愛犬がお尻を床に擦りつけてスリスリしながら前進している姿を見たことありませんか。
可愛い姿でつい笑ってしまいますが、ちょっと注意が必要なサインなんです。
今回はこの「お尻スリスリ歩き」の行動についてご紹介します。
「お尻歩き」ってどんな行動?
お座りをした状態で、お尻をつけたまま前脚だけを使って前進します。
お尻を床に擦りつけているような歩き方です。「お尻歩き」以外にも「お尻スリスリ」や「スリスリ歩き」など色々な呼ばれ方をしています。
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「お尻歩き」にはどんな意味?
犬がお尻に気になることがあるとこのような行動をします。
お尻歩きの原因としていくつかの可能性が考えられます。
痒み
お尻や肛門、肛門周りに痒みがある場合にします。
炎症や肛門腺のつまり、虫刺されなどが考えられます。
トリミングでバリカンを使ってお尻の毛を処理した際に皮膚に刺激を受けることもあります。トリミング後にお尻スリスリする子が多いのはこの理由です。
痛み
あまりにも痛いと触れたくないですが、軽い痛みや痛痒さがある時にもお尻歩きをします。
病気や傷などが考えられます。またマナーベルトやおむつの長時間使用で荒れている場合もあります。
違和感
特に多いのが違和感でのお尻スリスリ。
肛門腺の分泌物が溜まっていたり、肛門腺絞りの刺激で違和感を感じることも。
トイレ後にするようであれば、お尻にうんちがついていたり拭いてほしいという訴えの場合もあります。
習慣
お尻歩きをした時の飼い主さんの反応が嬉しくて何度もしてしまう、一度やってみたら気持ちよかったので繰り返してしまっているなど習慣になっているワンちゃんも少なくないようです。
お尻歩きで考えられる病気
一日に何度もお尻歩きをするようであれば、病気の可能性も考えられますので、早めの受診を。
皮膚炎
お尻周りの皮膚が薄く、炎症が起こりやすい部位でもあります。
お尻の皮膚炎には色々な原因が考えられますが、アレルギー、トリミングでのバリカンの刺激、お尻の拭きすぎ、下痢が続いたとき、マナーベルトやオムツの長時間使用などが多いようです。
赤みや湿疹、腫れ、かぶれ、出血などが見られる場合は病院で診てもらいましょう。
肛門嚢炎(こうもんのうえん)
犬は自分の分泌液を出して縄張りを示したり、コミュニケーションとして使われています。この分泌液を出す部分が肛門の両脇にある肛門嚢(こうもんのう)です。
肛門嚢に炎症が起きると痒みや痛みを感じ、お尻を擦りつけるような行動をします。
排便の時に肛門腺が圧迫されて、便と一緒に分泌物が排泄されますが、肛門腺が出にくい小型犬や、体調、ストレス、肥満、老化などによっても出にくくなり、肛門嚢に溜まった分泌液の中で細菌が繁殖し炎症が起こります。
分泌液が出にくい犬には定期的な肛門腺絞りが必要です。
肛門嚢破裂(肛門腺破裂)
肛門嚢破裂は、分泌物が溜まりすぎてしまい、肛門嚢が破裂してしまうことです。
肛門嚢炎が悪化すると肛門嚢破裂になりやすくなります。
痒みよりも痛みが強く、出血や膿が見られ、お尻の皮膚に穴が空いてしまうこともあります。
寄生虫
グルーミングのタイミングなどでノミを飲み込んで体内に入れてしまうことがあります。
犬に寄生する虫はウリザネ条虫、マンソン裂頭条虫、線虫などです。
お尻を擦りつける以外に、下痢や食欲低下、便や肛門から白いヒモ状のものが出てきた場合は寄生虫の可能性が高いため、病院で駆除薬を処方してもらいましょう。
腫瘍
皮膚炎のように外からは見えない腫瘍ですが、犬は違和感からお尻を擦りつけることもあります。
飼い主さんが見て異常が見つからない場合でも、腫瘍の可能性があります。
細胞診検査や病理検査をしなければ分からないので受診しましょう。
愛犬がお尻歩きをしたら・・・
まずはお尻、肛門周りをチェックしましょう。
傷、炎症が起きていないか、汚れがついていないかを見ましょう。
見ても異常がないようであれば、お尻歩きの頻度に気をつけて下さい。一日に何度もするようであれば動物病院で診てもらいましょう。
トリミングの直後、排便後などお尻歩きをしたタイミングも気にしてみて下さい。
習慣化させないために、お尻歩きをしても飼い主さんは笑ったり「可愛い!」など嬉しそうな声を出さないようにしましょう。
お尻歩きは犬からのサイン
可愛い仕草のお尻歩きですが、何らかの違和感があるという犬からのサインです。
症状がみられたり、回数が多いようであれば早めに受診してください。
また、間違った肛門腺絞りが原因のこともあります。飼い主さんが行っている場合は一度トリマーさんや獣医さんにやり方をチェックしてもらうと安心です。
自信がない場合は肛門腺絞りのみをしてくれる動物病院やサロンもありますので、プロにお願いするといいですね。