毎日のように繰り返される犬猫の殺処分。環境省の統計によると、2014年度は約12万匹を超える犬や猫が殺処分されています。(引用元:環境省)
年々数は減っているものの、未だに犬猫の殺処分は各自治体の課題となっているのが現状です。
そんな状況の中で「殺処分ゼロ」を目標に掲げた神奈川県は、2014年度に犬猫ともに殺処分ゼロを達成しています。
犬は2年連続、猫は初めての快挙だったそうです。
なぜ、神奈川県は目標を達成できたのでしょうか?今回は殺処分に向けた神奈川県の取り組みや私たち市民にできることをまとめてみました。
どれくらいの命が助かったの?
神奈川県の殺処分ゼロが達成された2014年度に収容された猫は595匹、犬は508匹、そのうち収容中の病死や自然死は計110匹でした。(参照元:日本経済新聞)
このことから、計993匹の命が殺処分から救い出されたことになります。犬は2年連続、猫は都道府県レベルでは初めてのことだったそうです。
特に猫は、多産で外飼いも多く持ち込まれる子猫の多さから、殺処分ゼロは非常に難しい問題だとされていました。そのことを踏まえると、素晴らしい快挙ですね!
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殺処分0の背景にはボランティア団体の貢献が!
殺処分ゼロを達成できた背景には、ボランティア団体の懸命な貢献が大きかったとされています。
では、ボランティア団体はどのような活動を行っていたのでしょうか?収容された犬や猫は、人間不信・収容所でのストレス、動物同士の喧嘩による負傷などで精神的も肉体的にも、厳しい生活を送っていました。
そのため、新しい飼い主に巡り合える機会もないまま殺処分の日を迎えてしまう、収容=死が当たり前になっていました。
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そこで、かけがえのない命を救うべく各ボランティア団体は、収容されている犬や猫の多数を各団体の施設で引取り、手厚いケアやしつけ、里親探しの譲渡会の主催などを精力的に行いました。
その結果、人間不信だった犬猫たちが新しい飼い主に巡り合うことができ、結果的に殺処分予定だった命をつなぎ止めていたのです。
もちろん一度捨てられたという心の傷がある動物たちなので、譲渡に関しても各種書類審査、公的身分証明書の提示、新しいお宅の視察など、各ボランティア団体は動物たちの将来を第一に考えた手厚いサポートを行っています。
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公式に発表もされていますが、県動物センターとの連携を強化した各ボランティア団体の懸命な取り組みによって、殺処分ゼロを達成できたといっても過言ではありません。(参照元:人と動物が幸せに暮す社会実現のプロジェクト)
このように殺処分ゼロを達成できた要因は、動物たちの未来を第一に考えたボランティアの尽力によって生み出された功績なのです。
犬猫殺処分室なし動物センターを新設!
殺処分ゼロを達成した神奈川県は、「殺処分室のない新しいタイプの動物保護センターを新設する」と先日発表しました!(引用元:神奈川県HP)
新センターには「生きるための施設」として、死と隣り合わせの殺処分室を廃止するほか、動物用の個室やドッグラン、ボランティアがシャンプーやトリミングなどを行える施設、譲渡の際に使うスペース、一般来場者と動物が触れ合えるスペース、災害時のペット預かりスペースなどを整備する方針だそうです。
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こんなに死とは程遠い動物愛護を象徴とした施設ができるなんて夢のようですね!無責任な飼い主に捨てられた動物たちが、新しい飼い主に出会える場として活躍してくれることを祈っています。
殺処分ゼロを達成した自治体が他にも!
今回は、犬猫ともに殺処分ゼロを達成した神奈川県を取り上げましたが、殺処分ゼロを達成した自治体が他にもあるんです!
【熊本市】
「嫌われる行政になろう」を愛言葉に、無責任な飼い主と戦うことを決めた熊本県。犬や猫を捨てに来た飼い主に窓口で説得、時には説教までして飼い主の安易な気持ちにストップをかけたり、行政だけではなく獣医師会、ボランティア団体、ペットショップなど取扱業者が市動物愛護推進協議会を結成し活発な里親さがしを展開。
その結果、2014年度には犬の殺処分ゼロを達成しています。猫は目標達成まであと僅かだそう。(参照元:AERA)
【札幌市】
動物愛護管理法の改正により販売業者からの引き取りの拒否や、ボランティア団体の協力による譲渡数の増加、また、子猫・子犬に関しては譲渡できる大きさになるまでボランティアで育てる取り組みを強化した結果、2014年度に犬の殺処分ゼロを達成しています。
統計がある1972年以降初めてだったそう。
猫の殺処分数は、最も少ない534匹でした。(参照元:朝日新聞)
現在、殺処分ゼロを達成している自治体は、神奈川県・熊本県・札幌市のみですが、今後も次々と各自治体が殺処分ゼロを達成してくれることを願うばかりです。
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殺処分0のために私たちにできること
まとめ
ペット後先進国といわれる日本では、毎日多くの犬や猫の命が犠牲になっています。
今回取り上げた神奈川県や他の自治体、ボランティア団体の取り組みには目を見張るものがありますが、活動にはやはり限界があると思います。私たちひとりひとりが意識を高め、殺処分ゼロに向けてサポートできるよう、日本社会が発展することを願っています。