「シャム猫」、日本でも昔からよく耳にする品種ですね。
古くからタイの王族で飼われていた高貴な猫でした。
世界では「サイアミーズ」と呼ばれる猫ですが、地元のタイでは「月のダイヤモンド」という意味の「ウィチアン・マート」と呼ばれています。
今回は、美しくてオリエンタルな雰囲気のあるシャムをご紹介します。
シャムの歴史
シャムは、古来からタイの王室で飼われてきました。14世紀の文書に記録が残されており、古い詩集では幸せを招く猫17種のうちの1種類とされています。
タイの伝説や物語にも登場する馴染みの猫です。
王室以外にも寺院や富裕層など地位が高いとされていた人たちにも飼われていたようです。
世界的に注目されるようになったのが、1871年のロンドンで開催された世界で初めてのキャットショーに登場したのがきっかけです。
1884年には、タイ王国からイギリスに贈られ、1879年にはアメリカにも渡りました。
日本では1950年代にシャムの人気が高まり、現在まで世界で長く親しまれている猫です。
「シャム」と呼んでいるのは日本だけで、世界的には「サイアミーズ」と呼ばれています。
シャムの特徴
逆三角形の小さい顔に、張りのある大きめの三角耳、手足が長くスレンダーでしなやかな体つきをしてきます。
華奢に見えますが、筋肉質で見た目よりも重いです。
瞳はアーモンド形で、美しいサファイアブルーです。
瞳の色と体つきから「賢く、気品溢れる猫」というイメージにピッタリの猫です。
寿命
個体差はありますが、シャムの寿命は平均13~16年。
また、老猫になっても若い時と変わらずエネルギッシュな猫が多いともいわれています。
大きさ
筋肉質なため、見た目より体重は重めです。
体重は平均3~5kg前後です。
個体差はありますが、オスの平均体重が3~5kg、メスが2~4kgほどです。
被毛
シャムの大きな特徴として、顔や耳、足先、しっぽが濃い色になっています。
子猫は真っ白で濃い色はありません。
成長するとともに毛色が変化していきます。
成猫の色はブラック、チョコレート、ブルー、ライラックです。
被毛は、きめ細かく光沢があります。
短毛でお手入れはラクですが、シングルコートなので寒さに弱い猫です。
性格
シャムは警戒心が強い猫ですが、飼い主さんや心を開いた人にはとても愛情深く、寂しがりやの甘えん坊です。
多頭飼いには向いている猫ともいわれますが、独占欲も強く飼い主さんの愛情を独り占めしたいという子も多いようです。
活発で好奇心旺盛なところもあるので、飼い主さんや他の猫たちと一緒に遊ぶのが大好きです。
猫には珍しく、ボールやおもちゃを投げたら取って戻ってくるような遊びもできるようです。
動くことも好きなので、オモチャで相手してあげたり、キャットタワーを設置するなどして体を動かせる環境を整えてあげるといいですね。
その一方で、プライドが高く、クールでマイペースな一面もあるので、ギャップのある性格をもつ猫です。
また、よく鳴く猫といわれる品種で、鳴き声で飼い主さんとのコミュニケーションもとります。
気をつけたい病気
シャムは、特に目と腎臓の病気が多いといわれています。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、ゆっくりと長期間にわたって腎臓機能が低下していく病気です。
初期症状で気が付くのが難しいといわれているため、症状が出た時にはかなり進行している状態が多いようです。
腎臓の機能が失われると回復することはないため、早期に発見することがとても重要になります。
水を多く飲み、おしっこの量も多い「多飲多尿」が飼い主さんが気が付きやすい症状のひとつです。
進行すると、老廃物や有害物質の排泄ができなくなり、尿毒症になります。
尿毒症を起こすと、体重減少や嘔吐、食欲不振、口内炎などの症状が出て、腎臓機能は10%ほどしかないともいわれます。
猫には多い病気ですが、特にシャムの発症率は高く2倍ともいわれています。
尿検査で診断できるので、愛猫の異変を感じたら動物病院で診てもらいましょう。
眼球振盪
眼球振盪(がんきゅうしんとう)とは、意思とは関係なく眼球が小刻みに揺れるものです。
左右に揺れたり、縦に揺れたり、回転する場合もあるようです。
シャムは遺伝的な要素でよく見られる症状ですが、生理的なもので治療法もありませんが、問題なく生活できます。
しかし、中には病気で神経や筋肉、脳から起こる場合もあるので、一度診てもらっておくといいでしょう。
斜視
シャムは遺伝的に斜視になりやすい品種といわれています。
内斜視という寄り目は、生後6週から8週ごろに始まることが多く、自然に治ることはありません。
しかし、日常生活には大きな支障がないとされています。
成猫が急に寄り目になった場合は違う病気などが考えられるので受診しましょう。
ウールサッキング
ウールサッキングとは、異食症のことで、布や布製品を食べてしまう症状です。
毛布、ぬいぐるみ、クッションなどの布製品以外にも、段ボール、輪ゴムなども。
最初は舐めたり吸ったりから始まり、徐々にかじって食べてしまうようになります。
便に出てきたり、嘔吐することで排出しますが、胃の中に残ってしまうと開腹手術が必要になります。
原因は、ストレスや寄生虫、猫白血病ウイルス、猫エイズなどの病気が考えられるようですが、シャムのような東洋系の猫種に多くみられるのは遺伝的要素も大きいとも考えられています。
喘息
シャムに起こりやすいといわれる喘息。
苦しそうな咳やゼーゼーした呼吸など人間の喘息と同じような症状が起きます。
花粉、ダニ、ハウスダスト、カビ、タバコの煙、香水、芳香剤などのアレルギーが主な原因といわれています。
ひどい場合は、発作で重度の呼吸困難で命の危険も。
幽門狭窄
幽門狭窄(ゆうもんきょうさくしょう)は、胃の出口(幽門)の異常で、食べたものが胃から十二指腸へ排出しにくくなる病気です。
先天的に幽門の筋肉が分厚くなっている先天的なものと、胃の粘膜と筋肉が分厚くなる後天的なものがあり、先天性の幽門狭窄がシャムには多いです。
症状の多くは胃の不快感、嘔吐です。食べると症状が出るので食欲不振を起こします。
手術するケースが多いようです。
先天性難聴
シャムのような青い目、白い毛をの猫が「先天性難聴」になる確率が高いといわれています。
呼びかけや物音に反応しない場合は聞こえにくくなっているかもしれません。
難聴であっても、視覚や嗅覚が発達しているので、日常生活に支障はありませんが、知らない場所へ行く場合は注意が必要です。
リードなしに外に出すのもやめましょう。
シャムと長く楽しく暮らすために
シャム猫は、王族だけが飼えた猫だけあって、とても気品高く美しい猫ですね。
サファイヤブルーの綺麗な瞳は吸い込まれそうです。
そんな見た目とは違い、寂しがり屋の甘えん坊。
寒がりで飼い主さん大好きなので、冬はピタッとくっついてることが多いなんて聞きますね。
おしゃべりも上手で、鳴いて何かを欲求することもありコミュニケーション能力が高い猫ですね。
一緒に遊ぶことも大好きなので、猫との時間をしっかりととれないと猫はストレスがたまってしまいます。
留守が多く、一人気ままに過ごすような猫を探している人には向いていないですね。
シャムに多い病気もご紹介したので、日ごろから猫の様子をよく観察しながらたくさん触れ合ってほしいと思います。