輸入された外来生物にあたり、中には特定外来生物にあたるリスもいます。

飼うなら責任も持って終始飼育しなければなりませんので、その前にリスに関する正しい情報を仕入れ、本当に飼っていけるのか考える必要があります。

野生のリスを飼うということは、どういうことなのか?

飼う側にはどんなことを知っておくべきなのか?

今回はリスの飼育環境や生活習慣、特定外来生物に指定されているリスの種類などについてお伝えします。

野生動物のリスを飼う楽しさと大変さ

ペットとして飼うことのできる動物には、犬のように人と一緒に暮らしてきた歴史の長い動物と、リスたち野生動物のように、人と一緒に暮らす歴史のまだ短い動物がいます。

どんなタイプの動物を飼うにして大変なことはありますが、それが野生動物ならなおさらです。

飼育環境の工夫

もともととても広い森林で暮らしていた動物を、室内で飼うことになります。

しかし同じ森を再現することはできません。

室内という限定された空間で、ゲージのサイズや巣、巣材、温度や湿度などに工夫が必要になります。

手作りを楽しむ

リス専用の飼育グッズはそれほど多くなく、本来の生態を知れば知るほど、本当に欲しいものが売られていないことに気づくかもしれません。

特に大型リスに関しては、市販のものだけでなんとかしようとするほうが困難です。

グッズがないなら自分たちで作ってしまえばいい、と考え手作りを楽しむことができるでしょうか。

餌の工夫

野生化では季節ごとに、多種多様な食べ物を食べていますが、飼育下でまったく同じものは入手できません。

彼らが暮らしていた「森」を、スーパーやペットショップの食材から再現する必要があります。

調べることを楽しむ

野生動物を飼育することが大変な理由のひとつには、彼らに野生動物らしさが根強く残っていることにあります。

どんな環境で、どんな物を食べ、どんな暮らしをしているのか、彼らの生理、生態などを知らないと、彼らを適切に飼うことができません。

それらを調べ、再現することを楽しめるでしょうか。

人とリスとの関係

リス(シマリスや樹上性リス)は犬のように群れで暮らす動物ではなく、単独で暮らす動物ですから、人と犬のような関係(リーダーに従う)にはなれません。

個体差はあり、とてもよく慣れるリスもいますが、最初から過度な期待はしない方がいいでしょう。

「子供向き」ではない

リスは決して「子供向き」の動物ではありません。

尻尾をつかめば切れてしまうこともありますし、リスを遊ばせている部屋の中で走りまわれば踏んでしまうこともあります。

リスが嫌がっているのに無理にかまえば、噛まれることもあります。

子供のいる家庭でリスを飼う場合には、保護者が十分に接し方に注意するようにしないと、お互いが危険な目にあうばかりです。

動物病院を探しておく必要性

病気やケガをした場合はもちろんですが、リスを健康に飼うための健康チェックなどで動物病院との付き合いは欠かすことができません。

ところがリスのような野生動物は、どこの動物病院でも必ず診てもらえる、というわけにもいかないのが現状です。

診てもらえる動物病院を探しておくことは、飼育のために必要なグッズを選ぶことと同じくらい大切なことです。

広い心で受け止める

野生動物を飼うということは、飼い主側にとっても動物側にとっても、多かれ少なかれ負担のあることです。

「飼う」立場の私達は我慢できても、「飼われる」立場の動物たちにとってはなぜ我慢しなくてはならないのかわかりません。

本来の生理、生態を再現できない環境下ではそれがストレスとなり、動物の体に負担がかかったり、飼育場の問題として現れることもあります。

野生動物を飼うのだから、飼い主側の負担は仕方がないと受け止める気持ち、できるだけストレスのない暮らしをさせたいと工夫する気持ちが必要です。

リスを飼う前に物理的に可能かどうか考えよう

リスを迎えることになったら、できる限りよい環境で飼育したいものです。

そのためには飼い主側にその準備があるかどうかも大切です。

「がんばって飼いたい」「大切に育てたい」という気持ちの問題とは別に、物理的にリスを迎えることが可能なのかどうか検討してみましょう。

リスは昼行性

リスは朝から夕方まで活動し、夜は眠る「昼行性」の動物です。

飼い主がリスの世話をしたり、リスと遊ぶのも朝から夕方までに限られます。

飼い主が夜、リスト遊ぼうとすれば、リスは夜でも起きてくるようになってしまいます。

しかし昼行性の動物は、昼間明るいときに起きていて、夜は暗いところで眠るという生活リズムによってホルモンバランスなどが適切に維持されています。

生活リズムが乱れれば、体調を崩したり、換毛がうまくいかない、繁殖に障害があるなど、さまざまな問題が起こってしまいます。

もし、昼間は仕事をしていて家を留守にするという場合は、朝のうちに世話をし、夜は起こしたりせず静かに眠らせるようにしてください。

夜、疲れて帰ってきたら癒やしてほしいとか、夜一緒に遊びたいと思うなら、夜行性の動物を飼うことをおすすめします。

毎日の世話の時間はある?

リスの毎日の世話はそれほど大掛かりなものではありませんが、それでも毎日、何分間かの時間をリスのために費やさなくてはなりません。

毎日、世話する時間があるでしょうか。

ただ機械的に掃除や餌の交換をすればいいというわけではありません。

体調が悪いことを言葉で伝えてくれないリスの健康管理においては、排出物の様子、餌の食べ残しなども重要なチェックポイントとなります。

それらをチェックしながら掃除や餌の交換をするには、それなりに時間もかかります。

特別な世話の時間はある?

リスが病気をしたときには、看護に時間がかかります。

一日に何度も強制給餌をする必要があることもあり、まだ小さな子リスを迎えたときにも、一日に何度もミルクを飲ませなくてはなりません。

留守にすることが多くない?

旅行や帰省、出張など、家を留守にすることが多い場合には、そのときにリスの世話をどうするのか考える必要があります。

留守がちなのがわかっているなら、預かってくれるとところがあるか、世話をしに来てくれる人がいるかなど考えておくべきでしょう。

リスは他動物と共生できる?

野生化では、リスは捕食動物となる動物です。

犬や猫、フェレットなどの肉食動物が近くにいることに、大きなストレスを感じます。

直接接することがあれば、犬や猫たちは悪気なくてもどうしてもリスに手を出してしまい、大怪我をさせたり、死なせてしまうことも考えられます。

 

ケージを高いところに置くなど、直接接触しないようになっているとしても、リスは匂いで捕食動物の存在を察知します。

リスと、犬や猫などの肉食動物は、別の部屋で飼うようにしてください。

またリスとハムスター、ウサギなどの少食動物でも、接触することでケンカになり、お互いケガをさせてしまうようなこともあります。

動物たちが仲良くしている光景というのは微笑ましいものですが、現実にはそううまくいくものではありません。

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