「イタリアルネッサンスの誇り」といわれる優雅で気品高いイタリアン・グレイハウンド(イタリアン・グレーハウンド)。
細くしなやかな体つきに、すらりとした脚で走る姿は他の犬種にはない美しさです。
日本でも飼育数が増え、「イタグレ」と呼ばれ、人気犬種ですね。
そんなイタリアン・グレイハウンドについて今回紹介します。
イタリアン・グレイハウンドの歴史
イタリアン・グレイハウンドの起源は定かではありませんが、古代エジプトの墳墓から、イタリアン・グレイハウンドらしきミイラが発見されています。
紀元前のローマやギリシャの遺物からもペットとして飼育していたことが分かっています。特に貴婦人に人気の犬種で、多くの花瓶や器などの絵にも描かれています。
この犬種が最も発展したのはルネサンス期の貴族の宮廷である。イタリアン・グレイハウンドの絵が偉大なイタリアの巨匠や外国の巨匠の描いた絵画の中に出てくるのは珍しくないことである。
ルネサンス期にはイタリア、南ヨーロッパ、トルコなどで大人気で、貴族の肖像画や偉大な巨匠の絵画などにも頻繁に描かれていたこともあり、気品のある犬のイメージが定着したようです。
1880年代には一気に頭数を増やしましたが、過度な改良で体の弱い犬になりました。その後の再改良で健康なイタリアン・グレイハウンドに戻り、更に人気が高まりました。
日本に輸入されたのは江戸時代で、身分の高い女性に人気だったといわれています。
イタリアン・グレイハウンドの性格
イタリアン・グレーハウンドは、発達した視力と素早い足の速さを持つ視覚狩猟犬です。
そのため、追いかけたりジャンプしたりダッシュするようなことが大好きです。
飼い主さんや家族など気の許した相手ではないと遊ばないこともあります。
温厚で穏やかな性格なので、家で飼育しやすい犬種といわれています。
攻撃性もないので、多頭飼いなどにも向いています。
人見知りをする傾向があり、知らない人には距離をおくことが多いようです。慣れるまでは時間がかかることも。
家族にはその分、たっぷり甘えてきます。
飼い主さんは、つい可愛くて甘やかしすぎないようにしましょう。
とても賢くて従順な犬種なので、しつけや芸、トレーニングなどを覚えさせやすいといわれています。
子犬の時期によくイタズラする子でも、大人になるとすぐに落ち着くようです。
とても繊細で、人間の気持ちにも敏感に反応します。
そのため、しつけなどで叱る時は特に慎重になる必要があります。
恐怖心などから萎縮してしまい、その後の性格に影響を与える場合も。
賢く理解してくれやすいので、その子にあった指導法を見つけてあげましょう。
また、感覚が鋭いため、環境の変化は苦手です。
引っ越しなど避けられない場合は、大好きな家族といる時間をより増やし、時間をかけてゆっくりと慣れさせてあげましょう。
飼い主さんが愛情をかければかけるだけ、愛情で返してくれるような愛情深く従順な犬種です。
家族が大好きで常に一緒に過ごしていたいと思う傾向にあります。
そのため、お留守番や一人の時間が苦手な子も少なくないようです。
イタリアン・グレイハウンドの特徴
皮膚が薄く、筋肉質で引き締まったボディが特徴的です。頭蓋骨が小さく、古代から大きな身体変化のない犬とされています。
最速で走る犬種ともいわれ、肺活量が多く、非常に身体能力が高いです。
寿命、体重、体高
平均寿命は約12~15年。
体高は32cm~38cm。
体重は5kgまで。
イタリアン・グレイハウンドは、5kg以上の体重は細い足に負担がかかりやすいとされています。
耳
耳が後ろに反り返って倒れている状態で、耳の内側が見えているローズイヤーがショードッグでは良いとされています。
しかし、耳が立っていたり、片耳がローズイヤーの子も少なくありません。
ショーに出るわけではなければ、その子の個性であり、可愛いポイントでもあります。
被毛
イタリアン・グレイハウンドは、オーバーコートだけが生えているシングルコートです。
そのため、汚れやニオイが溜まらず、体臭も少ないです。
なめらかで上質な触り心地の被毛は非常に短毛で、他の犬種に比べて抜け毛がとても少ないのでお手入れはしやすいといえます。
毛色を生涯変化させる犬といわれるイタリアン・グレイハウンド。
年齢によって、毛色が変化する楽しみもあります。
毛色の種類は、
- フォーン
- レッド
- ストレートグレー
- ブルー
- クリーム
- ×ホワイト(上記の毛色にホワイトが混じると、○○×ホワイトと記載されます)
イタリアン・グレイハウンドが気をつける病気、ケガ
基本的に体が強い犬種ですが、運動好きで足の細さから、ケガをしやすい傾向にあります。
膝蓋骨脱臼
膝のお皿が正常な位置からずれてしまいます。
骨折
細い手足以外にも、尻尾や他の部分も骨折をしやすい犬種といわれています。
進行性網膜萎縮
網膜が徐々に縮み、視力が失われていく遺伝性の病気です。
脱毛症
淡色被毛脱毛症、カラー・ダイリューション脱毛症、パターン脱毛症などの脱毛が起こりやすい犬種です。
イタリアン・グレイハウンドの飼育方法
イタリアン・グレイハウンドを飼育する際に、特に気を付けたい点はケガと寒さ対策です。
ケガをしにくい環境作りはとても大切です。
室内では、走ったり遊んだりする場所の床には滑らないようなマットや絨毯を必ず敷きましょう。
周りのぶつかりやすい家具などにも注意が必要です。
ベッドやソファーから降りて骨折することも少なくないようです。
段差が大きくならないような工夫や、着地をする場所が滑らないように対策をしましょう。
また、温厚な性格なので自分から攻撃することはあまりありませんが、小さなお子さんや他の犬との接触には十分気を付けましょう。
そして、イタリアン・グレイハウンドは非常に寒さに弱い犬種です。外飼いは出来ません。
寒い時期は室温、湿度に気を付けましょう。冬はもちろん、夏のエアコンが入っている中でも、自分で調整できるように毛布などを日常的に置いておくといいですね。
また、服が必須な犬種なので、小さな頃から慣らしておきましょう。
草むらに入ったり土に寝転んだりと遊ぶのが大好きなイタリアン・グレイハウンドは体も汚しやすい点や、皮膚が薄いので紫外線や真夏の暑さにも弱い点などから、季節を問わず洋服は着せた方がいいでしょう。
暑くならない真夏用の犬服も今はたくさん出ています。
さらに、お散歩の際には、頭の小さなイタリアン・グレイハウンドの場合、特に首輪よりもハーネスの方が抜けにくくていいでしょう。
首輪が抜けて逃げてしまうと、走るのが速いので捕まえるのが大変です。事故の危険性もあるので、身体に合ったハーネスがオススメです。
より安全性を高めるのに、ハーネスと首輪を両方するダブルリードもいいですね。
イタリアン・グレイハウンドと楽しく暮らすために
走り姿にも立ち姿にもうっとりしてしまう美しいイタリアン・グレイハウンド。
運動能力が高く、気品高い姿の一方で、寂しがりやの甘えん坊という性格にイタグレ大好きな愛犬家は多いと思います。
賢くて家族に従順な犬なので、たっぷりの愛情をかけて過ごしてください。
骨折の危険性が高い犬ですが、予防することでかなり防ぐことができます。
敏感な犬種なので、麻酔などにも弱いといわれることもあります。ケガをしないことが一番なので、飼い主さんが安全な環境を整えてあげることがとても重要です。
また、環境の変化が苦手だったりと繊細な部分もあり、ストレスを感じやすいので、しっかり運動をさせ愛情を伝えて心も身体も満たしてあげましょう。