猫の下痢や軟便から考えられる病気一覧

猫の便の変化は飼い主も気づきやすく、猫の体調を表す健康のバロメーターでもあります。

猫はどちらかというと慢性の下痢になりやすい動物ですが、ときには激しい症状を起こし急激に悪化することがあります。

日々よく観察して異常があれば早めに対処するようにしましょう。

下痢や軟便状態が何日も続く場合にはなんらかの病気にかかっていることも考えられます。

慢性的な軟便は病院で治療をしても薬をやめればまた再発することもあるので、猫の体質改善を目的にサプリを服用してみるのもおススメです。

今回は、猫の軟便について考えられる病気をご紹介していきます。

軟便になる理由

軟便の症状は大きく分けると

✔下痢が1~2回の軽度
✔下痢や軟便が慢性的に続く
✔激しい下痢を繰り返す

3つの症状があります。

それによって考えられる理由は異なり、下痢が1~2回程度で元気もあり食欲もある場合には、主に食事の変化・食べ過ぎ・脂肪分の多い食事の影響が考えられます。

この場合には、数日様子を見て考えられる問題点を改善してみると良いでしょう。

下痢や軟便が慢性的に続く場合

この場合に考えられる病気をみていきましょう。

慢性胃腸炎

慢性胃腸炎は、原因がはっきり特定できないことも少なくありません。

食べ物のアレルギーや有毒物質、寄生虫などによっていが慢性的に刺激を受けることで起こると考えられています。

また胃腸に毛玉ができる毛球症が原因になったり、急性の胃炎が治りきらずに慢性化することもあります。

症状

毎日とは限りませんが、数週間にわたって時々吐いたり下痢が続くというのが一般的な症状です。

嘔吐は食事と関係なく起こり、胃腸の粘膜がただれると便がタール状に黒っぽくなったり血が混じることもあります。

体重が減少し毛艶が悪くなったり皮膚のハリが失われたりします。

対処法

原因がはっきりしていればその治療を行います。

原因がわからない時は一般的には症状を和らげるため、粘膜を保護する薬や下痢、嘔吐を止める薬、抗生物質などを投与し、食事療法を並行して行います。

家庭では消化の良い食事を少量、数回に分けて与えましょう。

慢性大腸炎

慢性大腸炎は、寄生虫によるものや細菌によるものなどのほか、炎症性腸疾患の一部として原因の特定できないものもあります。

症状

大腸炎の所見は血便や粘液便の排泄やしぶりです。

粘液便は便の最後にゼリーのような粘液が付着して見られます。

大腸炎は、下痢が持続していても体重の減少はあまり見られないことが多いです。

対処法

食事療法、抗生物質療法に加えてステロイド剤などの抗炎症剤を用います。

これら疾患は治療に反応したとしても慢性化しているため、 投薬を中止してしまうと再発することがよくあります。

最低でも3ヶ月間の投薬を維持することが重要で症状がなくなったからというだけで勝手に休薬しないことが大切です。

消化管内の寄生虫(条虫症)

条虫症は、瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫などの条虫が猫の体内に寄生することが原因です。

猫から体外に排泄された卵を中間宿主であるノミやネズミ、カエルなどが食べそれらの生き物を猫が食べることで感染します。

症状

寄生虫の体節がちぎれて排泄され肛門を刺激するため、猫は肛門を気にしてお尻を地面に擦り付けるような仕草を手術するようになります。

多くの場合症状はあまりあらわれることはありませんが、多数寄生すると下痢や食欲不振が見られ栄養不良になることがあります。

対処法

薬や注射で駆虫します。

栄養不良になっている時は栄養剤などを投与します。

ノミが中間宿主となる瓜実条虫の場合はノミを駆除するのが最も効果的な予防法です。

消化管内の寄生虫(ジアルジア症)

ジアルジア症は、汚染された便や食べ物、水などを通してジアルジア原虫が猫の口から入り小腸に寄生して下痢が起こります。

症状

通常は感染しても無症状でいることが多いのですが、他に寄生虫がいたり、ストレスなどがあると発症します。

体力のない子猫がかかると、下痢が続くために体重が減少し時には発育不良になることもあります。

水っぽい下痢や、脂肪分の多い黄色っぽい下痢が見られます。

対処法

駆虫薬を投与します。

再感染を防ぐためには便は早めに処理し消毒するようにしましょう。

激しい下痢を繰り返す場合

この場合に考えられる病気をみていきましょう。

急性胃腸炎

急性胃腸炎は、変質した食べ物や不潔な水、有毒な物質を摂取した時に起こります。

またお腹や体が冷えたり、ウイルスや細菌の感染でも起こります。

症状

主な症状は嘔吐と下痢です。

症状が重くなると、 便が水のようになったり、血が混じることもあります。

繰り返し吐くようになり、水を度々飲んでさらに嘔吐することもありその結果脱水症状を起こします。

対処法

症状が軽ければ、 1日食事制限行えば回復します。
脱水症状があるときは、 輸液明日注射を行い下痢や嘔吐を止める治療します。

症状が治まった後は、 ぬるま湯から与え始め、食事は消化の良い流動食を用意しましょう。

猫汎白血球減少症

猫汎白血球減少症は、感染した猫の便や嘔吐物、 汚染された食器などに猫が口や鼻を付けることによって感染します。

症状

猫パルボウィルスに感染すると激しく嘔吐し下痢をします。

症状が重くなると、 トマトケチャップのような出血を伴った粘液状の便になります。

40°以上の高熱が出ることがあり、 嘔吐と下痢のため脱水症状起こし衰弱して、子猫などはショック死に至ることもあります。

白血球が極端に減少するのが特徴です。

対処法

完全な治療法は今のところなく、 脱水症状の治療として十分な輸液と栄養分の補給をします。

他の猫と隔離し、 二次感染を防ぐために抗生物質を投与します。

この感染症はワクチンの接種で予防します。

消化管内の寄生虫(回虫症)

回虫症は、猫に最も多い内臓の寄生虫で猫回虫と犬小回虫の2種類が猫に寄生します。

感染した猫の便中に排出された寄生虫の卵は土の中で何年も生きており、それが猫の口に入ることで感染したり、他の小動物を猫が食べることにより感染することもあります。

症状

寄生が少数の時はほとんど症状は現れませんが、子猫に多数寄生するとお腹が膨れて貧血や嘔吐、下痢を起こします。

成猫に寄生した場合は多くは無症状ですが、 食欲不振や嘔吐、下痢などの症状が見られます。

対処法

駆虫薬を投与し、栄養剤なので体力の回復を図ります。

排便の後は便をすぐ処理するなど衛生に気を配ることが予防になります。

消化管内の寄生虫(鉤虫症)

鉤虫症は、便とともに排出された卵が孵化し、子虫となって食べ物や食器について猫の口から感染します。

鉤虫の子虫は土の中に生息するため、皮膚や毛穴から感染することもあります。

またメスが感染していると母乳を通して子猫に感染し、子虫は最終的に腸に達し成虫となります。

症状

子猫に寄生すると症状が重くなります。

下痢が起こり、 タール状の便や血便になることがあります。

お腹を痛そうにし、 貧血を起こし目の結膜や口の粘膜が白くなったり脱水症状を起こして急激に衰弱することがあります。

成猫の場合 体重が徐々に減少し、毛艶が悪くなる症状が出ることがあります。

対処法

症状が軽ければ駆虫薬や注射で駆虫しますが、 貧血や消耗の激しい症状起こしている場合は、輸液などの救急処置が必要になります。

便は早めに処理し、環境の清潔を保ちましょう。

体質的に軟便ぎみな子の対策方法

体質的に軟便気味な猫に対しては、日常生活において様々な工夫が必要になります。

猫はデリケートなので特に軟便ぎみの子はストレスがかからにようにすることが一番大切です。

飼育環境や食事などを一度見直してみましょう。

今食べているフード量を変えずに少量ずつ回数を増やしてあげたり、少しふやかしてあげると消化が良くなります。

水をこまめにかえるなども色々工夫をして軟便が改善されるか様子みるようにしてください。

フードの種類を変えると便が良くなることもよくあります。

病院から処方される薬の長期服用は猫の場合あまり好ましくありません。

サプリメントなどを利用して長期的に体質改善を試みるのも1つの方法です。

トイレ砂は細かいタイプのモノを

軟便気味な子のトイレには粒子の細かいタイプの砂がおススメです。

軟便のタイプには、形はあるけれども水分を含んだベドベドうんちや、トイレ砂から持ち上げることができないぐらいの水下痢など様々です。

粒が大きいタイプの猫砂は固まらないので、細かいタイプのトイレ砂が扱いやすいでしょう。

下痢がひどく回数も多い場合には、穴あきの猫用スコップではなく園芸用のスコップを使うとこぼれません。

また、ビニール袋で直接袋越しに便をつかんでひっくり返し結わえて捨てると臭いもシャットアウトできます。

猫は排泄後、砂や便を多少なりとも足につけて出てきます。

トイレの前には、トイレマットや100均などで売っている人工芝などを置いておくと汚れを落としてくれます。

トイレタイプは便の状態が確認しやすい箱型がいいですが、砂の飛び散りが気になる場合には大きめの段ボールで覆ってみるのも1つの方法です。

臭い対策はしっかりと

猫の軟便は臭いがきついので、臭い対策はしっかり行うようにしましょう。

・トイレで排泄したらこまめに取り除く
・猫砂に消臭スプレーや猫砂に混ぜるタイプの粉末を利用する
・換気をまめにする

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犬猫ハムスターなどの臭い対策にはカンファペットがおすすめ

2017.01.04

まとめ

今回は猫の軟便について考えられる原因や症状、対処法を下痢の状態に合わせてご紹介しました。

急性で激しい下痢は急速に猫を衰弱させ特に体力のない仔猫や老猫は命の危険もあるのですぐに病院へ連れて行きましょう。

慢性の軟便の場合には、何かしらの病気や体質的なものが隠れていることもあるので様子を見るようにし対処するようにしていきましょう。

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